訪問看護では、体液や排泄物等の感染物に触れるリスクが高くなります。
また病院などと異なり、業務中は物資の補充が難しくなります。
今回は訪問看護におけるおすすめの感染対策グッズについて、カバンに常備しておくべき物品の観点から解説していきます。
目次
知っておくべき感染対策の基礎知識
昨今の新型コロナウイルスで、感染対策の視点がさらに強化されたことは皆様ご存知かと思います。
期間限定ですが、新型コロナウイルス感染症への対応を評価する特例的評価として、訪問看護への基本報酬上乗せも発生しました。
医療従事者の知識として感染対策の情報は必須のものとなったといっても過言ではありません。
そこで、まずは感染対策を考える上で必要な基本的知識について整理していきます。
感染対策の基本的知識としてはWHOの情報が参考になります。
WHOでは以下の5つを手指消毒のタイミングとして提示しています。
- 患者に触れる前
触れる前に手指消毒を行うことで、感染性物質の伝播を防ぐことができます。
- 清潔/無菌操作の前
吸引などの清潔操作の際には、事前に手指消毒を行う必要があります。
- 体液に暴露された可能性のある場合
血液や排泄物などが触れた場合は、早急に手指消毒を行う必要があります。
- 患者に触れた後
病原体などを広げることを防ぐために、接触後の手指消毒を徹底する必要があります。
- 患者周辺の環境や物品に触れた後
触れた後と同様に、病原体などを広げることを防ぎます。
これらのタイミングでスムーズに手指衛生を行うためには、常にアルコール製剤などを身につけておく必要があります。
また感染対策を考える上で、標準予防策の知識も重要になります。
日本環境感染学会では『医療機関における新型コロナウイルス感染症への対応ガイド 第5版』の中で、標準予防策の徹底の重要性を述べています。
- 手指衛生が新型コロナウイルスに限らず病原体の伝播を防ぐ上で重要であること
- アルコール(エタノール濃度60~90%、イソプロパノール70%を推奨)を用いた手指消毒、石鹸と流水を用いた手洗いいずれも有効であること
- 血液や体液との接触や飛散が予想される場合は、接触または曝露する部位を覆う個人防護具(略称:PPE)を選択して着用し、適切なタイミングと方法で取り外し、廃棄すること
この個人防護具の使用が新型コロナウイルス流行時により一層重要視され、現在ではゴーグルやフェイスシールドの使用が医療従事者に必須の物品となりました。
感染対策に必要なグッズ
訪問看護では事業所を一度出発すると、すぐに戻れなくなる場合があります。
そのような状況で十分な感染対策を行うためには、持ち出しカバンの中に感染対策に必要な物品を取り揃えておく必要があります。
また予備在庫の補充も怠らないようにしなくてはなりません。
ここでは感染対策に最低限必要なグッズについて述べていきます。
アルコール
アルコールを常に携帯し、上述の5つの手指消毒タイミングで使用する準備をしておく必要があります。
出発前に残量の確認と、予備の準備をしておくと安心です。合わせて使用期限の確認もしておきましょう。
アルコールを形態するための肩掛け・腰掛けポーチも販売されています。
必要に応じて、お好みのポーチを用意することもよいでしょう。
ゴーグル・フェイスシールド
新型コロナウイルスの流行以降から、目を保護するためにゴーグルやフェイスシールドの使用場面が増加しました。
持ち運びには不便な物品になりやすいため、筆者はゴーグル専用のケースを用意しています。
また破損時のゴーグル予備も携帯しておくとなお良いです。
マスク
こちらは医療従事者であればケア中は常に使用しているものと思われます。
どちらかというと、汚染した際に取り替えれるように予備を持参しておくとよいでしょう。
手袋・ガウン
上述の個人防護具の1つになります。
むやみに手袋を使用する必要はありませんが、体液に触れる可能性はある際は適切なタイミングで使用してゆく必要があります。
こちらも予備を多めに持参しておけると安心です。
必要に応じてガウンも用意しておきましょう。
その他に感染対策に役に立つグッズ
最後に、必須ではありませんがあって役に立つ感染対策関連グッズを紹介します。
ゴミ袋
訪問看護で意外に困るのが、汚染した物品の廃棄場所です。
病院などであれば感染物を所定の場所にすぐに廃棄できますが、利用者さん宅での廃棄が難しい場合も想定されます。
訪問看護時に発生したごみを一時保管できるように、小さめのゴミ袋、大きめのゴミ袋をそれぞれ用意しておくと安心です。
足カバー
まれに必要になるのが足カバーです。
足元が嘔吐物や体液等で汚染される可能性が生じた際に、直で接触するよりも足カバーを使用した方がよい場合もあります。
緊急時に使用できるようにカバンに忍ばせておくことをおすすめします。
タオル・ペーパータオル
利用者さん宅で汚染物を処理する際に、タオルやペーパータオルがお借りできない場面も想定されます。
特に感染対策の観点からは、使い捨てできるペーパータオルを持参しておくとよいです。
利用者さんによっては、ティッシュ1枚の使用に関しても抵抗を示す方もいます。
いざというときにペーパータオルがあると安心です。
まとめ
訪問看護におけるおすすめの感染対策グッズについて、カバンに常備しておくべき物品の観点から解説しました。
新型コロナウイルスは一時期の感染拡大は過ぎましたが、季節性のインフルエンザなど感染症がなくなることはありません。
今後も医療従事者、利用者さんの安全を守るために、今回の記事が皆様のケアの一助になりますと幸いです。