訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携は、地域高齢者を支援する上で必要な関わりになります。
しかし居宅介護支援事業所のケアマネージャーらとの連携と比較すると、イメージがしづらい連携施設になるかと思われます。
今回は訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携のポイントに関して、地域包括支援センターの役割の整理と、要支援者のフォローの際に必要とされる情報の視点から解説します。
目次
地域包括支援センターの役割とは?
まず地域包括支援センターとは、高齢者の方が地域で自立した生活が継続できるよう、介護・福祉・健康・医療等様々な相談に応じる窓口です。
主な職員は保健師、社会福祉士、ケアマネージャーとなります。
多様な有資格者が在籍し、幅広い領域の地域からの相談が集約される施設になります。
自治体によっての違いはありますが、主に4つの役割があります。
総合相談支援業務
高齢者の困りごとや、在宅介護者の悩みなどを総合的に相談対応します。
住民の相談を幅広く受け付け、地域包括支援センターの連携能力を生かした制度横断的な支援を行います。
権利擁護業務
高齢者虐待の防止や、詐欺の防止への対応を行います。
成年後見制度の活用促進なども対応範疇になります。
介護予防ケアマネジメント業務
介護保険において要支援1、要支援2の判定がでた高齢者に対して、介護予防ケアプランの作成を行います。
基本的にはケアマネージャーの動きに近いですが、介護度が要介護認定の方は居宅介護支援事業所の対応になり、介護度が要支援認定の方は地域包括支援センターの対応になることで区分けされています。
またケアマネージャーは利用者さん宅に月1回訪問して現状把握をする必要がありますが、地域包括支援センターでは毎月訪問する必要はありません。
包括的・継続的ケアマネジメント支援業務
ケアマネージャーからの相談対応や研修会の開催など、ケアマネージャーへのサポートを行います。
「地域ケア会議」等を通じた自立支援型ケアマネジメントの支援、支援困難事例等への指導助言も対応業務になります。
以上主な4つの役割について説明させて頂きました。
要支援者へのケアマネジメント業務のイメージが強いですが、これは一部の役割に過ぎません。
個別的な対応のみならず、街づくりも担う地域包括支援センターの仕事は多岐に渡ります。
訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携の際のポイント
訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携で必要とされるポイントとして、以下の2点が重要となります。
- 日々の利用者さんの様子の共有
- 利用者さんのサービス利用後の「見立て」
順番に解説します。
日々の利用者さんの様子の共有
月に1回の利用者さん宅訪問が必要とされているケアマネージャーと異なり、地域包括支援センターのケアプラン作成者が利用者さんのお宅を訪問する回数は少ないです。
場合によっては電話連絡で済まされるケースもあるとのことです。
そのため日々の利用者さんの様子・発言等は貴重な情報となります。
訪問看護では利用者さんと毎回顔を合わせることができるため、利用者さんからふとしたタイミングで聞かれた希望などを、地域包括支援センターのスタッフへ共有していけるとよいでしょう。
利用者さんのサービス利用後の「見立て」
利用者さんのサービス利用後の見立てに関する情報を、ケアプランを作成している地域包括支援センタースタッフは求めています。
介護予防ケアマネジメントでは、利用者さんの課題の解決が重要視されています。
しかし地域包括支援センターのスタッフは必ずしも医学的知識に精通している訳ではありません。
そのため利用者さんの持つ課題がサービス利用によって改善するのか、変わりないのかの見立てを立てることが難しい場合も考えられます。
医学的な知識をもつ訪問看護スタッフによって、サービス利用を通して利用者さんの課題がどの程度改善できる予想かを共有しておけるとよいでしょう。
まとめ
訪問看護ステーションと地域包括支援センターの連携のポイントについて解説させて頂きました。
地域包括支援センターはケアマネージャーよりも少しコミュニケーションを取るハードルは高いかもしれません。
しかし地域全体の介護予防を支える上では連携が不可欠な機関となります。
地域包括支援センターのスタッフとは情報の過不足を補いあう形で助け合うのが理想の関係性であると考えます。
地域包括支援センターの対象者
介護保険認定を受け要支援区分と判断された場合には、利用者さんにケアマネージャーはつきません。
代わりに地域包括支援センターのスタッフが、介護保険利用のケアプランを作成します。
介護保険を初めて利用する場合、まず初めに地域包括支援センターが窓口となります。
研修会の開催や各種制度などの情報を、該当の地域住民に対してお伝えします。