訪問看護の現場に学生が同行する機会が増えていますが、「自宅に入るときのマナーは?」「どんな挨拶をすればいい?」「利用者さんとの距離感がわからない」など、同行前に不安を感じる学生も少なくありません。
訪問看護は病院実習とは異なり、利用者さんの“生活の場”で看護を提供するため、より一層の配慮が求められます。
本記事では、訪問看護に学生が同行するときに最低限身につけておきたい5つのマナーをわかりやすく解説します。
同行前にこの記事を読んでおくことで、安心して訪問看護の現場に入ることができ、看護師・利用者さんからも好印象を持ってもらえるでしょう。
目次
1.玄関でのマナーと第一印象を大切にする
訪問看護で最初に対面するのは利用者さんとそのご家族。
病院では「実習生」という立場が自然と理解されますが、自宅では学生でも医療者の一員として見られます。だからこそ、玄関でのマナーは特に重要です。
まずは、明るくはっきりした声で自己紹介をしましょう。
「本日同行させていただきます、〇〇大学の△△です。よろしくお願いいたします。」
と簡潔に伝えるだけで印象が大きく変わります。
次に、靴の脱ぎ方と置き方にも注意が必要です。
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靴は静かに脱ぐ
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玄関に上がったらすぐ踵を揃えて向きをそろえる
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玄関の邪魔にならない位置に置く
こうした小さな気遣いができる学生は、利用者さん・ご家族から好印象を持たれます。
また、玄関の段差や踏み台がある場合は、転倒に気をつけながらゆっくり行動しましょう。特に高齢者宅では、玄関周りの動線は狭いことが多いため配慮が求められます。
2.服装・身だしなみは「清潔感」と「生活の場への配慮」が基本
訪問看護に同行する際の服装は、学校で指定されたものが基本ですが、清潔感と生活の場への配慮を第一に考えましょう。
学生に適した服装のポイント
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白衣またはスクラブ(シンプルで落ち着いた色)
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アクセサリーや香水はつけない
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長い髪は必ず結ぶ
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ナースシューズは音が静かなものを選ぶ
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爪は短く切る
病院と違い、自宅は床材が柔らかい、畳がある、ペットがいるなど、環境がさまざまです。
特に香水や柔軟剤の強い匂いは、在宅では嫌がられることが多いため避けましょう。
また、冬場はコートを着て訪問することがありますが、コートは自宅の中に持ち込まないのが基本です。玄関先で脱ぎ、看護師の指示があれば車内に置いておくのが望ましいでしょう。
3.利用者さん宅では「生活の場にお邪魔する」姿勢で行動する
病院の病室とは異なり、訪問看護の現場は利用者さんの私生活が詰まった空間です。
そのため、同行する学生は常に「生活の場に入らせていただく」という意識を持つ必要があります。
室内でのマナーのポイント
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勝手に荷物を置かない(看護師の指示に従う)
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家具や壁に寄りかからない
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家の中の物には触れない
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写真やメモは必ず許可を得る
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部屋が狭い場合は看護師の動きを妨げない位置に立つ
また、利用者さんがベッドで療養している場合もあれば、リビングで過ごしている場合もあります。
その家庭によって生活スタイルが違うため、看護師の行動を観察しながら動くことが大切です。
さらに、部屋にペットがいる場合は不用意に触らず、利用者さんから声を掛けられた場合だけ対応しましょう。アレルギーがある学生は事前にステーションへ伝えておくと安心です。
4.話し方・聞き方のマナーを守り、会話は控えめに参加する
訪問看護では、利用者さんとのコミュニケーションが重要ですが、学生が積極的に話し過ぎるとケアの妨げになることがあります。
同行時の基本は**「看護師の補助的な立場で会話に参加する」**ことです。
会話のマナーのポイント
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利用者さんの話を遮らない
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看護師が話している最中に口を挟まない
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質問するときは看護師の許可を得てから
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医療的な説明は看護師に任せる
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敬語を丁寧に使う
利用者さんは学生よりも年上であることがほとんどなため、基本は丁寧語+ゆっくりした話し方が安心されます。また、利用者さんの病状や生活状況に踏み込みすぎる質問は控えましょう。
会話は控えめで良いものの、「反応をしない」のは逆に失礼です。
うなずき、笑顔、相手の視線に合わせるなど、**“聞いている姿勢”**をしっかり示すことが大切です。
5.同行後は必ず感謝を伝え、振り返りを丁寧に行う
訪問が終了したら、必ず利用者さんへ感謝を伝えます。
「本日は同行させていただきありがとうございました。」
と、短くても丁寧に挨拶しましょう。
訪問後は、看護師と一緒に車内やステーションで振り返りを行うことが多いため、その時に気づいたことや学んだことを積極的に共有します。
振り返りで意識したいポイント
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気づいたことをメモしておく
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不明点や疑問点は正直に質問する
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利用者さんへの配慮ができたか自己評価する
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看護師にフィードバックを求める
訪問看護では、医学的知識以上に「人の生活を理解する姿勢」が求められます。同行後の振り返りは、その姿勢を育てる大切な時間です。
まとめ:学生の同行で大切なのは“マナーと気配り”
訪問看護で学生が同行するときに押さえておきたい5つのマナーを解説しました。
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玄関での第一印象を大切にする
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清潔感のある服装・身だしなみを整える
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生活の場に入らせてもらう意識で行動する
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会話は控えめに、看護師の補助に徹する
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訪問後は感謝を伝え、丁寧に振り返る
これらを意識するだけで、同行はスムーズになり、利用者さん・家族・看護師から安心して受け入れてもらえます。
訪問看護は、病院では得られない学びが多い実践の場です。ぜひ良い経験にしてください。



















