屋外歩行訓練は、利用者の目標によっては在宅でも行うことがあります。
活動範囲を広げることができるだけでなく、利用者さんのモチベーションを上げることにも繋がりますよね。
しかし屋内に比べて屋外は、必ずしも訓練環境が整っているわけではありません。
今回は、訪問看護の屋外歩行訓練のリスク管理についてお話しします!
目次
リスク管理とは
リスク管理とは、事故やインシデントの発生を防止するだけに止まらず、発生や発生後の系統立てた一連の取り組みのことを言います。
事故やインシデントの拡大を防ぐだけでなく、医療の質の確保を通して組織を損失から守ることを目的とすると言われています。
屋外歩行訓練におけるリスク管理5選
転倒
普段自宅内での活動が多い利用者は特に注意が必要です。
小さな段差や砂利道など自宅内にはない不整地が多く、さらに見るだけではわからない傾斜もあります。
杖や歩行器など、補助具が使いにくいような場所も少なくありません。
対策としては利用者がふらついた時には、すぐ支えられる位置取りが求められます。
あらかじめ、どのような時にふらつきやすいのかを評価しておくと、さらに対策が立てやすいです。
状態の変化
表情や会話、視線、歩き方など利用者の細かいところまで観察が必要になります。
以下のような例が挙げられます。
- 「歩いていたら顔色が変わってきた」
- 「急に汗がひいた」
- 「息遣いが荒くなった」
- 「足が擦るようになった」
- 「視線が下方になった」 などなど…
「普段の様子と何か違う」と感じたら立ち止まってみたり場所があれば座ってみたりして、バイタルサインを測ることが望ましいですね。
訓練前に利用者の病態を把握して急変するリスクが少しでもあれば、血圧計やパルスオキシメーターなどを持ち歩くと良いでしょう。
さらに、その変化があった時間や場所、どの程度の負荷量でなったのかをメモしておくと、管理者や主治医への報告の時やその後の対策の検討につながるので、細かくメモしておきましょう。
道順
訓練実施前に、自宅周りの状況を把握しておきましょう。
把握するために、実際自ら歩いてみるとなお良いと思います。
以下にチェックポイントをまとめます。
- 道幅や歩道の有無
- 自動車などが通る量
- 人が通る量
- 信号の有無や信号の待ち時間
- 傾斜や段差の状況
- 道路状況(工事など)
- 休憩スペース(座る場所、日陰、ベンチなど)
- 自宅からのおおよその距離など
訓練時間も考え、どこまでの範囲が訓練レベルなのかを考えておきましょう。
周辺を一番よく知っているのは利用者さんなので、相談しながら進めると、意欲が湧きやすく、利用者さん主体の訓練になりやすいですよ。
天気
天気予報で降水確率を知っておきましょう。
雨が降る確率が少しでもあるようなら中止も検討した方が良いと思います。
夏場は気温、湿度ともに上がり、近年は命に関わる暑さになっています。
訓練前に、暑さ指数とともに熱中症警戒アラートの発表も確認しておくと良いですね。
暑さ指数(WBGT(湿球黒球温度):Wet Bulb Globe Temperature)
熱中症を予防することを目的として1954年にアメリカで提案された指標です。
人体と外気との熱のやりとり(熱収支)に着目した指標で、人体の熱収支に与える影響の大きい
①湿度
②日射・輻射(ふくしゃ)など周辺の熱環境
③気温
の3つを取り入れた指標です。
参考:環境省熱中症予防情報サイト
気温や湿度などあらかじめ中止基準を設けておくといいでしょう。
連絡手段
万が一事故が起こった場合、すぐに連絡ができるように連絡手段を確保しておきましょう。
屋外歩行訓練時は、必ず携帯電話を持っていき、緊急時に備えてください。
あらかじめ管理者や上長に屋外歩行訓練をする旨を伝えておくと、何かあった時の対処がスムーズに進みます。
まとめ
屋外歩行訓練のリスク管理についてお話ししました。
屋外は、予期せぬことが起こりやすい環境です。
どんなことが起こるか予測しておき、そのときの対応方法まで考えておくことがポイントです。
制度上の注意点は、こちらの記事で確認してください。
安全に屋外歩行訓練ができるよう、気をつけていきましょう!