衛生材料等提供加算とは?点数・算定要件をわかりやすく解説

「訪問看護指示書に衛生材料の量を記載してと言われたけれど、そもそも衛生材料等提供加算って何?」「うちのステーションは算定できないと言われた、なぜ?」——制度基礎コースで最初につまずきやすいのが、この衛生材料等提供加算です。

衛生材料等提供加算は訪問看護ステーション自体が算定する加算ではなく、指示書を出す保険医療機関側が算定する加算という点が、まず理解のポイントになります。この記事では、点数・算定要件・算定できないケース・訪問看護計画書と報告書の記載ポイントを、公的資料をもとに整理します。

この記事でわかること
  • 衛生材料等提供加算の点数と、誰が算定する加算なのか
  • 算定要件と、訪問看護計画書・報告書に必要な記載内容
  • 加算が算定できないケース(他の管理料等との関係)
  • 訪問看護ステーション側が気をつけたい実務上のポイント

衛生材料等提供加算とは?誰が算定する加算なのか

衛生材料等提供加算は、訪問看護指示料(300点)または精神科訪問看護指示料に対する加算です。訪問看護ステーションではなく、指示書を交付する保険医療機関(主治医)が算定します。訪問看護ステーション自身が診療報酬明細書に記載する加算ではないため、「うちの請求に出てこないのはおかしいのでは」と混同しやすい点です。

在宅療養を行っている利用者のうち、褥瘡処置や気管カニューレ管理、留置カテーテルの管理などで衛生材料(ガーゼ、絆創膏、消毒液など)や保険医療材料が継続的に必要な人が対象になります。

看護師 上妻
看護師 上妻

「なんで訪問看護師の私たちが、必要な衛生材料の量を計画書に書かないといけないの?」と思うかもしれませんが、これは主治医が加算を算定するための根拠資料を、現場で利用者を見ている訪問看護師が提供する、という役割分担なんです。

衛生材料等提供加算の点数

点数は月1回、80点です。主治医は訪問看護指示書を交付する際、対象患者について「訪問看護指示料(300点)+衛生材料等提供加算(80点)」として算定します。

項目内容
算定者訪問看護指示書を交付した保険医療機関(主治医)
点数月1回 80点
対象在宅療養に衛生材料・保険医療材料が継続的に必要な患者
紐づく基本点数訪問看護指示料(300点)/精神科訪問看護指示料

衛生材料等提供加算の算定要件

算定にあたって主治医は、訪問看護ステーションから提出された訪問看護計画書・訪問看護報告書をもとに、療養上必要な衛生材料等の量を判断したうえで、必要かつ十分な量を支給する必要があります。近畿厚生局の資料でも、次のように整理されています。

POINT

訪問看護計画書には「衛生材料等が必要な処置の有無」「処置の内容」「衛生材料等(種類・サイズ)」「必要量(1か月間に必要な量)」を具体的に記入し、訪問看護報告書には「衛生材料等の使用量および使用状況」「衛生材料等の種類・量の変更の有無」を記入することが定められています。

つまり訪問看護ステーション側の実務としては、単に「ガーゼ〇枚」と書けばよいのではなく、処置の内容と紐づけて、1か月あたりの必要量を具体的に記載することが求められます。記載が曖昧だと、主治医が必要量を判断できず、加算算定や十分な衛生材料の支給につながりません。

訪問看護計画書に書くべき内容

  • 衛生材料等が必要な処置の有無(褥瘡処置、カテーテル管理など)
  • 処置の内容(具体的な処置名)
  • 使用する衛生材料等の種類・サイズ
  • 1か月間に必要となる量

訪問看護報告書に書くべき内容

  • 衛生材料等の名称、使用・交換頻度、1か月間の使用量
  • 衛生材料等の種類・量の変更の要否と、変更内容

衛生材料等提供加算が算定できないケース

衛生材料等提供加算は、在宅療養指導管理料等、衛生材料や保険医療材料の支給がすでに包括されている点数を算定している場合には、別途算定できません。在宅療養指導管理料は「必要かつ十分な量の衛生材料又は保険医療材料を支給した場合に算定する」点数のため、同じ材料費を二重に評価しない、という考え方に基づきます。

注意

在宅自己腹膜灌流指導管理、在宅寝たきり患者処置指導管理料など、在宅療養指導管理料に類する点数を主治医が算定している患者については、その点数に衛生材料等の支給が含まれるため、衛生材料等提供加算は別建てで算定されません。どの管理料と重複するかは患者ごとに異なるため、最終的な算定可否は主治医・保険医療機関側の判断になります。訪問看護ステーション側で「算定できるはず」と断定せず、疑問があれば主治医に確認する姿勢が実務上は安全です。

訪問看護ステーション側が気をつけたい実務ポイント

衛生材料等提供加算そのものは主治医が算定する加算ですが、その算定を支えているのは訪問看護ステーションが提出する計画書・報告書です。記載が不十分だと、利用者に必要な衛生材料が十分に届かない事態にもつながりかねません。

  1. 処置内容を具体的に把握する褥瘡処置、留置カテーテル管理など、衛生材料が必要になる処置を訪問時に正確に記録する。
  2. 1か月あたりの必要量を見積もる処置の頻度・交換頻度から、実際に1か月でどれだけの量が必要かを計算し、計画書に反映する。
  3. 使用実績を報告書に反映する実際に使用した量・変更の有無を報告書に記載し、必要量とのズレがあれば次月の計画に反映する。
  4. 疑問点は主治医に確認する他の管理料と重複しそうな場合や、必要量の妥当性に迷う場合は、遠慮せず主治医に相談する。

特別管理加算との違い・混同しやすいポイント

衛生材料等提供加算と混同されやすいのが特別管理加算です。特別管理加算は、気管カニューレ使用者や真皮を越える褥瘡がある利用者などに対し、訪問看護ステーション側が算定する加算で、こちらは主治医ではなく訪問看護ステーションの介護報酬・医療保険療養費として計上されます。

一方、衛生材料等提供加算は、あくまで主治医が交付する訪問看護指示料に対する加算であり、算定主体も、評価している内容(材料の現物支給に対する評価か、重症度に応じた管理体制への評価か)もまったく異なります。同じ利用者について両方が同時に発生することもあり得ますが、それぞれ別の制度として理解しておく必要があります。

看護師 上妻
看護師 上妻

新人の頃、特別管理加算と衛生材料等提供加算をごっちゃにして先輩に指摘されたことがあります。「誰が算定するか」で覚えると区別しやすいですよ。訪問看護ステーションの請求書に載るのが特別管理加算、主治医側の指示料に載るのが衛生材料等提供加算、というイメージです。

よくある質問

衛生材料等提供加算は訪問看護ステーションの収入になりますか?

なりません。この加算は保険医療機関(主治医)が訪問看護指示料に上乗せして算定するものであり、訪問看護ステーション側の診療報酬・介護報酬には直接計上されません。訪問看護ステーションの役割は、計画書・報告書を通じて必要量の判断材料を提供することです。

衛生材料が足りないと感じた場合、訪問看護師はどうすればよいですか?

訪問看護報告書の「衛生材料等の種類・量の変更」欄に変更の必要性と内容を記載し、主治医に報告します。緊急性が高い場合は、報告書の提出を待たず、電話等で直接連絡して量の見直しを相談するのが実務上安全です。

精神科訪問看護の場合も同じ扱いですか?

精神科訪問看護指示書についても同様に、精神科訪問看護計画書(別紙様式3)・精神科訪問看護報告書(別紙様式4)に衛生材料等に関する記載欄が設けられており、考え方は共通しています。

訪問看護計画書に必要量を書き忘れた場合、どうなりますか?

主治医が必要量を把握できず、加算の算定や十分な衛生材料の支給に支障が出るおそれがあります。次回作成時には必ず記載し、気づいた時点で速やかに主治医へ補足の情報提供を行うことが望ましい対応です。

あわせて読んでおきたい関連記事

訪問看護指示書まわりの加算は、算定できる加算・できない加算の区別が紛らわしいものが多くあります。あわせて整理しておくと理解が深まります。

1ヶ所でしか算定できない加算・複数事業所で算定できる加算を見る

まとめ|衛生材料等提供加算は主治医が算定、訪問看護は記載が要

衛生材料等提供加算は、訪問看護ステーションが直接算定する加算ではありません。しかし、その算定の根拠となる訪問看護計画書・報告書を作成するのは訪問看護師の役割です。制度の建付けを理解したうえで、日々の記録を丁寧に行うことが、利用者に必要な衛生材料を確実に届けることにつながります。

この記事のまとめ
  • 衛生材料等提供加算(月1回80点)は、訪問看護指示料に対する加算で、主治医(保険医療機関)が算定する
  • 訪問看護計画書に処置内容・必要量、報告書に使用実績・変更の有無を具体的に記載することが求められる
  • 在宅療養指導管理料等、衛生材料の支給がすでに包括されている点数を算定中の場合は別途算定されない

算定可否に迷うケースでは、断定せず主治医に確認する姿勢を大切にしましょう。

次に読むべき関連記事

加算の全体像をさらに整理したい方は、区分支給限度基準額に含まれない加算についても確認しておきましょう。

区分支給限度基準額に含まれない加算を見る
出典・参考(公的機関)

点数・算定できないケースの詳細は、実際の診療報酬点数表・関連告示、または所轄の地方厚生局に最新情報をご確認ください。

ビジケア公式LINEに登録すると、訪問看護に関する最新情報(診療報酬や介護報酬改定を中心とした内容)が月に2回無料で配信されます。

最新セミナー情報やお得なご案内も配信していますので、よろしければ登録をお願いします。

友だち追加

 

ABOUT US
上妻 裕弥看護師/MBA取得
株式会社ビジケア代表取締役/看護師・MBA取得。これまで200社以上の訪問看護事業所へ経営コンサルティング・BPOサービスを実施。経営者・管理者のサロン等も含めると500社を超える。単月黒字化から複数拠点展開、事業承継まで支援し、看護師の視点で「続く経営」をつくる。別法人にて自身でも全国に訪問看護ステーション展開している。