本記事では、上記のような悩みを解決します。
訪問看護では、利用者さんの疾患や住環境の評価に加え、家族の状況を把握することも重要です。
家族は利用者さんを介護したり、在宅生活の方針を決めたりするため、より質の高い訪問看護サービスを提供するためには、家族との情報共有が大切であるからです。
そこで今回は、訪問看護師が知っておきたい家族との関わり方について、ポイントを3つ紹介します。
家族の負担が大きくなって体調を崩し、利用者さんの在宅生活が難しくなってしまわないように、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
訪問看護師が知っておきたい家族との関わり方のポイント3つ
訪問看護師が家族と関わるうえで知っておきたい3つのポイントは、以下のとおりです。
- 家族が担っている役割を把握する
- 家族の負担や状況に応じた提案をする
- 家族特性を把握したうえで関わり続ける
順番に解説していきます。
家族が担っている役割を把握する
まずは、家族が担っている役割を把握しましょう。
家庭によって家族が担う役割は異なり、その点を理解せずに訪問看護を提供すると、かえって負担を増やしてしまうかもしれないからです。
家族が担っている役割とその負担感の例は、以下のとおりです。
- 日常の介護:食事の支度や更衣の介助は問題なくても、排泄介助やおむつ交換が大変だと感じる
- コンディショニングチェック:体温や血圧の測定は比較的楽に行えるが、座薬の挿入や喀痰吸引などは大きなストレスになる場合がある
- 本人の代理:利用者さんが意思決定できない場合、家族がケアの方針やサービスを決めるため、心理的な重圧を感じる場合がある
- 書類や雑務などの負担:スケジュール管理や買い物、各種申請の手続きなど、細かい雑務が多くなると負担を感じる場合がある
たとえば、座薬をうまく入れられないことに困っているのであれば、挿入する際の力加減や利用者さんの適切な体位といった細かい注意点を伝えられます。
家族の負担や状況に応じた提案をする
家族に対してケアの方法やサービス利用を提案する際は、家族の負担や状況を理解し、押しつけないようにしましょう。
というのも、家族が感じる負担は家庭によって異なり、一律に「負担を減らすべき」と判断してしまうと、かえってストレスを与えてしまう可能性があるからです。
たとえば、入浴の負担を軽減しようとデイサービスを提案しても、家族が必要性を感じていなければ、提案が逆効果になる可能性があります。
家族にとって、利用者さんが自宅で入浴することに大きな意義があるかもしれません。
そういった個々の状況を把握しないまま、むやみにサービスを提案するのは不適切です。
一方で、すべての方針を家族に委ねるのも、負担になるかもしれません。
そこで、家族が本当に解決したい問題に対して複数の提案を行い、家族が自分で方針を決めやすくなるように手助けしましょう。
提案する際には「~するべき」や「~した方が良い」といった決めつける表現ではなく「~があります」や「~が良いかもしれません」といった柔らかい表現がおすすめです。
家族特性を把握したうえで関わり続ける
家族特性を把握し、それにもとづいて関わり続けることが、信頼関係の構築やより良いケアにつながります。
というのも、家族が利用者さんの状況に対して示す態度は家庭によって異なるからです。
たとえば、利用者さんの体調や生活状況について「問題ない」という場合、その背景には家族が問題を認めたくないという心理が働いているかもしれません。
一方で家族が無関心な態度をとる場合、忙しさや心理的な余裕のなさが原因である場合があります。
こういった家族ごとに異なる背景を理解したうえで、訪問看護師は丁寧に話を聞きましょう。
心理学で「ピグマリオン効果」と呼ばれる現象があり、人は他者からの期待や関心を受けることで、前向きな行動をとりやすくなるとされています。
家族が訪問看護師からの積極的な関わりを感じることで、より協力的な姿勢を見せてもらえるようになり、結果的に利用者さんへのケアがスムーズに進むでしょう。
家族の話にしっかりと耳を傾けて聞きたいと思う方は、以下の記事を参考にしてください。
まとめ
今回は、訪問看護師が知っておきたい家族との関わり方について、ポイントを3つ紹介しました。
あらためて3つのポイントを見てみましょう。
- 家族が担っている役割を把握する
- 家族の負担や状況に応じた提案をする
- 家族特性を把握したうえで関わり続ける
利用者さんの望む在宅生活を支援し、多くの役割を担っているのが家族です。
知らず知らずのうちに身体的・精神的な負担を溜め込んでしまわないように、家族にも寄り添っていくことが大切です。
ぜひ本記事を参考にし、家族との関わり方のポイントを知っていただければ幸いです。