次世代訪問看護師紹介vol.76|宮川菜摘さん

ビジケア広報・町田
「次世代訪問看護師」は、訪問看護の現場で実際に働いている人たちの働き方や想いを紹介するコーナーです。

今回は、子どもたちとそのご家族のケアに特化した小児訪問看護ステーションを立ち上げた宮川さんをご紹介します!

 

お名前

宮川さん
宮川菜摘です。

よろしくお願いします!

 

働いている地域はどちらですか?

宮川さん
事業所がある東京都目黒区を中心に、東京23区内を訪問しています。

 

働いている職場(事業所)を教えてください

宮川さん
株式会社Lico perk「ファミリアナース」です。

2022年10月に小児特化型訪問看護ステーションとしてファミリアナースを設立し、代表取締役兼管理者を務めています。

 

現在の仕事以前の職歴や経歴を教えてください

宮川さん
新卒からこども専門の総合病院に7年半ほど勤めていました。

その後は看護大学にて小児看護学の非常勤助手として勤務したり、NPO法人にて「ひとり親のママのための精神科訪問看護」の新規立ち上げに参画したり、重度身体障がい者(児)のグループホーム、小児訪問看護などを経験しました。

 

町田
小児に携わる看護や事業にずっと携わっていますね・・・!

宮川さんのことは以前から知っていましたが、ブレない芯の強さが伝わってきます。

 

現職(訪問看護師)歴は?

宮川さん
訪問看護師は2年ほどになります。

現職(ファミリアナースを立ち上げてから)は9ヶ月になりますね。

 

訪問看護に興味を持ったきっかけは?

宮川さん
こども病院で働いている中で、5年目の頃だったと思いますが部署の異動もあり、初心に返って今後の進路などを考えていたとき・・・私が小児科の路に進んだ原点である、幼少期に歳の離れた同胞のケアをしていた母の姿を思い出しました。

病棟で働く中で多くの学びがありましたが、お看取り後や退院後に子どもたちやご家族の方とお会いする機会はほとんどありません。そんな中でわざわざ会いにきてくださる方がいて、嬉しい反面もどかしさを感じたこともありました。

病院から家に帰ってからも子どもたちとご家族の生活が続いていくことを考えると、「地域で暮らす子どもたちとご家族の伴走させていただけることが、私が本来やりたかったことなのかもしれない」と考えるようになりました。そうした折に訪問看護の同行研修も受けさせてもらい、訪問看護の印象が変わったことも影響しているかもしれません。

 

町田
“入院先の看護師”ではその先の地域・自宅での生活に関わる機会はなかなかないですよね。

でも病院で働いて得た経験や気づきがあったからこそ、宮川さんの中に“地域”という新しい方向性が見えてきたんですね。

 

訪問看護を始める前に感じていた、訪問看護のイメージは?

宮川さん
「他人様のお城に入っていくなんて・・・失礼があったらと思うと気が重いな」「何か汚したり壊してしまったらどうしよう」「一人で判断なんてできるのかな」と思っていました。

 

町田
“一人で他人の家に入っていく”って不安だらけになりますよね・・・。

 

実際に始めてみて変わった・感じる訪問看護の世界

宮川さん
病棟で関わってきた子どもたちが、大好きな家族と安心した表情で楽しそうに過ごされているのを見て感動しましたね。

またそれを見て、病棟にいた頃にもっと“その後の生活”を知ることができていたら、より意味のある退院支援ができたのではないかとも感じました。

子どもたちがきょうだいと当たり前に喧嘩したり遊んだりしている姿や、児発(児童発達支援)やデイ、学校、保育園などに通ってお友達と過ごしている姿もとても生き生きとしていて・・・子どもたちの色んな顔が見られて嬉しかったです。

 

町田
病院の中だと病気や障がいに対するケアや関わりが中心だったと思いますが、そのときには見えなかった生き生きと生活する姿を目の当たりにして・・・感動が伝わってきます。

そして嬉しさと同時に、宮川さんの視野もすごく広がったんだろうなと感じました。

 

訪問看護でやりがいや喜びを感じること・嬉しかったエピソードはありますか?

宮川さん
弊社は通常の訪問看護ステーションと違い、小児に特化した24時間365日対応のちょっと変わった訪問看護ステーションです。

なので、ご利用者様はみなお子さんなのですが・・・ご家族のはじめての育児の悩みや少しずつ疾患や障がいを受容されていく過程でのご相談も日々たくさんいただいています。同じご家庭は一つとないので、それぞれのご家族にとってのベストを一緒に考えてさせていただける過程はとても難しいですが、同時にとても面白いです。

何より、子どもたちが大好きなご家族と一緒に暮らして、日々成長されていく姿を継続して見守らせていただけるのはとっても楽しいです。病院ではなかなか会えないきょうだいさんたちともお話ししたり遊んだり、きょうだい同士の関わりと互いの成長をみることができるのも訪問看護の醍醐味だな思います。

 

町田
この答えに宮川さんのやりたかった支援ややりがいがギュッと詰まってますね!

本人とご家族にとってのベストを一緒に考えて創っていく・・・宮川さんやファミリアナースが伴走してくれることは、それぞれのご家庭にとってとても心強い支援になっているではないかと思います。

 

宮川さん
子どもたちやご家族から「またきてね」と言ってくださることが多く、とっても嬉しく癒されます。

もちろん訪問看護にも卒業はありますが、悪いことがあって行く病院と違って生活の場なので、“会いたいけどもう来ちゃだめだよ”って思わなくていいことは嬉しいです。

ご家族から「ずっとこんなステーション探していたの、出会ってくれてチームに入ってくれてありがとう」と言っていただけることは、自分たちの掲げるビジョンが間違っていなかったんだと答え合わせになっていて、“創ってよかった、もっとよくしていこう”というモチベーションにも繋がっています。

 

町田
子ども・ご家族の支援に特化したサービスを形にしていくのは並大抵の大変さではないと思います。

想いだけではなく多くの知識や経験・実績なども必要になってくるので、それだけ希少な存在になりますよね・・・。今後もっと担い手が増えたり、近い活動とのつながりが増えていくといいですよね。

 

働く中で、大変だった・苦労した場面やエピソードを教えてください

宮川さん
病棟勤務をしていた頃は、夏の暑さや雨・冬の寒さなどを通勤でしか感じなかったのですが・・・訪問看護に関わるようになってから季節の移り変わりを以前よりも感じるようになりました。大変といえば大変ですが、“生きてる”って感じもしています。

 

町田
自転車訪問の方などは特に・・・だと思いますが、訪問看護は良くも悪くも季節や天候の影響をダイレクトに受けますよね。

天候に左右される大変さもありますが、季節を感じながらの移動や、訪問先で季節の話ができる楽しさもありますよね。

 

宮川さん
あとは、小児は訪問エリアも広くなるので、この仕事をしていなければ行くことがなかった地域に足を運ぶことも多いです。そこで色んな街の様子や、それこそ自治体による制度の違いなどを知ることでびっくりしたり混乱しそうになることもありますが・・・色々と考えさせられて面白いです。

慣れない路線で慌てて電車に飛び乗り、間違えてしまい大慌てしたのは痛い記憶ですが・・・東京観光しているような気分にもなれますね。

 

町田
通常より広い範囲での訪問は大変そうです・・・。

とはいえ続けていく中でどんどん地域や制度にも詳しくなりそうで、これから宮川さんの知識やできることがさらに広がっていきそうですね!

 

これから先、どんな訪問看護師になっていきたいですか?

宮川さん
子どもとご家族の安心安全を守っていくのはもちろんですが、子どもたちとご家族がよりのびのびと色んなことを選択でき、生活しやすい社会にしていくことが私が目標にしていることです。なので事業所の垣根を超えて、そんな社会つくっていける看護師になりたいです。

私は子どもたちに、病気や障がいがあっても家族が仕事など社会参加を諦めなくてよく、また子どものご家族が自己実現をして生き生きとしている姿をみて子どもがパワーをもらえる・・・そんな子どもとご家族を増やしたいと願っています。

もちろん子ども自身もご家族自身もそれぞれの在り方があるので、それぞれに楽しく生活されていく過程を横でそっと伴走させていただけて、必要とされ手を伸ばされたときにはそっとその手をつかめる・・・そんな存在であれればいいなと思っています。

 

町田
子どもたちやそのご家族を支えたいという想いと、それを形にしていく情熱や行動力が素晴らしいです・・・!

宮川さん、ありがとうございました!

 

宮川さんの活動紹介

・ファミリアナース ホームページInstagram募集ページ

・宮川さんのtwitter

 

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町田
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ABOUT US
町田 舞広報
ビジケア広報・ウェブ担当。 看護師/フリーランス。看護メディア(マイナビ看護師、ナース専科、月刊ナーシング等)で執筆・編集経験多数。在宅医療研究会レポート担当。システムエンジニアだった経験を活かしウェブ・SNS・ITの力でヒト・モノ・コトの橋渡しを軸に活動。ITとリアルの融合で人がつながり支え合う地域包括社会を目指す。訪問看護師・ウェブライター・看護師オンラインサロン運営・看護師のメンタル・キャリアカウンセリングなど、複業を並行しながら働くパラレルキャリア。