近年、理学療法士等のリハビリ専門職の全体の数は、増加しています。
リハビリ専門職は病院で働くイメージが強いですが、地域包括システムの構築により、最近では在宅や地域で働くリハビリ専門職が増えています。
在宅では、訪問看護ステーションで働くリハビリ専門職が増えており、これから後輩がどんどん増えるということです。
後輩指導については、病院では、新人教育プログラム等といった教育プログラムが、すでにあるところが多いですよね。
訪問看護ステーションにおいては、病院ほどの教育プログラムが確立されていないところが多いのが現状です。
そんな中、もし後輩が入ってきたら、どのようなことを指導すべきか悩みますよね。
今回は、訪問看護(リハビリ)における後輩に指導すべき内容5選をお伝えします!
目次
訪問看護(リハビリ)における後輩に指導すべき内容
私が病院から訪問看護ステーションへ働く場を変えた際の経験に基づき、指導すべき内容を5つ挙げます。
- コミュニケーション
- 環境調整
- 活動や参加への取り組み
- マナー
- 連携相談
ひとつずつ解説していきます!
コミュニケーション
訪問リハビリにおけるコミュニケーションは、さまざまなところで重要となってきます。
訪問リハビリでは、利用者さんや家族との関わりは、病院以上に密接です。
関わっていく中で、利用者さんのゴール設定は、病院よりも具体的であり、利用者さんによって多様化されますよね。
ゴール設定は、利用者さんや家族の意向を聞きながら進めていく必要があります。
そこで鍵となるのが、コミュニケーションです。
利用者さんや家族と信頼関係がなければ、希望や意向は聞き出せません。
信頼関係が築けるコミュニケーション方法が身に付くように、以下の項目を注意して指導すると良いでしょう。
- 姿勢
- 目線
- 話し方
- テンポ
- 声の大きさ
環境調整
訪問看護(リハビリ)では、利用者さんの自宅に訪問します。
病院や施設とは異なり、必ずしも安全な環境ではありません。
しかし、利用者さんやその家族にとっては、当たり前の日常となっており、違和感を感じていないことがほとんどです。
そこにリハビリ専門職が訪問することで、より良い生活が送ることができるように環境調整していくことは、とても重要です。
指導するときは、環境調整が必要なことを挙げ、その解決策をカテゴリーに分けて整理すると良いでしょう。
- 自宅にあるものを工夫して使う。
- 家族指導が必要である。
- 訪問看護師や訪問介護士など専門職の介入が必要である。
- 福祉用具のレンタルや購入が必要である。
在宅での環境調整は、病院よりも工夫が必要であり、多方向からの視点が必要です。
工夫のポイントが掴めるよう、適宜相談や指導が必要です。
環境調整は、利用者さんや家族の意向の確認が必要です。
利用者さんや家族への提案方法や同意の取り方なども、細かく指導していくと良いでしょう。
これらの指導の際は、介護保険で利用できる福祉用具について合わせて指導すると良いでしょう。
介護保険でレンタルできる福祉用具の記事を参考にしてください。
活動や参加への取り組み
訪問リハビリでは、利用者さんが生きがいを持って、生活を再構築していく場です。
歩行能力が上がることやFIMの点数が上がるだけでは、生活の再構築にはなりませんよね。
利用者さんの生活場面で行う訪問リハビリにおいて、活動と参加は、生活の質(QOL)を左右します。
しかし、病院ではなかなか活動や参加を評価してアプローチする機会が少ないのが現状です。
後輩に指導する際は、まずは評価の指導が重要です。
後輩としては、どのように評価すれば良いのか悩むことがあると思います。
その場合は、評価ツールを用いて、点数化し変化をみることができるように指導すると良いと思います。
点数化されることで、後輩自身のフィードバックになり、さらに多職種との連携にも使うことができます。
評価ツールについては、以下を参考にしてください。
- ADL:BI(バーサルインデックス)、FIM(機能的自立度評価法)
- IADL:老犬式活動能力指標、FAI(改訂日本語版Frenchay Activities Index)
- 社会活動:生き生き社会活動チェック、社会活動チェック表
- ニーズ評価:興味関心チェックシート、生活行為確認表
- その他:日本理学療法士協会が出している包括的評価法(E-SAS)
- 社会関係や精神面、健康関連QOL
これらの評価は、全ての利用者さんに必要というわけではありません。
利用者さんにとって必要な評価を選ぶことも、指導の一つですね。
アプローチについては、利用者さんの能力に合わせたアプローチが必要となります。
評価をもとに、どのように取り組んだら希望が実現されるのか、できるだけ具体的に考えられるように指導しましょう。
マナー
訪問リハビリでは、一人で利用者さんの自宅へ訪問するため、マナーが必須です。
例えば、あいさつや言葉遣い、物品管理など、利用者さんが快く自宅に迎えてくれるためのマナーを身につけておくことが必要です。
まずは、同行訪問でマナーが守れているかを確認しておきましょう。
一人での訪問となると、確認ができないため指導がしにくくなります。
クレームに繋がる前に、指導する必要があるかどうかを確認をしておきましょう。
訪問時におけるマナーで注意すべきポイントは、こちらにまとめてありますので参考にしてください。
連携相談
訪問看護におけるリハビリでは、多職種、さらに他事業所との関わりが病院に比べてとても増えます。
多職種との連携については、まず職種についての理解ができるように指導しましょう。
それぞれの職種の役割を知っておくと、誰にどのようなことを伝えるべきであるかわかります。
また聞きたい情報がある時も、誰にどのようなことを聞くべきかわかります。
さらに、他事業所との連携は、連絡方法についても、指導する必要があります。
病院や施設と違い、他の事業所になるため、それぞれの場所に合った連絡方法を選択しなければなりません。
伝える内容や連携先によって、電話あるいはファックスか、直接会うべきか、またそのタイミングはいつが良いか、適宜指導しましょう。
そして、一番重要なことは、このような相談ができる先輩と後輩の関係づくりです。
日頃からコミュニケーションをとり、後輩が報告・連絡・相談がしやすい関係づくりを心がけてください。
まとめ
今回は、訪問看護(リハビリ)における後輩に指導すべき内容を5つ紹介しました。
訪問リハビリでは、利用者さんとの関わりや、多職種、多事業所との連携が必須です。
専門的な評価や技術はもちろん、コミュニケーションやマナーなど人となりも見られます。
これらの指導は、後輩が報告・連絡・相談がしやすい関係づくりが重要です。
以上の指導すべき内容をもとに、多くのリハビリ専門職が活躍することを願っています。