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「脱アナログ業務で何が変わる?最高のケアをするための、訪問看護の業務効率化とは!?」
講師:株式会社デザインケア 代表取締役社長、みんなのかかりつけ訪問看護ステーション 代表 藤野 泰平 氏
今回は、令和4年8月29日に開催した有料会員向けセミナーのご紹介です。
まずは講師の紹介です!
講師紹介
藤野 泰平/Yasuhira Fujino
- みんなのかかりつけ訪問看護ステーション 代表
- 株式会社デザインケア 代表取締役 看護師
- 愛知医科大学 看護学部/愛知医科大学大学院 非常勤講師
- 一般社団法人 オマハシステムジャパン 発起人理事
講師プロフィール
- 聖路加国際病院救命救急センターを経て、2014年株式会社デザインケア みんなのかかりつけ訪問看護ステーションを開設。
- ケアが届かない地域がある社会課題を解決するために、日本の隅々まで最高のケアを届けることを目指し、社会インフラを創るため現在、関東、中部、関西に18か所を運営。
- 医学的ケアだけではなく、本人がどう生きたいか、生きる希望を支えるケアを展開している。
2020年:日本看護協会「看護業務の効率化 先進事例アワード」優秀賞受賞
2021年:経済産業省・中小企業庁「はばたく中小企業・小規模事業者300社」
講義内容スタート
講義に入る前に、藤野様の自己紹介や社会インフラとして訪問看護を目指しているというお話から始まりました。
藤野様の地元は、愛媛県にある島です。(TOKIOの番組で有名になったDASH島だそうです!)
藤野様は、ご家族が地元に訪問看護がないがためにご自宅のある島から離れ、愛媛県松山市の病院や施設で晩年を過ごさなければならない状況をご経験されました。
縁もゆかりもないところでの病院や施設で人生の晩年を過ごさなければならない人は多く、もし地方の田舎にも訪問看護があれば家に帰ってこられる人も多いでしょう。
日本には、訪問看護ステーションがない地域が30%あります。
地方の田舎ではケアが届かない故に、自分の馴染みの家で過ごせないという方が日本には3割程度おられる現状があります。
訪問看護ステーションの数は増えていますが、訪問看護ステーションが増えているのは都市部ばかりで地方の田舎ではむしろ減っている地域もあるのです。
訪問看護という分野でいえば、社会保障のセーフティネットが田舎に行けば行くほど切れており、ケアが届かない方々がたくさんいらっしゃいます。
藤野様は、日本の隅々まで最高のケアを届ける社会インフラを作り、当たり前にケアがある世界を作っていきたいという志があり、訪問看護ステーションを始めようと思ったという経緯を話してくださいました。
藤野様の日本の医療が届いていない地域にも訪問看護を届けたいという熱い思いを聞き、こちらまで心が熱くなりました。
講義は、以下の内容で構成されています。
第一部 業務効率化への取り組み ICT化、業務効率化による経営・管理への結果
第二部 ITや社内SNS導入のポイント
第三部 これからの訪問看護DX
DXの定義は次の通りです。
引用)総務省より
Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)
デジタルトランスフォーメーション(英:Digital transformation,DX)とは、「ITの浸透が、人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」という仮説である。2004年にスウェーデンのウメオ大学教授、エリック・ストルターマンが提唱したとされる。ビジネス用語としては定義・解釈が多義的ではあるものの、おおむね「企業がテクノロジー(IT)を利用して事業の業績や対象は荷を根底から変化させる」というIT化といった意味合いで用いられる。
なお、本用語は一般的に「DX」と表記される。英語の接頭辞「trans-」には「across(を超えて)」という意味があり、後半のcrossを「X」と略してDigital Transformationは「DX」と表記されることが多い。
日本は人口が減少する中で、ケア提供者が増えていかず、高齢者が増えていくという現状があります。
訪問看護師が看護ケアをちゃんと届けるという社会保障的な役割を果たすためには、業務の効率化は必要不可欠であり、効率化には目的と手段の関係がとても重要だと説明してくださいました。。
目的:実現したい姿
手段:実現のための道具と手立て
DX化は道具や手立てであって目的ではないため、手段を目的化してはいけません。
業務効率化で何を実現したいのかを考えることが大事だそうです。
講義では、業務効率化についてさらに深ぼって詳しく説明してくださり、効率化に何が大事なのかを気づかせていただける機会になりました。
デザインされたケアで、人生のすべての段階で。
全ての人々が豊かに暮らせる社会を実現する。
会社のVision実現が最終目標であって、ここに付随するいくつかのレイヤーの目的に合わせたDX化をすることが大事だというお話から、DX化の具体的な説明が始まります。
講義の中では、以下の目的に合わせたDX化の説明をひとつずつ詳しく具体的にしていただきました。
- 人でしかできない最高のケアの実践のための効率化
- より善い経営判断をするのためのデータ化
- 価値創造のためのデータ化
訪問看護ステーションの業務性質上、様々な書類がたくさんあり、連携など直接ケア以外の仕事も訪問看護はかなり多いですよね。
連携ツールや記録ソフト、eFAX、Web会議などを活用した業務効率化について、藤野様の事業所での取り組みの背景や内容の経緯も詳しく説明していただきました。
藤野様の事業所での業務効率化の取り組みの成果や、もたらされた効果には次のようなものがあります。
1.業務の効率化
2.労働環境の向上
3.看護職の身体的負担・精神的負担の軽減
4.利用者に対して最高のケアが提供できるように
1.情報の抜け漏れの解消
2.ケアをスピーディに対応
3.チーム間のコミュニケーションの向上
4.不安事項のスピーディな解消
5.多様性のある働き方に対応
講義の中では、取り組みに対しての成果や効果がどんなものがあったのか、それぞれ具体的に説明してくださり、業務の効率化する重要性を再認識しました。
そして、私たちが取り組む社会問題の話へ移ります。
在宅の看取りの現状は約10%であって、日本国民の約50%の願いである「馴染みの家や地域で、最後まで(好きな人と)生き抜きたい」は叶っていないということが大きな課題です。
市民が在宅を選ばない原因は、大きく分けて次の3つがあります。
- 病気の不安
- 介護負担
- 家にいるメリット
藤野様の「医療に一番お金を払っている人は誰かというと市民であり、私たちの大株主は市民であるため、都市部だけでなく地方の田舎にも最高なケアを届けていく責任がある。」という言葉は、心に響きました。
日本の人口もケア提供者も減ってきているため、私たちが社会保障の提供者として多くの方にちゃんとしたケアを届けいていくためには生産性向上は必要不可欠です。
既存の診療報酬化でICT等導入して組織の生産性を向上すると、社会の持続可能性を高めることに繋がっていくため、生産性を向上する努力をしていくことが日本の隅々まで最高のケアを届けるということに繋がっていくのだろうとお話がありました。
DXの例で、中国のオンライン診療アプリ「平安好医性(平安グッドドクター)」というものがあると視野を広げる意味合いでの情報提供もあり、改めて先を進んでいる世界のDX化に驚きです。
遠隔診療しながら健康増進していくのかということは、今後はとても重要な課題なのではないでしょうか。
講義の最後には、「将来的に診療報酬は緩やかに下がっていくため、今体力があるうちに様々な投資をして生産性を高めておくことは生存戦略という観点から見ればとても大事である」というお話で締めくくられました。
質問タイム・交流会
講義の後は質疑・応答へと移り、多くの参加者の方からたくさんの質問が寄せられましたので、その中の一部をご紹介します。
FAXの送信もデジタル化されていたが、eFAXを活用しているのでしょうか?eFAXは1通5円とか結構な金額がかかっていたと思うのですが、送信はそちらを活用されているのでしょうか?
今はeFAXを使っています。理由は、もともと全国展開をするという時に市外局番がそこの地域の市外局番が使えるということがとても大きいメリットがあったので、そういった背景から当時からeFAXを活用しています。
この他にも参加者の方より質問がたくさんあり、藤野様はどの質問にも真摯に丁寧に答えてくださり、とても参考になる内容ばかりでした。
デジタル化は他の業種では進んでいますが、医療の場合は3~5年遅れている入ってきているという感覚があります。
効率化は、ノウハウよりもこれからどうなっていくのか、何のためにやっていくのかという理解を進めることが大事なのかなと思いました。
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株式会社ビジケアの代表の上妻(コウヅマ)です。
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