訪問看護で妊娠中に気を付けること5選

 

訪問看護で働いている中、妊娠がわかったらどうするべきでしょうか。

 

私自身、妊娠してから産休に入るまで訪問看護で働いていました。

その立場で、訪問看護で妊娠中に気を付けることを5つまとめてみました。

 

訪問看護で妊娠中に気を付けること

訪問看護で妊娠中に気を付けることは下記の5つです。

 

訪問看護で妊婦が気をつけること
  1. 早めの報告
  2. 感染症などの病気の予防
  3. 力仕事
  4. 移動
  5. 制度を知っておく

 

では、一つひとつ紹介していきます。

 

①早めの報告

妊娠がわかったら、初期の段階で上長(管理者や責任者)に報告しましょう。

妊娠8週前後で報告できると良いと思います。

報告内容は、妊娠中であること、出産予定日、医師等から指導を受けている場合はその内容です。

妊娠初期は、急激なホルモンの変化によって、さまざまな症状が出ます。身体的には、つわり(吐きづわり、食べづわり、眠りづわり、よだれづわりなど)や、腹痛、頭痛や倦怠感、口渇感、寒気などがあります。精神的には、イライラしやすくなったり情緒が不安定になりやすかったり、うつ症状が出る人もいます。

妊娠初期の体調や心の変化は著しいですが、まだ見た目では妊娠していることがわかりません。

何かあったときにすぐ対応できるよう、できるだけ早く報告することが望ましいです。

 

②感染症などの病気の予防

普段の業務から、感染症の予防はしていると思います。

妊娠すると、免疫力が低下しやすいため、妊娠前と比べてより注意が必要です。

自身の身体がつらいだけではなく、赤ちゃんにも影響が出てしまうことがあります。

さらに、妊娠中には服用できない薬(抗菌薬・抗ウイルス剤、抗凝固薬など)もあるため、注意が必要です。

また、ワクチン類も妊娠中に摂取できないものあります。例えば、風疹は妊娠初期に妊婦さんが感染すると、赤ちゃんが白内障や緑内障、難聴、先天性の心臓の病気などを引き起こすリスクがあるといわれています。多くの人は抗体を持っていますが、まれに抗体がない人もいるため、妊娠前に抗体検査を受けることも一つではないでしょうか。

まずは感染しないように、標準予防策(スタンダードプリコーション)はしっかりと行いましょう。

訪問する利用者さんによっては疾患や症状に合わせた対策が必要となります。

感染するリスクが高い場合は、担当を交替するなどの対応も検討した方が良いでしょう。

 

③力仕事

妊娠中、力仕事はできるだけ避けましょう。

訪問看護では、訪問先によっては介助が必要な場面が多くみられます。

利用者さんの状態を事前に把握し、介助が必要な場合には、担当の変更や複数名での訪問にして、無理をしないようにしましょう。

また、姿勢の変化にも配慮が必要です。

前屈みの姿勢やしゃがみ込み、長時間の立ち仕事は、身体に負担がかかりやすく、気が付かないうちに無理をしている時があります。

私の場合、妊娠前からしていた介助や姿勢が、いつの間にか身体に負担がかかっており、だんだんおなかが張る症状が出て、妊娠後期には安静を余儀なくされました。

このようなことにならないために、早期から力仕事や姿勢には十分気を付けましょう。

もしお腹の張りや出血などの症状が出てきたら、早めの受診をして、主治医の指示を仰ぎましょう。

 

④移動

訪問看護では、訪問するために移動が必須です。

自動車の運転では、めまいやつわりの症状が出ている場合は、特に気を付けましょう。

少しでもおかしいと思ったら休憩ができるように、スケジュールにゆとりをもっておくようにしましょう。

おなかが大きくなってくると、ハンドルがおなかに当たる場合や足元が見えにくい場合もあります。そのような時には、できるだけ運転は避けた方が良いでしょう。訪問業務でなく内勤や在宅勤務に切り替えるなど、管理者と相談しましょう。

自転車の運転では、転倒する危険があります。

妊娠中の骨格の変化によっておなかに負荷がかかることもあります。

移動する際は十分に気をつけましょう。また、移動手段なども管理者と相談してみるのもいいでしょう。

徒歩では、できるだけ荷物を減らしていくことが望ましいです。

重たいものを持つことは、おなかの負担になりやすいので、気を付けましょう。

歩く距離や運動の量は、経過にもよるので主治医に確認しましょう。

 

⑤制度を知っておく

妊婦健診

妊娠がわかったら、妊婦健診が定期的にあります。

妊婦健診とは、妊婦さんと赤ちゃんの健康状態を確認するために行うものです。

妊娠初期から妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24週から35週までは2週間に1回、妊娠36週からは1週間に1回と頻度が増えます。

医師の指導を受けたら、上長に申し出て、措置を講じてもらいましょう。

きちんと伝えられるよう、医師等に「母性健康管理指導項連絡カード」に記入してもらうのも一つの手です。

また妊婦健診は、医師や助産師などに、妊娠・出産・育児に関する相談ができるところでもあります。

働いていると就業中に妊婦健診に行きづらいと感じる方もいると思いますが、法律(男女雇用機会均等法)で妊婦健診の時間の確保が定められているため、勤務中に妊婦検診へ行くことが可能です。

所属している会社の社内規定によって、妊婦健診中の時間の扱いが変わる場合があるため、確認が必要です。

上長への報告の際に、一緒に確認しておくとスムーズですね。

その他の制度

・時間外・休日労働・深夜業の制限、変形労働時間制の適用制限(時間外労働、休日労働、深夜業の免除を請求できる)

・軽易業務転換(妊娠中は他の軽易な業務への転換を請求できる)

・危険有害業務の就業制限(一定以上の重量物の取り扱い業務、有害物質が発散する場所等の業務の制限)

所属している会社によって、社内規定で決められていることもあるので、確認しておきましょう。

 

まとめ

妊娠中、訪問看護で働くために気をつけることをまとめました。

妊娠は嬉しいことですが、体調や心の変化が著しく、妊娠前とは大きく異なります。

そのような時、自分で抱え込まずに、主治医や周囲の人にすぐ相談できるようにしておくと、安心です。

妊婦さん、赤ちゃんともに健康でいられるように、心地よく働ける職場が増えますように。

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ABOUT US
石川 成美理学療法士
理学療法士/愛知県在住/総合病院、地域活動を経て現在は訪問看護ステーション勤務/訪問看護でリハビリをしながら広報を担当/子育て中/職場の働きやすさ改革中/趣味は旅行