特定行為研修は7月に開講し、翌年6月までの1年間で実施されています。
開講後7ヶ月はeラーニングを使用し、演習を行います。
演習終了後1月以降は、受講者自身が所属する施設で、実習を行います。
実際に現在筆者は特定行為研修受講中になります。
その経験から今回の記事では、特定行為研修を受講する中で苦労することを演習、実習それぞれの面からご紹介します。
また仕事やプライベートとの両立をしながら、研修を行うための工夫もご紹介します。
では早速紹介していきます。
目次
私が特定行為を受講しようと思った理由
まず、私が特定行為看護師を目指そうと思った理由を少しお話します。
病院勤務の時は特定行為看護師を目指そうと思ったことはなく、特定行為看護師に関して、名前程度の知識しかありませんでした。
しかし、訪問看護で働いていく中で徐々に考えが変わりました。
在宅医療は病院のようにすぐに医師の指示を仰いで処置を行うことが難しい環境です。
また訪問看護は、基本一人で利用者さん宅に訪問するため、一人で判断し、看護を提供する必要があります。
そのような環境で働く中で、利用者さんの苦痛を最小限にし、迅速な処置を行えるようにできたら良いなと思うようになりました。
演習
特定行為研修の演習には、全ての特定行為に必要とされる基本的な知識の習得を目指す共通科目と、特定行為の各区分毎に必要とされる専門的な知識の習得を目指す区分別科目の2種類があります。
共通科目 | 学習内容 | 所要時間 |
臨床病態生理学 | 解剖・薬理・生理 | 30時間 |
臨床推論 | 臨床診断学・検査学・症候学 | 45時間 |
フィジカルアセスメント | 身体診察、診断学 | 45時間 |
臨床薬理学 | 薬剤学、薬理学 | 45時間 |
疾病・臨床病態概論 | 主要疾患の臨床診断・治療 | 40時間 |
医療安全学/特定行為実践 | 医療倫理、安全管理、ケアの質保証、関連法規、意思決定支援、手順書作成など | 4時間 |
区分別科目(21区分) | 所要時間 |
呼吸器(気道確保)関連 | 9時間 |
呼吸器(人工呼吸療法)関連 | 29時間 |
呼吸器(長期呼吸療法)関連 | 8時間 |
循環器関連 | 20時間 |
心嚢ドレーン管理関連 | 8時間 |
胸腔ドレーン管理関連 | 13時間 |
腹腔ドレーン管理関連 | 8時間 |
ろう孔管理関連 | 22時間 |
栄養に係るカテーテル管理関連(CVC) | 7時間 |
栄養に係るカテーテル管理関連(PICC) | 8時間 |
創傷管理関連 | 34時間 |
創部ドレーン管理関連 | 6時間 |
動脈血液ガス分析関連 | 13時間 |
透析管理関連 | 11時間 |
栄養及び水分管理に係る薬剤投与関連 | 16時間 |
感染に係る薬剤管理関連 | 29時間 |
血糖コントロールに係る薬剤投与関連 | 16時間 |
術後疼痛管理関連 | 8時間 |
循環動態に係る薬剤投与関連 | 26時間 |
精神及び神経症状に係る薬剤投与関連 | 26時間 |
皮膚損傷に係る薬剤投与関連 | 17時間 |
共通科目は全250時間、区分別科目は全5〜34時間になります。
膨大な時間を要するため、自分で時間管理を行うことに苦労しました。
演習を受講する前に、講義で得た知識を元に事例について考察しレポートにまとめるという事前課題もあります。
私の場合は、研修日までに自宅でeラーニングを受講し、レポートをまとめ提出するという流れでした。
eラーニングを受講しながら、課題を提出できるよう自分で時間管理することは大切になります。
eラーニングを受講し、課題をこなすことは大変ですが、忘れているところや曖昧な知識となっていることが多くあり、知識の再確認・再学習ができました。
訪問看護師として働いていると、病院勤務時代と比べ検査データに触れる機会が少なくなります。
検査データの見方や検査データから考えられることをアセスメントすることの大切さを改めて学びました。
実習
演習を終えた後は、実習があります。
実習期間は、習得する特定行為区分により異なりますが、数週間〜3ヶ月程度の期間内に必要な症例件数を経験します。
今まで行ってきた知識として身につけてきた演習を、実習として実際に患者さんに実施する段階と言えます。
実習では、必要な情報を患者さんに自分から聴取しにいく必要があります。
そのため、自ら行動する積極性に苦労しました。
実習の流れとしては、まず実際の患者さんに対して、問診を行い、鑑別診断を挙げます。
そして、医師の指導の元で特定行為を実施し、その方の症例をレポートとして作成する必要があります。
自分から学びにいく、演習で学んできたことを活かしながらアセスメントし、考察する必要があります。
また、特定行為研修を受講する方で、看護学生時代以来の実習になる方も多くいると思います。
実際に私も看護学生以来の実習となりました。
実習は研修を行う施設によって異なりますが、平日の勤務の合間や土日に行うこともあります。
そのため実習日程を確認し、職場での調整が必要な場合には事前に相談しておきましょう。
仕事やプライベートと両立する工夫
私の場合は、平日にeラーニングで自己学習し、提出する事前課題を行っていました。
毎月1回土曜日に演習があり、それまでに自己学習や事前課題を行うというスケジュールでした。
上記で紹介したように、演習と実習それぞれ多くのことを学ぶ必要があります。
そのため、仕事の後に家事等を行い、課題をこなすことがとても大変でした。
演習の際に私は、自分で自己学習と事前課題のスケジュールを立てて行っていました。
スケジュールを立てて進めることで、プライベートとも両立しながら、勉強を進めることができました。
演習や課題は、自分でスケジュールを立てて、計画的に行うことをおすすめします。
また家族の協力が得られる場合には、より両立しながら研修を受講することができますね。
まとめ
特定行為研修で苦労することをご紹介しました。
演習、実習それぞれ大変なことはありますが、特定行為研修を受講することで、看護師としても、人としても成長することができると思います。
プライベートや仕事との両立で大変なことも多くあると思いますが、これから特定行為を受講する方、特定行為看護師に興味のある方に是非参考にしてもらえたら嬉しいです。
苦労したことを教えてください!