訪問看護における利用者満足度調査についてわかりやすく解説

 

訪問看護ステーションでは、サービスの質を維持・向上させるために「利用者満足度調査」の実施が推奨されています。

利用者や家族がどのように感じているのかを把握することで、改善すべき課題が明確になり、利用者本位のサービス提供につながります。

しかし、具体的に何を調査すればよいのか、どのように実施すればよいのか迷うステーションも多いものです。

この記事では、訪問看護における利用者満足度調査の目的、実施方法、調査項目の例、結果を活かす方法までわかりやすく解説します。

 

訪問看護における利用者満足度調査とは

利用者満足度調査とは、訪問看護サービスを利用している本人や家族が「どの程度満足しているか」を把握する調査です。

ステーション側の評価だけではなく、利用者の視点で課題を確認できるため、サービスの質改善に欠かせない取り組みです。

目的

利用者満足度調査の主な目的は以下の通りです。

・サービスの質をより良くするための改善点を把握する
・利用者や家族の不安や不満を早期に発見する
・職員の接遇や説明の仕方などを客観的に評価する
・医療機関やケアマネからの信頼性向上につなげる
・ステーションのブランディングや差別化に活用する

 

なぜ訪問看護で満足度調査が重要なのか

訪問看護は、利用者の生活環境に深く入り込みながら支援するサービスであるため、利用者の感じている「満足・不満」がステーションの評価や継続利用に大きく影響します。

在宅サービスは“主観的評価”が重要

在宅では、
・看護師の態度
・説明のわかりやすさ
・訪問時間の正確性
・利用者の生活習慣への配慮
など、細かな部分が満足度に直結します。

これらはステーション側からは気づきにくいため、利用者の声を定期的に集めることが必須です。

クレームを未然に防ぐ効果が大きい

満足度調査は、潜在的な不満を早期にキャッチする役割があります。

アンケートで「実は気になっていたこと」が表面化し、訪問看護師が修正することでクレームやトラブルの防止につながります。

 

満足度調査はいつ実施すべき?

一般的には、以下のタイミングで実施するステーションが多いです。

年に1回

最も多いパターンが年1回のアンケート実施です。厚労省のガイドラインでも推奨されている頻度で、集計も現実的に行いやすい点が特徴です。

新規利用から3〜6カ月後

新規利用者に対して「サービスに慣れてきた頃」に行うことで、改善点を早期に把握できます。

何か大きなトラブルや改善があった後

訪問体制の変更や人員変更後に実施すると、利用者の受け止め方が客観的に把握できます。

 

利用者満足度調査の方法

訪問看護ステーションで実施される代表的な調査方法を解説します。

① 紙アンケート(最も一般的)

・訪問時に配布し、後日回収
・封筒に入れて郵送してもらう方法も可能
・高齢者でも記入しやすい

最も普及している方法で、紙媒体の安心感から回答率が高い点が特徴です。

② WEBアンケート

・QRコードを配布してスマホで回答してもらう
・Googleフォームなど無料ツールで作成できる
・集計が非常に楽で効率的

ICT化が進むステーションでは徐々に導入が増えている方法です。

③ 聞き取り形式

・看護師が本人または家族に聞き取り
・文章を書くのが難しい利用者への配慮
・評価の偏りに注意が必要

認知症のある方や重症度の高い利用者に有効です。

 

満足度調査でよく使われる質問項目10例

訪問看護で一般的に使われる質問項目を紹介します。
選択式+自由記述欄の組み合わせが推奨されています。

基本的な質問例

  1. 看護師の言葉使いや態度に満足していますか?

  2. 事前の説明はわかりやすいですか?

  3. 訪問時間は適切でしたか?

  4. 看護ケア(処置・観察など)に満足していますか?

  5. 相談しやすい雰囲気だと感じますか?

  6. 困りごとに対する対応は早いですか?

  7. 病状や生活の変化に応じて適切な支援ができていますか?

  8. 他職種(医師・ケアマネなど)との連携は円滑だと感じますか?

  9. ステーション全体の雰囲気に満足していますか?

  10. 今後もサービスの利用を継続したいと思いますか?

自由記述欄の例

・良かった点
・改善してほしい点
・気になった点
・スタッフへのメッセージ

自由記述は改善に直結しやすいため、必ず設置しておきたい項目です。

 

調査結果をどう活かす?

満足度調査は実施するだけでなく、「結果をどう改善に結びつけるか」が最も重要です。

① 集計し、全スタッフで共有する

結果はスタッフ全員に共有し、
・強み
・改善点
を明確化します。
訪問看護は個人プレーに見えますが、ステーション全体で質を高めることが重要です。

② 改善策を立てて運営会議で検討

・訪問時間が遅れがち → スケジュール管理を見直す
・説明がわかりにくい → マニュアル作成、研修実施
・担当者によって対応にバラつき → ケースカンファレンス強化

このように具体的なアクションに落とし込む必要があります。

③ ケアマネや地域関係者にも結果を発信

「利用者満足度が高いステーションは紹介しやすい」
というのはケアマネの本音です。

結果を外部にも公開すれば、信頼性UP・新規依頼の増加につながります。

 

利用者満足度調査で注意すべきポイント

実施する際に気をつけるポイントも押さえておきましょう。

匿名性を確保する

名前の記載を求めると本音が書かれにくくなるため、基本的に無記名がおすすめです。

回答しやすいデザインにする

・大きめの文字
・チェック式中心
・短時間で書ける量
が理想です。

回収率をどう上げるか

・訪問時に直接説明する
・回収期限を明確にする
・封筒や返信用封筒を用意する
これらで回収率が大きく変わります。

 

まとめ

訪問看護における利用者満足度調査は、サービスの質改善に直結する重要な取り組みです。

利用者の声を定期的に把握することで、ステーションの課題が明確になり、スタッフの接遇、説明、対応力の向上につながります。

調査結果をきちんと分析し、改善につなげることで利用者満足度が高まり、地域で「選ばれるステーション」としての信頼性も高まります。

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