訪問看護におけるおしゃべりな利用者さんへの対応方法を紹介します!

訪問看護では、利用者さんと自然な会話をしながらアセスメントやケアを行っていきます。

訪問看護師との信頼関係が構築されてくると、利用者さんから看護師に向けて話しかけてくれる量も多くなり、趣味やニュース、昔の思い出などの「おしゃべり」が止まらなくなることがあります。

しかし、訪問看護師は「おしゃべり」だけでなく、限られた時間内で療養生活ケアや医療処置などを行う必要があったり、次の訪問先の移動時間を考慮して「おしゃべり」の途中でも帰らなければいけない場合があります。

利用者さんの「おしゃべり」が止まらずに困った経験はありませんか?

今回は、訪問看護におけるおしゃべりな利用者さんの対応方法について紹介します。

 

訪問看護におけるおしゃべりな利用者さんとは?

 

おしゃべりが止まらなくなってしまった利用者さんは、2つのパターンがあると考えられます。

 

  • 快感を感じている。
  • 空間認知が低くなっている

 

それぞれについて詳しく解説します。

 

快感を感じている

人間は、基本的に「おしゃべり」することが好きです。

「おしゃべり」をして、自分自身の話を人に聞いてもらっている時には、現金をもらった時と同等の快感を感じていると言われています。

快感を感じている時の人間は、他人の意見にも寛容になりやすいため、訪問看護において利用者さんの「おしゃべり」を聞くことは素晴らしいことになります。

 

 

しかし、人間は快感に順応しやすい一面もあるため、「おしゃべり」を聞いてもらう時間がどんどん長くなってしまう可能性があります。

つまり、話を聞いてもらった時の快感をどんどん求めてしまい「おしゃべり」が止まらないパターンの利用者さんがいると考えます。

利用者さんの「おしゃべり」は、適度に聞くことが望ましいと思います。

 

空間認知が低くなっている

「おしゃべり」な利用者さんは、誰にでも気さくに話しかけることができる外向的な性格特性を持っていることが多いと思います。

この外向的な性格には、残念な一面があります。

 

誰とでも気さくに話しかけられるということは、空間認知が低く、相手の表情や声のトーンなどの非言語的コミュニケーションの理解が乏しくなりやすいと言われています。

また、空間認知の低下があると時間にルーズになりやすいとも言われています。

 

 

 

空間認知は、外向的な性格特性の影響、または加齢や脳血管疾患の影響により低下しやすいです。

つまり、相手の状況に関係なく「おしゃべり」を続けてしまうパターンの利用者さんがいると考えます。

 

おしゃべりな利用者さんへの対応方法

 

「おしゃべり」な利用者さんへの対応方法では、4つのステップを踏むことで、「おしゃべり」を中断させることができると考えます。

 

  1. 相槌の回数を減らしていく。
  2. 中断させたいタイミングで利用者さんの名前を呼ぶ。
  3. 利用者さんの感情に共感を示す。
  4. 今から行ってほしい行動について伝える。

 

例えば、「おしゃべり」を中断させてベッドに移動してほしい場合には下記のような声かけをしましす。

 

「○○さん、楽しい話をしてくれて嬉しいです。まだまだ、聞きたいところですが、今からベッドに寝てもらって、背中の傷を見せてください。」

 

利用者さんの話の腰を折ってしまうことになりますが、「おしゃべり」を聞いてもらっていた利用者さんは快感を感じているため、訪問看護師の印象が悪くなることも少ないはずです。

また、「おしゃべり」の途中で退室したい場合には、下記のように声かけをします。

 

「○○さん、楽しい話をしてくれて嬉しいです。まだまだ、聞きたいところですが、時間になってしまったので失礼しますね。今日はありがとうございました。」

 

この「おしゃべり」の途中で退室する時には、できればやっておいた方が利用者さんから信頼されやすい工夫があります。

それは、途中で中断した「おしゃべり」の内容を簡単にメモしておくことです。

 

 

このメモした内容は、次回の訪問した時に看護師から、「前回の〇〇の話の続きを聞かせてください。」と利用者さんへ話しかけるための準備になります。

人間は、自分自身が話した内容を曖昧にしか記憶していないことが多いです。

その一方で、自分から話した内容は、好きなことや興味があることであるため、他人が話した内容を覚えてくれていると強く快感を感じると言われています。

また、自分自身のことをよく覚えてくれている人=信頼できる人となりやすいため、看護師の評価も高まりやすいと考えます。

 

まとめ

 

訪問看護における「おしゃべり」な利用者さんとは、2つのパターンが存在すると思います。

  • 話を聞いてもらった時の快感をどんどん求めてしまい、「おしゃべり」が止まらないパターン。
  • 外向的な性格特性があり、看護師の表情やと声のトーンなどの非言語的なコミュニケーションの理解が乏しいため、相手の状況に関係なく「おしゃべり」を続けてしまうパターン。

上記の2つパターンのどちらであっても、対応方法は4つのステップを踏むことが大切です。

 

  1. 相槌の回数を減らしていく。
  2. 中断させたいタイミングで利用者さんの名前を呼ぶ。
  3. 利用者さんの感情に共感を示す。
  4. 今から行ってほしい行動について伝える。

 

利用者さんの「おしゃべり」を中断させてしまうことに抵抗感がある看護師さんもいると思います。

しかし、「おしゃべりも看護ケアもしっかりとやってくれる看護師」、「時間を守ってテキパキと仕事している看護師」のような利用者さんからの印象を持つためには、「おしゃべり」を適度に聞けることが大事になると考えています。

 

 

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