精神科訪問看護はどんな病名が多いのか?解説します!

精神科訪問看護は、在宅で生活する精神疾患を持つ利用者さんをサポートする専門的なサービスです。

しかし、「実際どんな病名の人が多いの?」「精神科訪問看護の対象疾患って?」と疑問に感じる方も多いでしょう。

精神科と一口にいっても疾患は多岐にわたり、それぞれ症状の特性や看護のポイントが異なります。

本記事では、精神科訪問看護で特に多い病名をわかりやすく解説し、訪問で押さえるべきポイントも合わせて紹介します。

精神科訪問看護に興味のある看護師の方や、これから働きたい方にも役立つ内容です。

 

精神科訪問看護で多い病名とは?

精神科訪問看護で多い疾患は、症状の特徴や在宅での生活課題に応じて、以下のような病名が特に多く見られます。

 

1.統合失調症

精神科訪問看護で最も頻度が高い疾患が「統合失調症」です。

妄想、幻聴、思考障害、感情の平坦化などが特徴で、再発予防のための服薬支援が非常に重要です。

訪問看護での支援ポイント
・服薬管理(飲み忘れ予防)
・生活リズムの調整
・妄想が強い時の安全確保
・興奮や不安への対応
・家族との連携

訪問で顔を合わせることで、症状変化の早期発見につながりやすい疾患です。

2.うつ病・双極性障害(躁うつ病)

気分障害も精神科訪問看護で対象が多い疾患です。

● うつ病

気力低下、抑うつ、食欲低下、不眠、自責感などが中心で、生活が大きく崩れやすい疾患です。
自傷リスクのアセスメントが重要になります。

● 双極性障害

躁状態と鬱状態を繰り返す疾患で、症状の波が大きく、生活リズムの管理が必須です。

支援ポイント
・睡眠状況の確認
・食事や日常生活の支援
・薬の副作用・服薬状況のチェック
・再発兆候のモニタリング(睡眠短縮、過活動など)

気分の波に合わせた柔軟な関わりが求められます。

3.不安障害・パニック障害

不安の強さや発作により在宅での生活に支障が出るケースが多い疾患群です。

外出困難、過呼吸、不安発作、健康不安などが見られます。

訪問看護での支援
・不安時の呼吸法の指導
・発作の早期予兆の確認
・外出練習の同行
・服薬・受診支援

「安心できる存在としての訪問看護」が非常に効果的な疾患です。

4.強迫性障害(OCD)

手洗いや確認行動が止まらない、汚れの強い恐怖感などにより、生活が大きく乱れてしまいます。

行動制限や対人関係の問題が生じやすく、訪問看護での行動支援が重要になります。

 

5.PTSD(心的外傷後ストレス障害)

過去のトラウマが原因で、フラッシュバック、過覚醒、回避行動などが現れます。

外出や社会参加が難しく、在宅でのサポートが有効です。

支援ポイント
・安心できる環境づくり
・トリガーの把握
・本人ペースに合わせたコミュニケーション

無理な働きかけは逆効果となることがあります。

 

6.認知症(若年性含む)

認知症は高齢者だけでなく、若年性認知症で訪問看護を利用するケースもあります。

記憶障害・被害妄想・興奮などがあり、家族支援も非常に重要です。

訪問看護の役割
・生活リズム・服薬の調整
・安全確保
・家族の介護負担軽減
・徘徊や夜間不穏の対策

医療だけでなく、介護・福祉と連携した総合支援が必要な疾患です。

 

7.発達障害(自閉スペクトラム症/ADHD)

成人の発達障害で訪問看護を利用するケースが増えています。

対人関係の困難、衝動性、生活の組み立ての難しさなどが課題になります。

訪問看護での支援
・生活スケジュール作成
・忘れ物・遅刻対策
・コミュニケーションの練習
・就労支援機関との連携

“生活まるごと支える看護”が求められる疾患です。

 

8.アルコール依存症・薬物依存症

依存症は再発率が高く、継続的な支援が必要な疾患です。

断酒や減酒を支えるだけでなく、生活環境・人間関係の調整も重要になります。

支援例
・通院・デイケアの継続支援
・飲酒行動の振り返り
・家族支援(共依存の改善など)
・危険行動のモニタリング

本人だけでなく家族も巻き込むアプローチが必要です。

 

9.パーソナリティ障害

対人関係の不安定さが特徴で、訪問看護でも衝動的行動や依存・拒絶が起きることがあります。

支援ポイントは、
・境界線を守る(過度に踏み込まない)
・安定した対応
・安全確保
・他職種との緊密な連携
などです。

関係性のコントロールが非常に重要な疾患群です。

 

精神科訪問看護で押さえたい共通の看護ポイント

● 症状の変化を“毎回の訪問で細かくチェックする”

精神疾患は変動が大きいため、表情・言動・睡眠・食事などの変化から悪化兆候を見つけます。

● 服薬管理は最重要

服薬が整うと症状も安定しやすいです。服薬確認、ピルケース活用の提案などは基本です。

● 本人・家族・医師・多職種との連携

訪問看護だけで抱えず、チームで支えることが精神科では最も重要です。

● 安全確保を最優先

興奮・自傷・他害のリスクは常に意識し、危険を感じたら無理をせず管理者・医師へ相談します。

 

まとめ|精神科訪問看護は幅広い疾患に対応する専門的な分野

精神科訪問看護で多い病名は、


・統合失調症
・うつ病/双極性障害
・不安障害・パニック障害
・強迫性障害
・PTSD
・認知症
・発達障害
・依存症
・パーソナリティ障害

など多岐にわたります。

それぞれの疾患で必要な支援内容は異なりますが、共通して求められるのは「観察力」「コミュニケーション力」「生活支援」「安全確保」「多職種連携」です。

精神科訪問看護は難しさもありますが、利用者さんの生活が安定したときの喜びは大きく、やりがいのある分野です。

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