「サ高住の訪問看護って、どんな仕事をしているの?」
「サ高住」と最近よく耳にしますが、サ高住での訪問看護はどんな仕事をしているのか気になりませんか?
近年、下のグラフのようにサ高住の数も増えてきており、サ高住の訪問看護師の求人も増えてきています。
引用)サービス付き高齢者向け住宅 情報提供システム サービス付き高齢者向け住宅登録状況(令和3年7月末時点)
今回、サ高住での訪問看護の実際を、サ高住で訪問看護の経験をした私がご紹介していこうと思います。
これからサ高住で訪問看護をやってみたいと少しでも考えている看護師さんや医療関係者さんは、ぜひ参考にしてみてください。
目次
サ高住ってなに?
一体「サ高住」とは、どんな建物で、どんな方が住まわれているのでしょうか?
まず「サ高住」について簡単に解説します。
サ高住とは、「サービス付き高齢者向け住宅」の略称で、高齢者の安心を支えるサービスを提供するバリアフリー対応の賃貸住宅のことです。
2011年の「高齢者の居住の安定確保に関する法律(高齢者住まい法)」の改正により創設され、現在まで順調に施設数が増加しています。
サ高住は、60歳以上の高齢者、あるいは要介護認定を受けた60歳未満の方を対象にしており、アパートやマンションを借りるのと同じ「賃貸契約」をすることになります。
入居される方の要介護度などの範囲は比較的「要支援」「要介護1.2」の方が多く、平均介護度は1.76となっています。
最近は「要介護4.5」や医療依存度が高い方、認知症のある方も受け入れているところも増えてきているのが現状です。
サ高住では、日中は医療、介護の専門家スタッフが常駐していますが、義務付けられているのは「安否確認」と「生活相談」だけなのです。
賃貸住宅に高齢者向けのサービスが少し付いているといった感覚ですね。
入居者が介護や看護を受けたい場合は、訪問介護や訪問看護など外部のサービスを個別に契約し、サービスを利用するという形になります。
夜間はスタッフの常駐義務はありませんが、緊急時にすぐに駆け付けられるよう通報システムを整えていたり、宿直や夜勤という形でスタッフを配置しているところもあります。
「サ高住」についてもっと詳しく知りたい方は、下記を参照してください。
サ高住での訪問看護師の役割
つぎに、「サ高住」での訪問看護師の役割について解説していきます。
仕事内容
サ高住での訪問看護師の仕事内容は、施設にもよりますが、主に訪問看護師としての仕事と施設内看護師としての仕事を兼務する場合が多いと思います。
サ高住での看護師の役割や1日の仕事の流れは主に下記のようになります。
- 利用者さんの健康管理、バイタルチェック、服薬管理、排便コントロールなど
- 医療処置:在宅酸素管理、経管栄養管理、インスリン注射、褥瘡処置、点滴管理、ストマ管理、膀胱留置カテーテル管理、吸引など
- 記録、報告書、計画書作成
- 入居者さんの健康管理、服薬管理、食事介助、トイレ誘導、緊急時の対応、医師に基づく処置
- 介護スタッフへの支援、連携
- 訪問診療の介助
- 記録、申し送りの記入
09:00 始業、申し送り
09:30~11:30 訪問看護業務2~3件(バイタル測定、処置及び経管栄養の準備と注入、インスリン管理)
11:30 記録、食事配膳、内服管理、食事介助
12:30〜13:30 昼休憩
13:30〜16:00 訪問看護業務2~3件(バイタル測定、処置及び経管栄養の準備と注入)
16:00~17:00 入居者の対応、記録、食事配膳、食事介助
17:30 申し送り、残っている仕事
18:00 終業
訪問看護の仕事の合間に、ほかの入居者さんの健康管理や対応を行うといったイメージです。
サ高住の訪問看護師の給料は?
給料は地域にもよりますが、だいたい基本給は約22~30万円程度になります。
この基本給に加え、時間外手当や職務手当、通勤手当、住宅手当、夜勤手当などの手当ても支給され、これらも含めると月給26~35万円くらいになります。
賞与も年2回(2.5~5.0か月分)支給があるところが多いようです。
サ高住での訪問看護師の給料は、病院勤務の看護師の給料と同じくらいか、やや低めではないでしょうか。
夜勤はあるの?
夜勤も施設により異なりますが、看護師の夜勤勤務があるところもあれば、夜勤勤務はなくオンコール体制や当番があるところもあります。
私が体験したサ高住では、看護師の夜勤勤務はなく夜間のオンコール体制はあるもの、夜間の緊急時の対応はだいたい夜勤の介護スタッフが往診医師と連携を取り対応していたため、オンコール対応はほぼありませんでした。
施設により夜勤の介護スタッフから看護師にオンコールがあるところもありますので、夜間の施設によって対応はさまざまだと思います。
サ高住で働く看護師のメリット、デメリット
サ高住で訪問看護師として働くメリット、デメリットをご紹介します。
- 車や自転車などの移動がない
- 介護スタッフと入居者さんの情報共有ができる
- トラブルがあっても他のスタッフがいるので相談しやすい
- 夜勤がない(施設により異なる)
- 介護の知識も必要なため覚えることが多い
- 看護師が少ないので少し心細い
- 介護スタッフと意見がぶつかることもある
- 訪問看護の仕事以外の業務も多いため、やや多忙
メリットは、在宅の訪問看護では必須の移動がないので、体は楽です。
医療、介護スタッフと入居者さんの情報共有もできますので、状態把握がしやすく、何か問題があっても早めの対応ができます。
そして、在宅での訪問看護は一人で行う場合が多いですが、施設内は一人ではなく医療や介護のスタッフもいますので心強いです。
デメリットは、医療の知識だけでなく介護の知識も必要なため覚えることが多いです。
サ高住は、介護スタッフに比べ看護師の人数は少ないため、やや心細くなる時もあります。
また、看護師と介護スタッフは学んできた環境や知識や技術も違いがあります。そのため意見がぶつかることもあり、スタッフ同士のトラブルも正直あります。
「サ高住」にかぎった話ではないですが、働く上でメリットもデメリットもありますが、入居者さんがよりよい生活を送られるように看護、介護がお互いに協力しながら入居者さんを支援していくことが大切だと思います。
まとめ
今回は、「サ高住とは?」「サ高住での訪問看護師の役割」などについてお伝えしました。
サ高住では、訪問看護師としての仕事だけでなく施設看護師として仕事もありますので、多忙なこともあります。
訪問看護師は、在宅であっても施設であってもサ高住であっても、その利用者さんにその人らしく楽しく生活してもらえるよう、それぞれに合った看護やケアを気持ちよく行っていきたいですね。
ビジケアでは、全国の訪問看護ステーションの管理者、経営者、従業者が集い、日々悩みの共有や解決策の提案を行っています。サ高住や施設内での訪問看護の仕事に悩んだり、つまづいた時にはぜひ、ビジケアにご相談ください。
「サ高住ってよく聞くけど、いったいどんなところなの?」