訪問看護において避けて通れないのが「オンコール対応」。
しかし、「電話が鳴ったのに気づかなかったらどうしよう…」「本当に起きられるか不安」といった悩みを抱える訪問看護師は少なくありません。
実際、睡眠中に電話の着信に気づけず、大きな不安を感じた経験がある方もいるのではないでしょうか?
本記事では、オンコールで“起きられなかった”ときのリスクや対処法、現役訪問看護師が実践しているリアルな対策を詳しくご紹介します。
目次
オンコールで起きられなかったらどうなる?
利用者や家族に不安を与えてしまう
オンコールは、夜間や休日に利用者・家族からの連絡を受け、必要に応じてアドバイスや訪問を行う重要な業務です。万が一、電話に出られなければ、利用者の不安を増幅させたり、緊急対応が遅れるリスクもあります。
事業所の信頼問題につながることも
オンコール対応ができないことで、利用者やご家族から「この事業所は頼れない」と判断されてしまう可能性も。ケアマネや医師との信頼関係にも影響が出ることがあり、法人としての評判リスクにもなり得ます。
最悪の場合「ヒヤリハット」や「重大インシデント」に
急変対応が必要だったのに連絡がつかず、訪問が遅れてしまった場合、医療過誤に近いトラブルにつながることもあります。オンコールで起きられなかった=即重大事故とは限りませんが、対応の遅れによる利用者の状態悪化があった場合、記録や説明責任が問われるケースもあります。
現役訪問看護師が実践する!オンコールで起きるための対策
起きられないリスクは、準備と習慣で最小限に抑えられます。
ここでは、実際に多くの看護師が実践している「オンコールで確実に起きるための対策」をご紹介します。
1. スマホの音量と設定を徹底管理
最大音量+バイブレーション+フラッシュ通知+緊急モードの4つを併用することで、電話に気づきやすくなります。
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「おやすみモード」や「通知オフ」機能が働いていないか確認
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緊急連絡先(事業所番号)を“重要人物”として設定する
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スマホを枕元に置き、顔の近くで鳴るようにする
これだけでも目覚めの確率は大きく上がります。
2. スマートウォッチや2台目の端末を活用
睡眠中でもバイブレーションで確実に気づくためにスマートウォッチを装着する看護師が増えています。
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Apple Watch や Galaxy Watch などを就寝中も装着
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睡眠中でも振動でアラートを通知してくれる
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スマホを寝室の反対側に置いても安心
また、法人携帯と個人携帯の2台持ちで、万が一片方が鳴らなかった場合の保険にしている人もいます。
3. 事前の仮眠と睡眠時間の確保
オンコール前日はできる限り早く休む・眠気を残さないように仮眠を取るなど、コンディションを整えることが基本です。
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19〜20時に30分〜1時間の仮眠をとっておく
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カフェインの摂取タイミングを調整する(寝る3時間前まで)
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夜更かししない、アルコールを避けるなど体調管理も大切
「寝落ちして鳴らなかった」は、努力で防げるケースもあります。
4. 不安なときは家族の協力やアラーム併用も
「初めてのオンコールで不安」という場合は、同居している家族やパートナーにサポートをお願いするのも一つの方法です。
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家族にも「電話が鳴ったら起こして」と伝えておく
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1時間ごとにアラームを設定し、うっすら起きる習慣をつける
1人で抱え込まず「絶対に起きるぞ」と思い詰めすぎないことも大切です。
もし本当にオンコールで起きられなかったら?そのときの対応
万が一、オンコール中に電話に出られなかった場合の対応も準備しておくことが重要です。
電話があったらすぐ折り返す
目覚めた時点ですぐに折り返し連絡を入れるのが第一です。「すみません、対応が遅れてしまいました」と率直に謝罪し、状況を確認・把握しましょう。
状況に応じて速やかに訪問準備
急変などの可能性がある場合は、準備を整えて速やかに訪問できる体制をとります。訪問不要の場合でも、丁寧な電話フォローを行うことで不安の軽減につながります。
事業所や上司への報告を必ず行う
電話対応が遅れたことは、ヒヤリハット報告書や日誌等で記録に残す必要があります。状況を隠さず、次に活かす姿勢を示すことが信頼維持につながります。
まとめ
オンコール対応は訪問看護において重要な役割ですが、「寝ていて電話に気づかなかったらどうしよう…」という不安を抱くのは自然なことです。
大切なのは、“起きられない”というリスクをゼロにするのではなく、限りなく低くする工夫と、起きられなかったときの誠実な対応を準備しておくことです。
スマホの設定・睡眠の質の改善・スマートデバイスの活用・家族の協力など、自分に合った対策を見つけることで、安心してオンコールに臨めるようになります。
誰にでも起こり得ることだからこそ、準備と心構えがあなた自身と利用者を守るのです。



















