このような疑問をもたれた方もいるのではないでしょうか?
デイサービスの人員基準の中に看護職員の配置付けがあり、運営するにはこれを守らなければなりません。ご存じのとおり、近年の看護師不足はどの業界でも顕著になってきており、デイサービスでもなかなか看護師が集まらない現状があります。
そこで、平成27年度よりデイサービスの看護職員の配置基準を緩和するという動きがあり、病院、診療所、訪問看護ステーションと連携が取れていればデイサービスの看護職員の基準を満たしたとみなされるということになりました。
これに伴い、訪問看護の中には、デイサービスと委託契約を結んでいるステーションも出てきています。
訪問看護と連携が取れればこの人員基準が満たされ、デイサービスは人員基準をクリアできますし、ステーション側も安定して委託契約金が入ってきますので、お互いにWIN-WINとなる場合もありますよね。
今回は、「訪問看護がデイサービスと連携するとは?」について詳しくお伝えしていきますので、参考にしていただけると幸いです!
目次
訪問看護がデイサービスと連携するとは?
近年、デイサービスでも看護師不足となってきており、募集しても看護師の応募がなく困っているというデイサービスは少なくないと聞きます。
平成27年度にデイサービスの看護職員の配置基準を緩和され、病院、診療所、訪問看護ステーションと連携が取れていればデイサービスの看護職員の基準を満たすとなったため、デイサービスの中には訪問看護ステーションと委託契約を結び、人員基準を守る方法を取られているところも増えてきています。
参照)厚生労働省 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護
では、デイサービスとはなんでしょうか?連携を取る訪問看護ステーションの看護師はデイサービスで一体どんな業務を担うのでしょうか?
次にデイサービスについて詳しく説明していきます。
デイサービスとは?
デイサービスとは、介護保険制度では通所介護のことをいいます。
デイサービスの基本方針は、次のようになります。
デイサービスでは、ご自宅からデイサービスまでの送迎、食事、排泄、入浴、機能訓練、レクリエーション、健康チェックなどをおこなっています。
デイサービスごとに内容は異なりますが、1日型や半日型があります。
デイサービスの人員基準
必要となる人員基準は以下のとおりになります。
参照)厚生労働省 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護
看護職員の配置基準では、「通所介護の単位ごとに専ら当該通所の提供にあたる看護職員が一以上確保されるために必要と認められる数」と定められています。(参照 厚生省令第37号 )
単位ごととは、デイサービスの1日の利用者さん受け入れ単位のことをいいます。簡単にいえば、サービスのかたまりのようなものです。
例えば、午前から午後にかけてサービスを実施していれば1単位、午前と午後の2グループに分けてサービスを実施していれば2単位となります。
先ほども述べましたが、デイサービスでは看護職員の確保が困難なことも多いため、「一定の要件を満たす場合には病院、診療所、訪問看護ステーション等との連携によっても看護職員配置に係る人員基準を満たすものとみなされる」となりました。
看護職員については、提供時間帯を通じて専従する必要はないが、当該看護職員は提供時間帯を通じて指定通所介護事業所と密接かつ適切な連携を図るものとする。また、病院、診療所、訪問看護ステーションとの連携により、看護職員が指定通所介護事業所の営業日ごとに利用者の健康状態の確認を行い、病院、診療所、訪問看護ステーションと指定通所介護事業所が提供時間帯を通じて密接かつ適切な連携を図っている場合には、看護職員が確保されているものとする。
なお、「密接かつ適切な連携」とは、指定通所介護事業所へ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制などを確保することである。
「密接かつ適切な連携」とは、訪問看護側がデイサービスへ駆けつけることができる体制や適切な指示ができる連絡体制を確保することということなります。
訪問看護とデイサービスの委託契約
デイサービスが看護職員を確保するために、訪問看護ステーションとの連携を図っているところは下の図でもわかるように割合が高くなってきています。
参照)厚生労働省 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護
デイサービスが訪問看護ステーションと委託契約するということは、デイサービスで行う看護職員の役割を訪問看護ステーションの看護師が担うということです。
デイサービスも自社のところで看護師を確保したいとは思いますが、なかなか看護師が集まらない問題がありますので、今後も訪問看護ステーションとの連携はより高まってくると予想できるでしょう。
委託契約をする場合は、市へ提出する書類には連携の看護職員に関しても勤務形態一覧表への勤務時間等の記載が必要となります。
協定書や委託契約書等の文面には、次の内容が含まれていなければなりません。
- 提供日ごとに利用者の健康状態の確認を行う旨の記載があること。
- 提供時間帯を通じて、必要な際には看護職員が事業所に駆けつけることができる連携体制や、利用者の健康状態に関する事業所からの相談に対応できる連絡体制が確保されていること。
- 利用者に賠償すべき事故が発生した場合の責任の所在に関すること。
訪問看護ステーションの看護師がデイサービスで勤務する場合の注意事項として、次のことがありますので委託契約する際は気を付けておきましょう。
- 訪問看護ステーションの看護職員がデイサービスで勤務する時間は、訪問看護事業所の勤務時間に含めることができないため、常勤換算2.5人を下回らないように注意が必要。
- 訪問看護ステーションの管理者は常勤専従であるため、派遣される看護職員が管理者の場合は人員基準違反となる。
- 機能訓練指導員の兼務について病院、診療所、訪問看護ステーション等との連携による配置が認められるのは看護職員のみであり、連携先看護職員が機能訓練指導員を兼務することは認められない。
契約金に関しては、月で設定していたり、回数で設定していたりと事業所それぞれで委託契約金を設けられており、訪問看護ステーションと協定を結んでいるようです。
訪問看護がデイサービスと連携でよくあるQ&A
病院、診療所又は訪問看護ステーションとの契約で確保した看護職員は、営業日ごとに事業所内で利用者の健康状態の確認を行う必要があるが、その場合どの程度の従事時間が必要か。また、事業所に駆けつけることができる体制とは、距離的にどの程度離れた範囲までを想定しているのか。
健康状態の確認を行うために要する時間は、事業所の規模に応じて異なるため、一概に示すことはできないが、利用者全員に対して適切に健康状態の確認を行えるように病院、診療所又は訪問看護ステーションと契約を結ぶ必要がある。 また、事業所に駆けつけることができる体制に係る距離的概念については、地域の実情に応じて対応するため、一概に示すことはできないが、利用者の容態急変に対応できるよう契約先の病院、診療所又は訪問看護ステーションから適切に指示を受けることができる連絡体制を確保することでも密接かつ適切な連携を図っていることになる。
訪問看護師がデイサービスで担う業務内容
デイサービスで訪問看護師が担う業務は、多い順に次のようなものがあります。
- 健康状態の確認
- 創傷処置
- 服薬管理
- 褥瘡の処置
- インスリン注射
- 摘便
訪問看護師が担う業務内容のパーセンテージについては、以下の図のようになります。
参照)厚生労働省 通所介護・地域密着型通所介護・認知症対応型通所介護
訪問看護師は、デイサービスで担う業務を行うことは必要ではありますが、訪問看護師の担うとされる業務が終わったあとはいつでも連絡できたり、相談できる体制を確保できていれば、デイサービス内に必ずしも常時待機しておく必要はないのです。
委託契約を結ぶ場合は、本来の訪問看護業務に支障が出ると元も子もありませんので、訪問看護師がデイサービスの利用者さんにどこまで関わるのかをしっかり確認しておきましょう。
まとめ
今回は、「訪問看護ステーションがデイサービスと連携するとは?」について解説しました。
近年の看護師不足もあり、デイサービスでも看護職員の確保には苦労している事業所も多いため、H27年に訪問看護ステーションと連携してもいいという看護職員の人員配置の緩和されました。
地域医療を支えるという面では、今後も訪問看護がデイサービスと連携を図っていくことは、地域医療の質の向上や利用者さんの満足にもつながると思いますので、人員に余裕があるステーションはデイサービスとの連携も考えてみてはいかがでしょうか!