令和3年介護報酬改定に向けて現在(R2.11.28)検討されています。
そこで現在、注目されているのが『人員配置基準において、看護職員が指定訪問看護の提供に当たる従業員に占める割合を6割以上とする要件を設けてはどうか』という対応案です。
今回はこの対応案にフォーカスを当てて解説をしたいと思います。
目次
人員配置基準が看護師6割以上になるとどうなる?
訪問看護ステーションの役割を考え、「人員配置基準を看護師6割以上にしてはどうか?」という案が出ております。(R2.11.28現在)
もし、人員配置基準を看護師6割以上となった場合、理学療法士等が4割以上を占める訪問看護ステーションは一定の経過期間内に何かしらの対策を取る必要があります。
下記の表は、看護師等と理学療法等が「6:4」の状態を表したものです。
現在出ている対応案ですと、看護師の数は何人でも問題ありませんが、理学療法士等の数が全体の4割以上を超えてはいけないことになっています。
例えば下記のような訪問看護ステーションがあったとしましょう!
- 看護師:4名
- 理学療法士:3名
- 作業療法士:2名
- 言語聴覚士:1名
上記の訪問看護ステーションの場合、看護師等と理学療法士等の比率が4:6ですので、人員配置基準違反となってしまいます。
よって、対応としましては、看護師等が4名のままであれば、理学療法士等を常勤換算で2.6以下にする必要があります。
もしくは、理学療法士等をそのままであれば、看護師等を5名追加して9名にする必要があります。
今回は、訪問看護ステーションの本来あるべき役割を実現させるために検討されているだと思いますが、事業所運営をする上では大変になってしまう事業所、または現在訪問看護ステーションから理学療法士等による訪問看護を受けている利用者さんが受けられなくなる可能性も出てきてしまうことも考えられますね!
訪問看護ステーション6:4問題に対する様々な声
現在、検討中に訪問看護ステーションの人員配置基準を看護師を6割以上にする案については様々な意見が挙がっています。
【R2.11.16介護給付費分科会にて】
全国健康保険協会・安藤伸樹理事長
看護職員の割合を要件化することに賛成。6割以上からのスタートに異論はないが、8割以上くらいが本来のあるべき姿。
【R2.11.16介護給付費分科会にて】
日本看護協会・岡島さおり常任理事
一定割合以上の看護職の配置が必要だ。
【R2.11.16介護給付費分科会にて】
日本慢性期医療協会・武久洋三会長
「訪問看護ステーションのリハは利用者の依頼に基づいて行われる。訪問看護の中でリハが大きなウェイトを占めることにクレームが出る理由が分からない。どうしていけないのか。利用者が効率よくサービスを受けることが可能になるという観点からすれば、むしろ『訪問リハ』という項目を作ってもいいのではないか」
神奈川県知事 黒岩氏
「現在、訪問リハ事業所の開設は医療機関や老健施設などに限られているが、医師との連携が図られている場合には、リハ職のみでの開設も認めるべき。訪問リハの充実に加えて、本来の役割に沿った訪問看護の提供にもつながる。リハ職がその専門性を活かし、しっかりと独立して社会のニーズに応えていける体制を作ることが非常に重要だ」
日本理学療法士協会、日本作業療法士協会、日本言語聴覚士協会
現在、厚生労働省で行われいている令和3年度介護報酬改定に向けての議論のうち、検討されている訪問看護ステーションにおける制度改正により、介護保険利用者だけでも約8万人の方がサービスを受けることができなくなり、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士は約5千人が雇用を失うと見込んでいます。
そこで、国民のニーズに応じられる柔軟な制度改正を行うことを求めるための署名活動で国民の声を届けたいと思っております。
このテーマに関する次回の話し合いは、令和2年12月中旬だと思います。
今年度の介護給付費分科会は、YouTubeでライブ配信されておりますので、是非、委員の生の声を聞いてみてはいかがでしょうか?