訪問看護では、訪問看護ステーションから利用者さんのお宅に訪問をして看護を提供します。
訪問のための移動手段は、車や自転車、徒歩など様々です。
日常で自転車に乗るときと、訪問看護の移動時に自転車に乗るときで注意をすることに違いはあるのでしょうか。
この記事では、自転車での訪問看護の留意点を4つ紹介します。
目次
訪問看護の移動手段
訪問看護の移動手段には、以下のような方法があります。
- 車
- バイク
- 自転車
- 公共交通機関(電車・バスなど)
- 徒歩
主な訪問の手段は訪問看護ステーションがある地域の特性や訪問範囲の広さによって異なります。
全国的には車での移動が一般的ですが、住宅が密集している都心部の訪問看護ステーションでは自転車で移動することが多いです。
公共交通機関は、悪天候で車や自転車の運転が危険な時や、自費の訪問看護などで遠方に訪問するときに使用することがありますが、あまり一般的ではありません。
訪問看護で利用する自転車
訪問看護で使用する自転車は電動自転車が一般的です。
電動自転車とは、専用モーターが付いており漕いだ力をモーターの力でアシストしてくれる自転車のことです。
軽くペダルを踏み込むだけでも安定して走行できる速度まで加速してくれます。
足に負担がかかりやすい坂道や、重たいものを載せた走り出しでも安定して走れるところがメリットです。
訪問看護ステーションがある地域によっては、坂道が多いエリアもあります。
また、重たい訪問バッグを持って移動する訪問看護師にとっては、電動自転車は協力なパートナーです。
一方で、電動自転車は漕ぎ始めからスピードが出るため、電動自転車に乗り慣れないと思わぬ事故につながる可能性があります。
電動自転車に乗ることが初めての場合は、実際に訪問に行く前に試運転をして電動自転車の感覚を確認するようにして下さい。
また、電動自転車は一般の自転車にモーターやバッテリーなどが追加されているため、本体重量が普通の自転車に比べて重くなっています。
モーターのバッテリーが切れてしまうとアシスト機能がなくなり、重たい自転車を自力で漕ぐことになります。
訪問中にバッテリーが切れないように、適宜充電をしましょう。
自転車での訪問看護の留意点
自転車で訪問にまわる際の留意点は、以下の4つです。
- 定期的に点検を行う
- 交通ルールを守る
- 自転車事故に備える
- 天候や天気に合わせた準備をする
以下で詳しく説明していきます。
定期的に点検を行う
安全に自転車で訪問を行うために、定期的な自転車の点検は欠かせません。
自転車屋さんに任せるだけでなく、自身でも日常的に点検を行いましょう。
日常的な自転車点検は、自転車に乗る前に以下のポイントに沿って行います。
- ブレーキ:前後輪とも良くきくか
- タイヤ:空気は十分に入っているか
- ベル:よく鳴るか
- サドル:グラグラとゆるんでいないか、両足先が地面につく高さになっているか
- ハンドル:曲がっていたり、グラグラしていないか
- 反射材:汚れてないか、よく見えるか
- ライト:点灯するか
日常点検で気になった箇所を直すことが難しい場合や、困ったときに相談ができる自転車屋さんを、訪問看護ステーションの近くや、訪問ルートに見つけておきましょう。
交通ルールを守る
自転車は、道路交通法上は「軽車両」となっており車両に分類されます。
免許がなくても乗ることができる自転車ですが、運転の際は車として交通ルールを守らなくれはいけません。
また、道路交通法の改正により、令和5年4月1日から全ての自転車利用者のヘルメット着用が努力義務化されました。
交通ルールを正確に把握できている人は、少ないのではないでしょうか。
特に、普段車に乗る習慣がない方は細かい交通ルールを意識することが少ないかもしれません。
必ず一度は自転車の交通ルールを確認して下さい。
訪問看護ステーションのスタッフ全員で、交通ルールの読み合わせをする機会を定期的に設けてみてはいかがでしょうか。
自転車事故に備える
万が一、訪問中に自転車事故が起きて加害者、被害者のどちらになった場合でも慌てずに対応が出来るように、事故発生時の対応を確認しておきましょう。
自転車走行中に、対物・対人・単独の事故が起きた時は、必ず警察官を呼ぶ必要があります。
その理由は、道路交通法72条に以下のように定められているからです。
交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
事故が起きた場合の対応を以下に記載します。
- 警察に連絡(近隣の交番に報告、もしくは110番に電話をする)
- 負傷者の救護(必要時、救急要請をする)
- 自己相手の連絡先の確認
- 訪問看護ステーションに連絡(事故が発生したこと、訪問の変更など必要事項を連絡し指示を受ける)
もしもの時に、落ち着いて対応するためには、日頃からの備えが大切です。
交通ルールの確認と合わせて、事業所内で定期的に緊急時の行動のシュミレーションを行いましょう。
天気や気候に合わせた準備をする
訪問看護は天気や気候の影響を受けやすい仕事です。
雨の日はレインコートを着て、自転車を運転します。
夏の気温が高い日は、日差しを除けることができ、体温調整ができる服装が最適です。
冬の気温が低い日は、暖かくすることはもちろんのこと、利用者さんに触る手が移動中に冷えないように手袋などの防寒グッズが必要です。
雨の日や暗い時間帯は、自転車を運転している姿が車から目立つように、明るい色のレインコートや反射板のついた上着を着用することが事故防止につながります。
1日の中での天気の変動にも備えて、レインコートなどは持ち歩くことをおすすめします。
移動中の天候に影響を受けて、精神的に焦ってしまうと、その後の利用者さんとの関わりにも影響が出る可能性があります。
訪問看護師の心と身体を守るためにも、天気や気候に合った服を着用し、準備をすることが大切です。
まとめ
自転車での訪問看護の留意点を4つ紹介しました。
- 定期的に点検を行う
- 交通ルールを守る
- 自転車事故に備える
- 天候や天気に合わせた服装
自転車での訪問にまわっていると、気温の変化や風の変化から、季節の変化を実感することができます。
また、色々な道を走っていると、利用者さんが通院している病院や利用しているスーパーなどを実際に見ることができて、生活をよりイメージすることが出来ます。
新しくできたお店などの情報は利用者さんやスタッフ同士の会話のきっかけにもなりますよね。
悪天候の際は大変なこともありますが、小回りの効く自転車での訪問看護はとても快適です。
4つの留意点は日常で自転車に乗るときも役に立つ内容で、決して訪問看護で自転車に乗るための特別なことではありません。
気を付ける点を確認した後はリラックスして自転車での訪問を楽しんでください。
今日も元気に、訪問にいってらっしゃい!
就職する訪問看護ステーションは移動に自転車を使っています。
自転車で訪問するために準備することや気を付けることはありますか?