訪問看護ステーションでは下記の専門職が勤務しています。
- 看護師
- 保健師
- 准看護師
- 助産師
- 理学療法士
- 作業療法士
- 言語聴覚士
それぞれの専門職に役割があり、多職種が他職種の役割を尊重し共同することで在宅で生活を送る利用者さん一人ひとりを支えることができます。
今回は、訪問看護ステーションで実際に勤務している理学療法士の立場から「訪問看護ステーションにおける理学療法士の役割」について説明をしていこうと思います。
昨今、訪問看護ステーションに従事する理学療法士の数が増えている中で、看護師との連携不足などが指摘されています。
- これから訪問看護ステーションで働きたいと考えている理学療法士
- 理学療法士を雇っている経営者・管理者さん
- これから理学療法士を雇いたいと考えている経営者さん
ぜひ、この記事を参考にしていただき、訪問看護ステーション内の連携強化に活かしていただけると嬉しいです!
目次
訪問看護で理学療法士ができることとは?
まず、訪問看護ステーションで理学療法士ができることを紹介します!
病院や施設と訪問看護でできることの違い
理学療法士が病院や施設と訪問看護でできること、やるべきことは基本的には同じです。
その中で違う点を以下の表にまとめました。
行う場所はもちろん異なり、対応する時のシュチュエーションも基本的には1人で、アプローチする対象者も利用者さんを取り巻く全ての人や環境となります。
また、訪問看護ステーションにおける理学療法士の訪問は、看護業務の一環として、看護師の代わりに訪問するという位置付けであることを理解しておくと良いでしょう。
『理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士の訪問について』
理学療法士、作業療法士又は言語聴覚士による訪問看護は、その訪問が看護業務の一環としてのリハビリテーションを中心としたものである場合に、看護職員の代わりに訪問させるという位置付けのものである。
また、理学療法士の訪問については、利用者に同意を得て記録に残す必要があります。
実際に行っていることは?理学療法士の役割
つぎに、訪問看護を提供する中で、理学療法士が実際に行っていること(役割)を紹介します。
①評価(身体機能、住環境、介護状況)
まず初回介入時には、評価を行います。
身体機能や活動・参加など利用者さんの状態を把握します。
訪問看護ステーションでは、医療的処置など看護師がメインで介入する方もいらっしゃいます。
その場合、担当医からの依頼内容と照らし合わせながら、初回訪問で理学療法士の定期的な介入が必要かどうか判断する場合もあります。
その他に身体機能以外にも色々なことをリハビリ専門職視点で評価します。
- 住宅環境(手すりの位置、ベッドの高さ、段差、危険な場所は?)
- 福祉用具(歩行補助具が適切か?他に必要なものがないか?)
- 介護状況(誰が、どのように、どのくらいの頻度で?困っていることは?)
- 介護負担(介護疲れはないか?、生活への影響)…など
②アプローチ(利用者さん、その家族、関わっている職種)
評価が一通り終わった後は、評価に基づいたアプローチです。
アプローチ先は、利用者さん、利用者さんの家族、関わっている職種など様々です。
利用者さんへは、基本動作(寝返りや起き上がり)、日常生活動作(トイレ動作や入浴動作)の練習や、外出時の動作確認や屋外歩行など様々です。
生活場面においては、必要に応じて適切な福祉用具(歩行補助具や手すりなど)を提案します。
介護が必要な利用者さんであれば、介護者さんの身体状況を見てできるだけ負担が少ない介助方法を提案します。
この場合、介護者さんは家族や看護師さん、介護士さんと多方面に渡ります。
できるだけ統一した介護やケアができるように提案しています。
③こまめな情報共有
アプローチの前に、評価後は必ず情報共有を行います。
同じステーション内、もしくは多事業所を交えたカンファレンスを開き、理学療法士として何ができるのか、何を優先的にするのかを提案しながらみんなで話し合います。
また、病院や施設と違い、すぐに顔を合わせて話ができるわけではないので、優先事項が高いもの(命に関わるようなこと)から、少しでも変化があればできるだけこまめに連絡をとる必要があります。
具体的には、利用者さんの変化として、精神的な変化(意欲など)、ADLの低下、転倒などが発生した場合、利用者さんを取り巻く環境として介護力の低下などが挙げられます。
看護師さんと理学療法士による連携の効果として、「ADLの維持改善」、「QOLの維持改善」、「生活習慣の維持」が高い割合となっています。
また、サービスの質の効果として、看護職員と理学療法士等が共通認識のもと統一したサービスの提供ができる、利用者や家族のニーズに沿った目標設定ができる、利用者の心身機能に合わせた段階的なリハビリテーションが提供できるが高い割合となっています。
さらに、事業所への効果として、他職種協働の意識が高まる、職員の能力向上につながるが高い割合となっています。
在宅での生活を支援する
利用者さんを中心とした人との関わり
在宅では、利用者さんはもちろんその周りの人との関わりも重要です。
理学療法士が関わる時間は1日の中で短い時間です。
それ以外の時間どう過ごしているか、取り巻く環境はどうなっているかなど情報収集が必要です。
利用者さん本人だけでなく、その周りの環境も利用者さんに大きな影響を与えるので、しっかり聴取する必要があります。
身体のことだけではない!生活空間も評価
病院や施設では、療養する空間は同じ条件が多いですが、在宅では利用者さんによって全く違います。
生活空間の評価が必須な理由の一つです。
利用者さんも介護者さんもみんなが生活しやすい環境を提案していくことも理学療法士の役割です。
在宅ならではのリハビリテーション
・各利用者さんで状況が全く違う
前述した通り、在宅では利用者さんはもちろん、利用者さんを取り巻く環境が全く違います。
理学療法士が介入することで、利用者さんを中心とした環境を総合的に評価できるのは、理学療法士の強みではないでしょうか。
またリハビリ室でのリハビリとは違い、実際の生活場面への直結ができるのも在宅だからこそできるリハビリだと思います。
そのためにもこまめな情報共有をして、利用者さんに対して統一したサービスの提供をし、他職種協働の意識を高め職員の能力向上にも繋げていけると良いと思います。
まとめ
訪問看護ステーションにおける理学療法士の役割は、下記の通りです。
- 実際の生活場面での総合的な評価(身体、空間、背景)
- それに伴うアプローチ(無限)
- 利用者さんに関わる人とのこまめな情報共有
様々な視点での支援が重要となる在宅では、広い視野が必要です。
そんな時は、ぜひビジケアにご相談ください。
ビジケアでは、全国の訪問看護ステーションの管理者、経営者、従事者が集い、日々悩みの共有や解決策の提案を行なっています。