訪問看護に足を踏み入れたい。
それだけでもとても素晴らしいことだなって思います!新しい世界に飛び込む勇気を称えます!
けれども自分はやっていけるのだろうか?自分は訪問看護に向いているのか?と気になりますよね。
そこで今回は、訪問看護の向き不向きについて解説していきます。
目次
訪問看護の向き不向きはどうやったらわかる?
これから転職を検討するにあたり訪問看護を視野に入れているのはとても素敵なことです。
そのうえでまず悩む部分について答えていきますが、以下の項目はすべて向き不向きは関係がありません。
以下で解説します!
体力がある人じゃないとなれない?
雨の日も風の日も、看護が必要な方には訪問に行かないといけないのが、訪問看護です。
確かに体力は使います。けれども、「絶対、雨の日は自転車をこいで何件も回らないといけないんでしょ?」と聞かれたら、必ずしもそうとは限りません。
訪問看護ステーションによっては、バイクや車を使うのがOKなところや、車で送ってくださるところもあります。
自転車の運転に自信がないときには、徒歩や電車を駆使する方法もあります。
訪問と訪問の合間にコンビニに入って涼むなどして熱中症を防ぐなど、体力の消耗を抑える方法は工夫することができます。
また、絶対にオンコールを取らないといけないかというと、必ずしもそうとは限らないステーションもあります。
オンコールを取れる人と比較すると多少なり給料は下がりますが、「日勤の仕事が終わったら終わり」と区切りをつけることで、体力的にも精神的にも回復につとめられます。
自分は体力に自信がない…という人でも、工夫と交渉次第で乗り越えることは可能です。
ベテランじゃないとなれない?
・ベテランじゃないといざとなったときに対応できないのではないか
・自分はそれほど経験を積んでいないし…
訪問看護には興味はあるけれども、上記のようにお悩みの方もいらっしゃるかと思います。
けれども実は、訪問看護をやるうえでベテランかどうかは関係がありません。
もちろん、経験も知識も豊富であることが、メリットであることは間違いありません。
しかしながら、経験があるかどうかは向き不向きのすべてではありません。
経験や知識をつけるのがこれからだったとしても、向いている人の条件に当てはまればカバーができるからです。
とはいえ、訪問看護師だからといって、ないがしろにできない部分はあります。
共通して大事なところがある
これから、向いている人とそうでない人を挙げていきますが、あくまでも指標であってこれがすべてではありません。
性格的志向として多少向いていない部分があったとしても、自分がどんな看護師として活躍したいか、努力で補うことは充分可能です。
訪問看護でもそうでないところでも、看護をする上で共通して大事なことがあって、以下に挙げることは「訪問看護だからやらなくていい」ことではありません。
常に疾患や治療法を勉強をしつづけられる人
急性期看護ほど急変リスクがないものの、何年働いていたとしても初めて出会う疾患もありますし、知っている疾患でも見たことがない経過に出会うこともあります。
そのときに「なぜこの症状があるのだろう?」「なぜこの観察が必要なのだろう?」という視点を持って勉強をすることで、そのあとの経過やリスクを想像することができ、どんな対応をするべきかを考えることができます。
コツコツ勉強してきた成果は、急変に出会ったときに必ず役に立ちます。
倫理観を身に着けようと努力できる人
療養を支援することはその人の人生観を尊重することであり、そのために倫理観が必要です。
日本看護協会では、以下のことを「倫理」と定義しています。
私たちが社会の中で何らかの行為をするときに、「これは善いことか、正しいことか」と判断する際の根拠
看護ではいろんな場面に遭遇します。
例えば先生からの療養の指示を守らない人がいたときに、その人に対して頭ごなしに「それはいけません」ということがその人にとって本当に善いことなのだろうか、と考えることが大切です。
この倫理観がすっぽりと抜けてしまうと、どこで療養してもうまくいきません。
コミュニケーションを磨きつづけようとする人
人によっては、”訪問看護は単独で仕事をする人だから、他の看護師と喋りたくないから目指したい”という声も聞きます。
しかし、それは大間違いです。
病院で「患者をみるのが受け持ちだけじゃなくてリーダーも状況把握をしている」ように、訪問看護は「訪問する人だけじゃなくて他スタッフも状況把握をしている」状態をつくる必要があります。
そのために報告・連絡・相談が必須になります。
利用者さんや患者さんの意思をくみ取る能力も必要ですし、スタッフ間で連絡しあえる関係性を構築することも必要です。
以上を大前提として、訪問看護の向き不向きを解説していきます!
訪問看護に向いている人
訪問看護に向いている人の特徴をご説明します!
全人的な看護がしたい人
訪問看護の特徴は、その人の生活を直接見ることができるところです。
そして、その人の家の中こそ、その人の習慣・考え方・今まで生きてきた軌跡が詰まっている場所です。
訪問看護をするということは、その人の人生の数ページを担うことです。
身体的側面でどんな医療的介入ができるのかを考えるだけでなく、今まで生きてきた過程を参考に、これからどんな生活を組み立てるのがその人にとってベストなのかを考えることができます。
「その人の人生の中の一つに看護がある」という看護観をお持ちの方にはぴったりでしょう。
挨拶やマナーがしっかりできる人
看護師への信頼は、大前提は「人として信頼できること」です。
社会人としての基本的なマナーを心得ている人が、利用者さんにもご家族様にも信頼されます。
また、関連機関と直接お会いしたときに名刺交換もします。ビジネスパーソンとしても礼節を持って対応できる人が、次の案件の獲得にもつながっていきます。
主体的に行動できる人
訪問看護では1人で訪問するのが原則です。
訪問時の異変に気付いたときに、時にはスピードを要することもあります。
その時に、自分から家族に対応をお願いしたり、ケアマネジャーや主治医への連絡をすることなります。
とはいえ、経験がないとどうアクションをしたらいいのかがわからないという場合もあります。
そんなときに、上長へ報告・相談をしたり、あるいは上長が電話しても出ない状況なら「もしかしたら○○さんなら訪問空いているから電話に出るかも」と気づいて連絡をしたりします。
どんなアクションが必要なのか、自分自身で考えて行動する必要があります。
また、行動するだけじゃなくて、自分がどうアセスメントして計画を立てているのかをアウトプットして共有する必要があります。
単独で訪問に入るからこそ、どんな看護をしているのかが見えにくいので、「自分はこう考えている」という報告・連絡・相談をできる人が信頼されます。
イレギュラーな状況を受け入れられる人
訪問看護は様々な方が対象になるからこそ、様々な現場に出会います。
利用者さんの状態や性格が普通でない状態や、自宅での生活環境が普通でない場合があります。
「看護師は役者だ」というくらいです。
状況に対して、まずいったん自分で受け入れて、その状況に合わせた立ち居振る舞いをしていきます。
訪問看護に向いていない人
逆に訪問看護についていけない人はどんな人か挙げてみます。
医療的処置がしたい人
訪問看護で点滴や褥瘡処置なども行いますが、ケースとしては多くなく、療養上の世話がメインとなります。
神経難病の人は、人工呼吸器や胃ろう管理をしたりするものの、おむつ交換・摘便・浣腸などの介護寄りの世話が多くなります。
精神疾患の人は、お話を聞いたり薬のセットがメインになるので、そもそも医療的処置がない場合があります。
また、訪問診療に同行することがまれにあっても、診療所の看護師さんが介助することが多く、自分の出る幕がないこともあります。
「医療行為が看護だ」と感じる人には、物足りないでしょう。
生活を医療中心で考えたい人
在宅では生活を中心に看護を組み立てます。
もちろん、疾患をお持ちなので指示書を発行してもらい訪問するのですが、付き合っている疾患の悪化が多少あったとしても、本人が望む生き方と異なる場合には、なるべく近い形でそれを実現するように考えます。
つまり、疾患が悪化しても、必ずしも治療をするという方向にいくとは限りません。
「病気の人は医療的を施して治療をするのが看護だ」と考える方には向いていないでしょう。
潔癖な性格の人
在宅が一番、各個人の清潔観念が出るところです。
もちろん片付いているお宅のほうが多いです。
疾患により身の回りの整理整頓が難しく、さらに状況が悪化しいわゆる「ゴミ屋敷」と呼ばれる状態になっている場合もあります。
皮膚疾患や華麗により、ベッド周辺や床などに多量の落屑がみられることがあります。
認知症により適切な判断が難しく、排泄物に直接触れてしまうことや、周辺の環境を排泄物で汚染してしまうこともあります。
犬猫を飼っているお宅は毛がちらばっていたり、部屋は片付いていても埃っぽいお宅もあり、アレルギーを持っている方は反応することもあります。
そんなお宅にも訪問します。
規模が大きい訪問看護ステーションの場合は、勤務を調整していかないようにすることができる可能性がありますが、規模が小さいステーションは代わりにいく看護師がいないので行くように言われます。
どうしても汚いお部屋は避けたい、という方にはおすすめしません。
仕事とプライベートを分けたい人
看護のいろんな仕事がある中で、訪問看護はかなり臨床寄りの仕事であるといえます。
慢性期で疾患と付き合うことが目標な方が大半ですが、お看取りの方や特別訪問看護指示書が交付されている方は急変リスクが高いため、こまめに情報収集をしていく必要があります。
オンコールを担当する際には利用者さんの最新情報を収集しておきましょう。
オンコールを持たない場合でも、利用者さんの状況により業務調整等が必要になり連絡がくることもあります。
また、看護師の経験年数にかかわらず、新しい疾患にであったら勉強が必要です。
必要ならば、業務時間外での自習も必要となることもあります。
プライベートの関係で、仕事の時間を伸ばしたくないという方には、定時で終わって切り替えられる他の職種のほうがよいでしょう。
まとめ
再度お伝えしますが、自分が向いていない項目にあてはまっていたとしても、自分が本当に訪問看護をやりたいのなら、努力で補うことは可能です。
様々な経験や知識がそれを凌駕していって、むしろそれが一つの人間らしさを発揮していきます。
また、どこで働くにしても共通して大事なことは、おさえる必要があります。
これから訪問看護を目指そうという方は、どこに就職するのかすごく悩まれると思います。
訪問看護ステーションによって目指すビジョンが異なりますし、どんな人まで受け入れられる雰囲気なのかも異なります。
大前提として、訪問看護ステーションは、訪問看護ステーションという仕組みからつくられているのではなく、訪問看護師という”人”でつくられているからです。
訪問看護の向き不向きはあくまでも指標であり絶対ではありません。
自分が熱意をもって目指したいのであれば、以下のようなステーションを選んで就職するとよいでしょう。
・自分が看護師として目指すビジョンに近いビジョンのステーション
・まずは自分自身が把握している”短所”の部分を受け入れ、それを受け入れてくれる雰囲気のステーション
訪問看護ステーションの選び方はこちらの記事でも解説をしております。併せてご覧ください。
自分がどんな看護をしていきたいかを大切にして、よりよい看護師になっていきましょう!