介護保険を利用する訪問看護において、ケアマネージャーとの協働は、在宅で生活する利用者さんを支えるために非常に大切です。
ケアマネージャーとしっかり協働していくためには、適切なタイミング・内容の情報共有が重要になります。
今回は訪問看護でケアマネージャーに報告すべき事柄を、主に報告が必要とされる3つを中心に解説します。
目次
ケアマネージャーの役割とは?
そもそもケアマネージャーには、利用者さんに必要な介護サービスを調整するという役割があります。
介護保険による訪問看護を行う場合は、ケアマネージャーがケアマネジメントを行い、ケアプランの中に訪問看護の内容や回数を盛り込みます。
よって、ケアマネージャーと適切な情報を共有しておくことは、適切なサービスを提供するために必要な準備にあたります。
ではどのような場面でケアマネージャーへの情報共有を行うのがよいのでしょうか。
訪問看護師がケアマネージャーに報告を行う時3選
訪問看護師がケアマネージャーに報告を行うのは、主に以下の3つのような時です。
- ケアプランの看護内容に修正や追加がある時
- 利用者さんの状態やケア方法などを関わる他のサービス提供事業者にも共有したい時
- 家庭環境に関して共有すべき情報がある時
順番に解説します。
ケアプランの看護内容に修正や追加がある時
訪問看護師が利用者さんに提供する看護の内容は、ケアマネージャーが立案するケアプランに準じます。
ケアプランに載っていないサービスを提供することは原則行えません。
ケアプランの内容とは異なるサービスを提供する必要が生じた場合は、その都度ケアマネージャーへ報告・相談を行う必要があります。
- 訪問看護の回数の変更
- 訪問看護が提供すべきケア内容の変更 など
訪問看護の回数は、これまでは週2回であっても、利用者さんのご希望や必要性に応じ週1回に減らすまたは週3回に増やすなどの検討が必要なことがあります。
このような時はまずケアマネージャーに報告・相談します。
また、訪問看護が提供するケア内容に変更が必要な場合もケアマネージャーへ報告・相談をします。
具体的に言うと、開始時の訪問看護ケアプランには「屋外移動の支援」の項目がなかった場合、実際に屋外移動支援を始める前にケアマネージャーに相談し、ケアプランの変更が必要です。
事前にケアマネージャーと打ち合わせを行った上でのケアプラン変更であれば大きな問題はありませんが、相談もなく進めてしまうのはNGです。
ケアプランの変更が生じる際には、内容に応じてサービス担当者会議を行うこともあるため、相談は早めに行えるとよいでしょう。
また、なんらかの理由によりその日のサービスが急遽中止になる場合もケアマネージャーに一報入れるようにしていけるとよいです。
利用者さんの状態やケア方法などを関わる他のサービス提供事業者にも共有したい時
利用者さんの状態やケア方法などを関わる他のサービス提供事業者にも共有したい時は、まずケアマネージャーに連絡・相談します。
例えば、退院後のサービス調整を行う場面では、利用者さんの転倒の有無や、転倒を予防するための介助方法など訪問看護以外のサービス提供事業者にも情報を共有する必要が生じます。
具体的には、設置した手すりの位置の微調整を行う場合に福祉用具業者に連絡を取るなどです。
利用者さんの在宅生活を支える介護サービスは訪問看護だけではないことが多く、自分以外のサービス提供事業者との協働も必要になります。
利用者さんの状態やケア方法などを共有・調整するときは、まずケアマネージャーに連絡し、ケアマネージャーを中心として情報を共有していきます。
利用者さんの急な状態変化や緊急訪問をした場合等も、その理由や状況をスピーディーに共有していきましょう。
家庭環境に関して共有すべき情報がある時
情報共有の内容には細心の注意を払いますが、家庭環境に関する情報も場合によってはケアマネージャーへ共有を行う必要があります。
個人情報に大きく関わる内容になるので、全てを事細かに共有する必要はないと考えます。
しかし、ケアマネージャーは介護保険におけるケアプランを作成するリーダーとも言える存在のため、ケアマネジメントを行う上で必要となる情報は共有していく必要があります。
- 主介助者にあたる方が不在となる期間がある
- 介護に当たるご家族の介護疲れが強い印象がある
- 自宅の片付けが滞り、療養環境が乱れてきている など
例えば上記のような事柄は、ケアマネージャーへの共有を行うのが望ましいと考えます。
訪問看護でケアマネージャーに報告を実施する際の方法
訪問看護でケアマネージャーに報告を実施する際の方法は主に以下の2つがあります。
- 電話
- メールやFAX
それぞれ解説します。
電話
電話での報告は以下のようなときに行います。
- 緊急性の高い報告(転倒、怪我、救急搬送など)
- 急ぎの報告(当日の調整が必要な場合など)
- 込み入った相談
転倒や怪我、救急搬送が必要な病状など、緊急性の高い報告は電話で行います。
また、すぐに対応が必要な要件や、直接時間をかけて話し合いが必要な込み入った要件がある時なども電話での報告が適しています。
メールやFAX
メールやFAXでの報告は以下のようなときに行います。
- 急ぎではない情報共有
- 文面に残したほうがわかりやすい報告
電話は相手の作業の手を止めてしまう可能性があるため、急ぎではない情報共有の場合はメールやFAXがよいでしょう。
また、電話で説明するのは複雑で書面に残したほうが正確に確実に伝わるような報告も、メールやFAXが適しています。
まとめ
訪問看護でケアマネジャーに報告すべき事柄について、主に報告が必要とされる3つの情報について解説させていただきました。
電話連絡は相手の時間を奪うことにもなるので、どんな情報でもケアマネージャーへすぐに共有すればよいわけではありません。
しかし、必要な情報共有がスピィーディーに行えることは、利用者さんの在宅生活を支えていく上で非常に重要です。
適切なタイミングで、適切な情報共有を行えるために、本記事が少しでも力になりますと幸いです。