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VUCA時代とは
みなさんはVUCA時代という言葉をご存じですか?
まずVUCA時代について説明していきます。
ビジネスなどの世界における不安定要素、
- Volatility(不安定性)
- Uncertainty(不確実性)
- Complexity(複雑性)
- Ambiguity(曖昧性)
の4つの単語の頭文字をとった造語。
取り巻く社会環境の複雑性が増し、次々と想定外の出来事が起こり、将来予測が困難な状況を意味する言葉。
昨今の環境の変化は著しく、過去の成功体験に基づいて、今同じことをしたとしても成功するとは限りません。
病院経営を例に挙げると、西暦1500年に病院というものができ、数を増やしてきました。
しかし、取り巻く時代と環境の変化に伴い経営が困難となり、1995-2020年の25年間で、なんと2000病院、約5分の1が倒産しています。
では訪問看護のVUCA時代はどうでしょうか。
ここからは訪問看護の視点から『VUCA』の頭文字のひとつずつについて説明していきます。
訪問看護のVUCA時代
①訪問看護の不安定
病院・訪問看護ステーション数の推移と取り巻く環境の変化
上の図のグラフの赤い線をご覧ください。
看護ステーションは30年間で1万事業所が開設、市場拡大しています。
市場拡大し、市場が成熟しすると報酬の改正や、市場の変化が起こり、特化型や自費サービスを利用した訪問看護ステーションが増加する、などというようにビジネスモデルも変わってきます。
変化が速く予測困難になる状況の中で私たちは生き残っていかなくてはなりません。
訪問看護ステーションの数が増加すると、次のように役割の分類が起きてきます。
法人別・訪問看護の在り方の変化
今後は、医療機関併設の訪問看護ステーションが医療度の高い利用者を受け、地域の訪問看護ステーションが医療度の低い利用者を受けるというように役割が分類されていくように構想が練られています。
しかし、現在は医療度が高い人が報酬が高い仕組みとなっています。
病院の経営で見てみても、急性期の病院と比較して、慢性期の病院はより経営圧迫されています。
では病院の併設でない地域の訪問看護ステーションはどうなっていくのでしょう。
先の読めない不安定さが感じられます。
②訪問看護の不確実
上記のように、我が国では地震や豪雨などの自然災害が起こっています。
今後も大きな地震が起こるとされていますが、実際にいつ、どうなるかはわかりません。
2020年3月からは、新型コロナウイルス感染症の流行など、訪問看護は環境の変化に影響を受けています。
災害だけではなく、終身雇用の崩壊や看護師の働き方の変化など、社会背景も変化しています。
③訪問看護の複雑
様々なサービスが存在し、役割の分類が難しくなってくると法改定が起こり、新たなサービスが生まれてきます。
しかし、例えば看護小規模多機能型居宅介護事業(通称:看多機)を増やそうという動きがあっても、実際にそのようにはなっていないという現実があります。
介護保険の自己負担額の変化も起こっていますが、現行に法整備が追いついていません。
どんどん複雑化していく状況の中で、過去の成功事例と同じことをしても、成功しにくくなるのです。
④訪問看護の曖昧
今までは訪問看護ステーションが少なかったため、看護を受けられることをありがたいと感じてもらえていましたが、市場の成熟化により、現在は質を求められるなどの価値観の変化が起こります。
業界の区分の曖昧化により、様々な企業が訪問看護に参入してきますし、他社との差別化を図っていても影響や期間などは予測が難しいのです。
いかがでしたでしょうか。
目まぐるしく周囲の状況が変化していくVUCA時代。
過去の成功やルール、訪問看護だからこうあるべき、ということに縛られず、柔軟な発想を持つことが必要とされています。
今回は予測不能のVUCA時代における訪問看護の経営についてお話しさせていただきます。