訪問看護における地域連携のコツ!こんなことを意識して連携しよう!

 

訪問看護事業は活躍できる分野が幅広く、医療・介護・福祉等でサービスを提供しています。

病院、居宅介護支援事業所、訪問介護、福祉用具、通所介護、就労支援施設などいろんな事業所が利用者さんを支援しています。

利用者さんはいろんな方々がいらっしゃり、求められるニーズも多種多様です。

 

  • 医療的ケアをしてほしい
  • リハビリをしてほしい
  • 話の傾聴をしてほしい
  • 福祉用具を貸してほしい
  • お風呂に入る事を手伝ってほしい

 

一例にはなりますが、在宅で生活を続けていく中でサービスを必要とする利用者さんにはニーズに合ったサービスを提供する必要があります。

今回のテーマである「連携」は、専門職同士が包括的に助け合いながらサービスを提供できるような動きを築き上げる事が大事になってきます。

なぜ地域での連携が必要なのか、どのように連携を行っていくべきかをご紹介したいと思います。

私なりの連携の大切さや連携時に意識している事を記載したので、一つの意見として参考にして頂けると幸いです。

 

訪問看護における地域連携|地域包括ケアシステムとは?

 

まず、連携の理解に重要な「地域包括ケアシステム」と呼ばれるシステムがあります。

医療・介護の需要が増加傾向となっている近年、この言葉を耳にする機会は増えてると思います。

厚生労働省は、地域包括ケアシステムについて以下のように述べています。

 

2025年(令和7年)を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築を推進しています。

厚生労働省:地域包括ケアシステム

 

引用:厚生労働省 地域包括ケアシステム

 

この植木鉢図は、地域包括ケアシステムの5つの構成要素(住まい・医療・介護・予防・生活支援)が相互に関係しながら、一体的に提供される姿として図示したものです。

本人の選択が最も重視されるべきであり、本人・家族がどのように心構えを持つかという地域生活を継続する基礎を皿と捉え、生活の基盤となる「住まい」を植木鉢、その中に満たされた土を「介護予防・生活支援」、専門的なサービスである「医療・看護」「介護・リハビリテーション」「保健・福祉」を葉として描いています。

介護予防と生活支援は、地域の多様な主体によって支援され、養分をたっぷりと蓄えた土となり、葉として描かれた専門職が効果的に関わり、尊厳ある自分らしい暮らしの実現を支援しています。

 

引用:厚生労働省 地域包括ケアシステム

 

繰り返しますが、地域包括ケアシステムは、可能な限り住み慣れた自宅や地域で暮らし続けながら、必要に応じて医療や介護等のサービスを使い、最期を迎えられるような体制をいいます。

この制度を理解すると、他サービスとの連携の重要さを実感する事ができます。

 

地域連携での訪問看護師の役割について

 

冒頭の説明でもありましたが、訪問看護は自宅で療養する高齢者や疾患・障害を負った利用者さんの元へ訪問し、必要な医療的ケアやリハビリを提供するサービスです。

また、利用者さんとその家族の医療的・介護的な相談や適切な指導・アドバイスをすることもあります。

ある日急に病気や怪我を患い、今まで通りの生活が送れなくなった利用者さんや家族にとって、在宅での生活は不安や心配な事がたくさんあると思います。

その不安を傾聴し、取り除くのも訪問看護の役割です。

不安や愚痴など、日頃自分の思いを吐き出せない環境下にいる方々にとって、思いを吐き出せる相手がいるというのは、非常に心強く精神的な支えとなります。

また、訪問看護には看護師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士と医療従事者が在籍しており、医療機関と連携を取る際に主体となって動く事が多いです。

医療機関とのやり取りは非常に大切で、健康面や内服、医療的ケアや処置の事などで相談・報告する事で利用者さんの今後の生活に大きく影響します。

在宅での情報を医療機関に伝え、常に包括的な支援がとれる関係性作りも訪問看護の重要な役割だと思います。

 

訪問看護における地域連携のコツ3選

 

訪問看護における地域連携のコツとして以下の3つを紹介します。

 

  • 顔の見える連携を
  • 専門用語の使いすぎに注意
  • 専門分野の知識・技術を高める

 

順番に解説します。

 

顔の見える連携を

連携に必要な事は、報(告)連(絡)相(談)をこまめにする事です。

特に意識すべきは、顔と顔が見える状況下でコミュニケ―ションをとるようにする事です。

連携手段には、メールや連絡帳、連携ノートを活用してサービス利用時の状況を記載する方法もあります。

これらもれっきとした連携にはなりますが、文章だけではニュアンスが異なり伝えたい事が伝わりきれない事があります。

担当者会議や直接会えない時はZOOMを使用した顔の見える連携、1対1の場合は電話で直接話す事も重要となります。

取り組みの一例として、報告書や計画書を作成し郵送等する際、関連事業所に直接伺いお渡しする事も連携の一つとしてご紹介させて頂きます。

実際に私が所属している事業所でもこの方法を取り組んでおり、ケアマネージャーさんや他訪問看護事業所からも好評を頂いています。

相手の表情や雰囲気は電話やメールでは伝わりにくく、直接会う事で相手の事を理解できる事もあります。

多忙な業務に追われる中ではありますが、営業の一環にもなるのでぜひ取り組んでみてはいかがでしょうか。

 

専門用語の使いすぎに注意

 

多職種連携となると、専門職同士が話し合う事になります。

専門職は主にケアマネージャーさんや医療従事者、介護従事者などの職員が多く関わっています。

各々が学んできた知識や技術には専門用語が頻繁に使われています。

全てを理解している人は少なく、自分達が日頃使用している専門用語を自由に使うと、どのような内容を話しているのかが理解できない事があります。

噛み砕いた内容で話したり、内容を簡単に理解できるような表現にしてみる事も重要です。

リハビリ職同士だとこのような会話が聞かれる事があります。

 

膝関節のROMexをする時、ACLが損傷しているから反復的に屈伸動作をしないように注意して下さい。

 

ブルンストロームステージ上下肢ステージⅢ、屈曲共同運動が出現しており、深部感覚も重度鈍麻となっております。プッシャー現象が認められるので座位や車椅子移乗時の転倒リスクが高いです。

 

他職種からすると、「どういう意味?」「どんな状態なの?」「何の事を言っているの?」と意味不明の単語を並べられ理解に困ってしまいます。

まずは、利用者さんがどのような状態なのか、なにを伝えたいのかを念頭に入れ、分かりやすい内容で話す事が大切です。

例えば先ほどの会話、噛み砕いた内容に変えてみるとこのようになります。

 

膝の曲げ伸ばし運動をする際、膝の前十字靭帯という靭帯が傷ついているので、違和感が生じると思います。注意して曲げ伸ばし運動を行ってください。

 

手足の麻痺の程度が重く、感覚障害もあります。座っている時や車椅子への移乗の時にバランスを崩して倒れてしまう可能性があるので気をつけて下さい。

 

前述に比べ、何が起きており何に注意すると良いのかが分かりやすい内容になっています。

利用者さんの課題を解決するために必要な情報提供を行ったり、依頼する事がある場合はぜひ意識してみてください。

そのちょっとした心遣いで大きな信頼関係を築く事ができるかもしれません。

 

専門分野の知識・技術を高める

 

多職種連携するために、それぞれの職域における専門知識や技術を高める必要があります。

利用者さんに携わっているサービス関係者の一員である以上、他の専門職が必要としている情報をお伝えする義務があります。

例えば、私は理学療法ですが他の専門職と連携を図るタイミングは、以下の5点の時だと考えております。

 

  • 利用者さんの健康面や身体機能面で変化が見られた場合
  • 歩行や動作時に注意すべき点がある場合
  • 自宅内の環境設定や福祉用具の提供を行った場合
  • 利用者さんのリハビリ(自主訓練)を他サービス側で実施して頂きたい場合
  • 利用者さんや家族さんと話をした事で情報共有したい場合

 

このような時に理学療法士として評価し、現在の治療がどのような目的で行っているのかを他の専門職に伝えるべきだと思います。

専門分野の知識や技術が低く、自分の考えが浅いと伝えるべき内容がしっかり伝えられずエラーに繋がる可能性があります。

利用者さんの看護面・リハビリ面・ケア面・環境面など多方向で携わる機会があるので、専門職として適宜意見が述べられるよう、日頃から知識や技術に触れる事が大切です。

 

訪問看護師も積極的に地域連携を図っていこう!

 

連携するということは、ただ情報交換すれば良いというわけではなく、利用者さんの事を考え相手に何を知ってもらいたいかを考えて連携することが重要です。

今回は自分なりに意識している事をご紹介しましたが、これ以外にも連携で重要な事はたくさんあります。

他にもこんな事意識してるよ!など臨床で生かせられるご意見があればぜひ参考にさせて頂きたいです。

いろんな意見や情報を出すことで皆さんの知識や経験もより濃くなると思うので、いろんな場面での連携に挑戦してみて下さい!

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ABOUT US
西端 未歩
福井県在住/理学療法士/一般病棟・慢性期病棟での勤務を3年経験し、訪問看護ステーションに転職。現在8年目/営業や広報活動にも取り組んでおり、更なる強みとして自身を高められるよう日々精進中!