訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携のポイント

訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携は、地域高齢者を支援する上で必要な関わりになります。

しかし居宅介護支援事業所との連携と比較すると、連携のイメージがしにくい施設ですよね。

今回は訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携のポイントについて解説します。

地域包括支援センターの役割の整理と、要支援者のフォローの際に必要とされる情報の視点から読み解いていきます!

 

地域包括支援センターの役割とは?

 

地域包括支援センターの役割とはなんでしょうか。

地域包括支援センターの概要と2つの実施内容について、解説します。

 

概要

 

地域包括支援センターは、高齢者の方が地域で自立した生活が継続できるよう、介護・福祉・健康・医療等様々な相談に応じる窓口です。

 

地域包括支援センターは、市町村が設置主体となり、保健師・社会福祉士・主任介護支援専門員等を配置して、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設。(介護保険法第115条の46第1項)

厚生労働省 地域包括支援センターについて

 

設置主体は市町村ですが、運営は社会福祉法人などに委託されていることが多いです。

地域包括支援センターの人員配置基準は、以下になります。

 

  • 保健師その他これに準ずる者
  • 社会福祉士その他これに準ずる者
  • 主任介護支援専門員その他これに準ずる者

 

地域包括支援センターでは、上記3職種の人員確保が難しい状況が続いています。

令和6年に「市町村の判断により複数圏域の高齢者数を合算し、3職種を地域の実情に応じて配置することを可能とする」と改定がありました。(厚生労働省 P16

そのため、地域によっては必ずしも1つの地域包括支援センターに上記の専門職がいるとは限りません。

 

2つの実施内容

 

要支援者への介護予防ケアマネジメントのイメージが強いですが、これは一部の役割に過ぎません。

個別的な対応のみならず、街づくりも担う地域包括支援センターの仕事は多岐に渡ります。

地域包括支援センターの主な2つの実施内容について解説します。

 

地域包括支援センターの2つの実施内容
  1. 包括的支援事業の実施
  2. 地域包括支援ネットワーク

 

包括的支援事業の中に4つの役割があります。

 

包括的支援事業の4つの役割
  • 総合相談支援事業
  • 権利擁護事業
  • 第一号介護予防支援事業(介護予防ケアマネジメント)
  • 包括的・継続的ケアマネジメント支援事業

 

地域包括支援ネットワークは、地域の様々な関係者と連携することとなっています。

訪問看護ステーションに馴染みがあるのは、地域ケア会議ですね。

この地域ケア会議の開催も、地域包括支援センターの役割です。

 

ここからは、①包括支援事業の4つの役割について、細かく解説していきます。

 

総合相談支援事業

地域の高齢者の困りごとや、家族介護者の悩みなどを専門職が初期段階から継続的に対応します。

そして、地域の様々なサービスへと繋げます。

 

権利擁護事業

高齢者が尊厳ある生活が送れるように、成年後見制度の活用促進を図っています。

特に訪問看護ステーションと関わりがあるのは、高齢者虐待またはその疑いが発覚した時ですね。

高齢者虐待の対応等を行います。

 

第一号介護予防支援事業(介護予防ケアマネジメント)

要支援者等に対して、介護予防・日常生活支援を目的とした活動をその選択に基づき行えるよう支援します。

訪問看護ステーションとよく関わる部分ですね。

介護予防のケアプラン作成等を行います。

指定居宅介護支援事業所が委託を受けて実施する場合もあります。

 

地域包括支援センターが介護予防のケアプラン作成等を行う場合、必ずしもケアマネージャーが作成するわけではないことを留意しておきましょう。

 

包括的・継続的ケアマネジメント支援事業

地域における連携・協働の体制づくりや個々のケアマネージャーに対する支援等を行います。

ケアマネージャーの研修会の開催等も行います。

 

訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携のポイント

 

訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携で必要とされるポイントとして、以下の2点が重要となります。

 

  • 日々の利用者さんの様子の共有
  • 利用者さんのサービス利用後の「見立て」

 

順番に解説します。

 

日々の利用者さんの様子の共有

地域包括支援センターのケアプラン作成者が利用者さんのお宅を訪問する回数は少ないです。

月に1回の利用者さん宅訪問が必要とされているケアマネージャーと異なりますね。

場合によっては電話連絡で済まされるケースもあるとのことです。

そのため、日々の利用者さんの様子や発言等は貴重な情報となります。

利用者さんの希望などを、地域包括支援センターの担当者と共有していけると良いでしょう。

地域包括支援センターの担当者からも、どのような情報が必要かあらかじめ聞いておくのも良いですね。

また、高齢者虐待が発覚または疑われる場合、速やかに連携をとる必要があります。

利用者さんだけでなく、介護している家族についても様子を記録しておき、共有できると良いですね。

 

利用者さんのサービス利用後の見立て

介護予防ケアマネジメントでは、利用者さんの課題の解決が重要視されています。

しかし、地域包括支援センターのケアプラン作成者は必ずしも医学的知識に精通している訳ではありません。

そのため、利用者さんの持つ課題がサービス利用によってどう変化するのか見立てがわかりにくいことがあります。

医学的な知識をもつ訪問看護スタッフによって、サービス利用を通して利用者さんの課題がどう変化するのかを共有すると良いですね。

また、要支援者の場合、利用できるサービスが要介護者と比べてかなり限られています。

限られたサービス利用の中で、利用者さんの状態変化や希望を踏まえながら、他サービスの提案もできると良いですね。

 

地域包括支援センターとうまく連携しよう!

 

訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携のポイントについて解説しました。

地域包括支援センターと連携することは、ハードルが高いように感じますが、意外と身近です。

介護予防のケアマネジメントについては、ほんの一部の業務でしかなく、幅広い地域の相談窓口として重要な役割を担っています。

地域包括支援センターの役割を押さえた上で、それぞれの分野で地域住民の支援を連携してできると良いですね。

 

 

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