介護保険で訪問看護を利用する際には、多くの場合に初回加算を算定します。
今回は、介護保険の加算の一つである初回加算について詳しく解説します。
訪問看護における介護保険の初回加算についてお調べの方は、ぜひ参考にしてください!
目次
初回加算とは?
初回加算とは、介護保険での訪問看護を提供する際、新しく訪問看護計画書を作成した利用者さんに対して訪問看護を提供した場合に算定する加算です。
作成した訪問看護計画書を利用者さんに説明し、同意を得る必要があります。
初回加算は、緊急時訪問看護加算や特別管理加算に次いで算定率の高い加算です。
その分、運営指導でも指導対象になることが多い項目になっておりますので、十分に算定要件や留意点を把握しておいてください。
引用:厚生労働省 社保審-介護給付費分科会「訪問看護」
もう少し詳しく解説
初回加算は、利用者さんが過去2月間(暦月)において、当該訪問看護事業所から訪問看護(医療保険の訪問看護も含む)の提供を受けていない場合にも算定することができます。
その際には、新たに訪問看護計画書を作成し、同意を得る必要があります。
初回加算の単位数
初回加算の単位数は以下の通りです。
- 初回加算(Ⅰ)…350単位/月
- 初回加算(Ⅱ)…300単位/月
令和6年介護報酬改定における区分の新設
令和6年度介護報酬改定において、要介護者等のより円滑な在宅移行を訪問看護サービスとして推進する観点から、初回加算に新たな区分ができました。
※令和6年6月1日施行となります。
初回加算の算定要件
初回加算の算定要件は以下の通りです。
- 過去2月間(暦月※)において当該事業所から訪問看護を提供していない
- 新規に訪問看護計画書を作成
- 訪問看護を提供する
※暦月とは、月の初日から月の末日までのことを言います。
つまり、特別訪問看護指示書が交付されている場合など、医療保険で介入が開始されていてその後に介護保険に切り替わった場合には算定できません。
また、一時的な入院により訪問看護が中断された場合に、2月間の期間が経過していない利用者さんの訪問看護が再開された場合にも、初回加算は算定することができません。
上記に加え、令和6年度介護報酬改定において新設された初回加算の算定要件は、以下の通りです。
- 初回加算Ⅰ…退院または退所した日に初回訪問をした場合
- 初回加算Ⅱ…退院または退所した日の翌日以降に初回訪問をした場合
初回加算ⅠとⅡは、両方算定することはできません。
初回加算Ⅰ、もしくは初回加算Ⅱのどちらか一方の算定となります。
初回加算の留意点
上記に初回加算の算定要件を記載していますが、以下のような留意点もあります。
初回加算を算定する際には、十分に注意してください。
- 退院時共同指導加算の算定時は不可
- 要介護から要支援に、要支援から要介護になった場合も算定可
- 医療保険→介護保険の場合は算定不可
- 複数のステーションが関わる場合はそれぞれのステーションが算定可能
- 過去に2月間(暦月)その訪問看護ステーションから訪問看護を提供していない場合で新たに訪問看護計画書を作成した場合も算定可能
- 看護師と理学療法士等が連携して、訪問看護計画書を作成していれば准看護師や理学療法士等が訪問をしても算定可能
- 一体的に運営している指定介護予防訪問看護事業所の利用実績は問わない
- 介護予防も同様
初回加算の運営指導でチェックされるもの
運営指導で準備しておく書類は以下の通りです。
- サービス提供票(初回加算が算定されているか?)
- 訪問看護記録の確認(提供前に2月間空いているか?)
- 訪問看護計画書(算定前に作成されているか?)
初回加算における具体例
具体的な日付の例
初回加算が算定できるのは、4月15日に訪問看護を行った場合、同年の2月1日以降に同一事業所から訪問看護の提供を受けていないことが条件です。
暦月の例
過去2月間(暦月)において訪問看護の提供を受けていない場合は算定可能です。
8/3 訪問看護→9,10 月算定なし→11/2 訪問看護
→11月初回加算算定可能
8/3 訪問看護→9 月算定なし→10/30 訪問看護
→10月初回加算算定不可
要支援から要介護等
要支援者が要介護認定(要介護者が要支援認定)を受けた場合は算定可能です。
①要支援(8月)→②要介護(9月)→③要支援(10月)の区分変更があった場合
①から②へ変更になった場合には、新たに訪問看護計画書を作成し初回加算を算定することができます。
①から2月経過していないので③での初回加算は算定不可となります。
要介護状態区分が2区分以上変更された場合は?
要介護状態区分が2区分以上変更された場合でも算定不可です。
医療保険から介護保険
医療保険での訪問看護を受けていた者が介護保険での訪問看護に切り替わった場合は算定不可です。
介護保険で訪問看護→特別訪問看護指示書交付で医療保険→介護保険で訪問看護
最初の介護保険での訪問看護で初回加算の要件に該当する場合は、初回加算が算定できます。
しかし、医療保険から介護保険に切り替わった場合は、再度、初回加算を算定することはできません。
理由としましては、「利用者が過去2月間(暦月)において、当該訪問看護事業所から訪問看護(医療保険の訪問看護も含む)の提供を受けていない場合」という通知があるためです。
退院当日の初回訪問
退院当日に初回の訪問看護を行った場合は、初回加算Ⅰを算定する。
※退院当日の訪問看護について
退院当日の訪問看護については、下記のいずれかの要件が必要です。
- 特別管理加算の対象者
- 主治医が退院当日の訪問看護が必要と認めた場合(訪問看護指示書に記載)
初回加算のQ&A
算定可能です。
ただし、別の訪問看護事業所でも、新たに訪問看護計画書を作成し利用者さんに同意をいただくことは必須です!
独立行政法人福祉医療機構が運営する福祉・保健・医療の総合情報サイト、下記のワムネットのQ&Aも併せてご確認ください!
参考:介護保険最新情報vol.267
要支援から要介護に区分変更がされた場合、またはその逆の場合にも初回加算を算定できます。
2月以内に訪問看護の利用があっても、算定することができます。
その際には必ず訪問看護計画書を再度作成し、利用者さんに同意を得てください。
このパターンでの初回加算は、算定をし忘れてしまうことが多いのでよくチェックしましょう!
まとめ
今回は、介護保険の初回訪問について詳しく解説しました。
新規の訪問、利用者さんの状態変化の時には訪問看護計画書の立案・修正が必要です。
初回加算を算定するためには、業務量は増えますが訪問看護計画書の立案・修正を怠らないように注意しましょう。
運営指導で一番指導が多いのは『初回加算』です!!
初回加算のルールを十分に理解し、正しく算定をしていきましょう。