介護の現場で欠かせない福祉用具ですが、「福祉用具」であれば介護保険でなんでもレンタルできるというわけではありません。
介護保険でレンタルできる福祉用具とレンタルできない福祉用具は何が違うのでしょうか。
当記事では介護保険でレンタルできる福祉用具の種類についてわかりやすく解説します。
目次
介護保険でレンタルできる福祉用具とは?
介護保険上で定義されている福祉用具には全部で11項目(付属品を含めると13項目)あります。
- 車いす(付属品含む)
- 特殊寝台(付属品含む)
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 手すり
- スロープ
- 歩行器
- 歩行補助つえ
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト(つり具の部分を除く)
- 自動排泄処理装置
この11項目に当てはまらないものは基本的に介護保険ではレンタルできない福祉用具となります。
また、この11項目の中に入っていても利用者さんの介護度によってはレンタルの対象にならないこともあります。
介護度によるレンタル項目の違いとは?
介護保険では上記の通り11項目がレンタルの対象となっていますが、利用者の介護度によってこの項目全てが当てはまるかは異なります。
介護度によってレンタルの対象が変わる項目は以下の7項目です。
- 車いす(付属品含む)
- 特殊寝台(付属品含む)
- 床ずれ防止用具
- 体位変換器
- 認知症老人徘徊感知機器
- 移動用リフト(つり具の部分を除く)
- 自動排泄処理装置
各項目について詳しく解説します。
車いす関連
車いすや車いすに使用するクッションなどの付属品は、要介護2以上の人がレンタル対象となっています。
介護ベッド関連
介護ベッドのことを介護保険では特殊寝台と呼びます。
この特殊寝台(付属品含む)や特殊寝台に使用する床ずれ防止用具、体位変換器に関しては要介護2以上の人がレンタルの対象となります。
移動用リフト
移動用リフトとは、車いすの昇降リフトや移乗をサポートする吊り上げるようなリフトなどがあります。
この移動用リフトは要介護2以上の人がレンタル対象となっています。
認知症老人徘徊感知機器
認知症老人徘徊感知機器とは、センサーなどで動体を検知した際に音や光などで知らせてくれるような機器のことです。
この認知症老人徘徊感知機器は要介護2以上の人がレンタル対象となっています。
自動排泄処理装置
自動排泄処理装置とは、排便・排尿が起きたことを自動で感知して、吸引、洗浄、乾燥する機械装置のことです。
この装置は排尿のみを感知するものと排便・排尿の両方を感知するものの2種類があります。
この2種類のうち、排便・排尿の両方の感知ができる装置に関しては要介護4・5の人がレンタルの対象となります。
例外的な給付について
基本的には上記の通りに介護度によってレンタルできるものが異なってきます。
様々な疾患や状態によって介護度が該当しなくても厚生労働省が定める状態像に当てはまる場合には、それぞれの福祉用具をレンタルすることが可能になることがあります。
また、その状態像に当てはまるかどうかということを証明するために主治医からの意見書などが必要になることがあります。
車いす関連
車いすが必要な状態とは、日常的に歩行が困難な場合や移動の支援が特に必要と認められる場合をいいます。
このような状態の場合に関しては車椅子や付属品のレンタルを認められることがあります。
介護ベッド関連
介護ベッドが必要な状態とは、日常的に起き上がりが困難な場合、もしくは寝返りが困難な場合をいいます。
このような状態の場合に関しては特殊寝台や付属品、床ずれ防止用具、体位変換器のレンタルを認められることがあります。
移動用リフト
移動用リフトが必要な状態とは、日常的に立ち上がりが困難な場合や移乗が一部介助もしくは全介助を必要とする場合、生活環境において段差解消が必要と認められる場合をいいます。
このような状態の場合に関しては移動用リフトのレンタルを認められることがあります。
認知症老人徘徊感知機器
認知症老人徘徊感知機器が必要な状態とは、意見の伝達、介護者への反応、記憶、理解のいずれかに支障があり、移動において全介助を必要としない場合をいいます。
このような状態の場合に関しては認知症老人徘徊感知機器のレンタルを認められることがあります。
自動排泄処理装置
自動排泄処理装置が必要な状態とは、排便に全介助が必要であり、移乗が全介助を必要とする場合をいいます。
このような状態の場合に関しては自動排泄処理装置のレンタルを認められることがあります。
まとめ
今回は、介護保険でレンタルできる福祉用具の種類についてお伝えしました。
介護保険では11項目がレンタル対象とされていますが、介護度によって全てがレンタル可能かは異なります。
また、ここまででお伝えしたことは項目の定義としてのことですので、実施にレンタルする場合にはケアマネジャーに必要性を認めてもらい、ケアプランに福祉用具の必要性を記載してもらう必要があります。
そのためにも福祉用具のレンタルを考えた際は、まずケアマネジャーに相談してみることが一番の近道かもしれません。
ぜひ、利用者さんに福祉用具の提案をする際にはその利用者さんの介護度や状態を考慮しながらお話ししてみてください。