訪問看護のコミュニケーション技術|ニーズを知る5つのポイント!

訪問看護師

訪問看護師としてコミュニケーション技術に不安があります。利用者さんのニーズを聞き出すポイントを教えてください。

 

このような悩みを解決できる記事です。

訪問看護では、利用者さんが送りたい生活に関連するニーズの把握が重要です。

しかし利用者さんの中には、自身の課題や弱みを打ち明けることに抵抗をもつ方もいるでしょう

そのため、ニーズを聞き出すためにはポイントを押さえておく必要があります。

今回は、訪問看護に役立つコミュニケーション技術として、利用者さんのニーズを聞き出すポイントを5つ紹介します

ニーズ把握が曖昧で、具体的な看護計画を立案できていないと感じる看護師さんは、ぜひ参考にしてください。

 

訪問看護のコミュニケーション技術のポイントは5つ

利用者さんのニーズを聞き出すコミュニケーション技術のポイントは以下の5つです。

 

  1. 相手の感情や思考を言語化する
  2. 回りくどい質問を受けたときは掘り下げる
  3. 具体的に質問する
  4. 過去と現在のギャップを把握する
  5. ケアを終えた後に会話する

 

それぞれについて、具体的に解説していきます。

 

①相手の感情や思考を言語化する

 

利用者さんの表情や声のトーンから、看護師が感じたこと、考えたことを言語化して伝えてみましょう

自分の悩みや弱みを伝えることに抵抗がある場合、はっきりとことばで伝えてくれることが少ないからです。

そのため、以下のように聞いてみましょう。

 

訪問看護師
今日は、普段よりも声に元気がないように感じます。何かありましたか?

 

このように感情や思考を感じとって言語化してもらうと、人は相手に好感をもち、気を許すことができます

 

筆者
家族にも話しづらい内容である場合、訪問看護師が聞き出すことが重要です。

 

②回りくどい質問を受けたときは掘り下げる

なんだか回りくどいことを聞いてくると感じたら、掘り下げて聞き返してみましょう。

回りくどい質問をする方には、もう一歩踏み込んだ先に、本当のニーズが隠れている場合があるからです。

たとえば、以下のように質問された場合を見てみましょう。

 

Q
看護師さんは、足や腰を触ってくれることもありますか?

 

なんだか、足や腰を触ってほしいのだと予測できますよね。

そのため、訪問看護師は「触ってほしいかどうか」や「どうして触ってほしいのか」などを聞くとよいでしょう

するとたとえば、「既往に腰部脊柱管狭窄症があり、しびれや痛みを軽くしてほしい」というニーズが聞きとれるかもしれません。

「触ってくれるのかな?」「触ってほしい」といった「顕在化したニーズ」の先には「しびれや痛みをとって楽になりたい」という本当のニーズが隠れている可能性があるのです

人間は本心に近いことを話す際、回りくどく言ったり疑問形を使ったりすると言われています。

そのため、利用者さんから回りくどい質問をされたときは、そのことばの先にどんなニーズが隠れているかを掘り下げて聞いてみましょう。

 

③具体的に質問する

質問は具体的にしましょう。

抽象的な聞き方では、利用者さんが自身を客観的にとらえられず、本当のニーズに気づけないからです。

ニーズを把握する際「ご自宅の生活がどうなればいいですか?」「何か困っていることはありますか?」と聞くことはありませんか?

利用者さんの中には「特にないです」「今のままでいいです」と答える方もいるのではないでしょうか。

そのため、以下のように聞いてみましょう。

 

訪問看護師
  • お通じは毎日ありますか?
  • 食事はどれくらい食べられていますか?

 

このように、体調や生活状況に関する具体的な質問が望ましいです

具体的な質問により、以下のようなニーズに気づけるかもしれません。

 

A
  • 毎日排便できているが、オムツの中にしたくない。本当はトイレでしたい。
  • 昼食はしっかりとれるが、朝は食欲がなくあまり食べられない。朝食は簡単に済ませられるもので、かつ栄養量も確保したい。

 

筆者
具体的な質問を駆使して、ニーズを把握するように努めましょう!

 

④過去と現在のギャップを把握する

 

現在と過去のギャップを把握して、言語化を手伝ってみましょう。

初期に立案した看護目標が達成されると、新しい目標を立てるにあたり「やってみたいこと」や「やってほしいこと」を聞く場合があると思います。

しかしこの聞き方では、本来のニーズが把握できない可能性があります。

理由は、質問が未来に関することであるからです

人間は「過去>現在>未来」の順に自分のことを語りやすいと言われており、未来について聞くとうまく答えられない場合があります。

そのため将来的なことを聞くよりも、「過去に思い描いていた生活」と「現在の生活」とのギャップを聞いた方が、ニーズを聞き取れる可能性があります。

 

A
本当は今頃、妻といろいろなところへ旅行する人生だと思っていたんだけどね…。

 

このような返答があれば「配偶者と旅行したり外出をしたりするために達成すべき目標」を看護計画に設定できる可能性があります。

 

⑤ケアを終えた後に会話する

場合によっては、ケアを終えた後に会話するとよいでしょう。

ケアの最中に伝えたいことを忘れてしまう場合があるからです。

心理学では「ドアノブ効果」とよび、言い出せなかった話を後で思い出すことがしばしばあります。

よくあるのは病院を受診したときです。

主治医に聞きたいことがあっても忘れてしまい、診察室を出た後に思い出すことがあります。

訪問看護の場合は、看護師が次のお宅へ向かってしまってから、利用者さんが言いたいことを思い出すことがあります。

そのため利用者さんのニーズを聞き出すタイミングは、ケアが終わった後の時間にすることが場合によっては有効です

時間に余裕があるときは、じっくり話を聞いてみましょう。

 

まとめ

 

今回は、訪問看護におけるコミュニケーション技術について紹介しました。

利用者さんのニーズを聞き出すポイントは、以下の5つです。

 

  1. 相手の感情や思考を言語化する
  2. 回りくどい質問を受けたときは掘り下げる
  3. 具体的に質問する
  4. 過去と現在のギャップを把握する
  5. ケアを終えた後に会話する

 

コミュニケーション技術を高めるのは一朝一夕では難しいかもしれません。

大切なのは技術を高めようとするのではなく「利用者さんの困りごとが何であるか」を常に考え、対話を通して把握することです。

ぜひ今回紹介したポイントを念頭に置き、利用者さんとコミュニケーションをとってみてくださいね。

 

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