人によって教え方がちがうという悩みの解決策を教えます

 

悩める看護師

Aさんに教えられた通りにしたらBさんに注意されました。人によって教え方がちがうというのは正直困ります。

 

このようなことは、訪問看護の職場に限らず仕事ではよくあることかもしれません。

この記事では、こういった悩みをお持ちの方に身につけてほしいスキルを紹介します。

 

人によって教え方がちがうという悩みの解決策とは

 

 

新しい職場や仕事をはじめたときは、最初に教えてもらったことを実行します。

人によって教え方がバラバラだったり、説明している内容や言っていることがちがうと感じた場合は、どのようにすればよいのか不安になります。

人によって教え方がちがうのは、教えている人の視点や価値観が違う可能性が考えられます。

教育担当や管理者に確認できるとよいかもしれませんが、訪問看護事業所は少人数の場合も多く、教育担当が決まっていない場合もあります。

確認しづらいと、利用者さんのことよりも先輩の機嫌や顔色を伺いながら業務に当たるということになりかねません。

かつての私もそうでした。

しかし、業務をする上で「本当にすべきことは何か」という本質的な問いを自分自身で行い答えを出すことができると、やるべきことに集中できるようになりました。

この自ら問いを作って答えを出す力は、仕事をする上で必要な3つの能力の一つであるコンセプチュアルスキルと言われ、物事の本質を捉える力となります。

仕事をする上で必要な3つの能力を理解することやコンセプチュアルスキルを身につけることができれば、目の前のやるべきことに集中することができ、結果、解決策の一つになります。

 

仕事をする上で必要な3つの能力

 

アメリカの経営学者ロバート・カッツは、テクニカルスキルヒューマンスキルコンセプチュアルスキルの3つを、仕事をする上で必要な要素だと提案しました。

人材育成に用いられることも多く、現在の自分にとって必要なスキルはなにかを認識し、スキルアップするために有効な理論です。

 

カッツモデルとは
  • テクニカルスキル「与えられた業務をこなす力」
  • ヒューマンスキル「周囲の人と良好な関係を築く力」
  • コンセプチュアルスキル「物事の本質を見極める力」

 

それぞれについて説明します。

 

テクニカルスキルとは

テクニカルスキルとは、与えられた業務を問題なく行うために必要な能力のことです。

 

訪問看護業務のテクニカルスキルの例
  • バイタルサイン測定や採血、点滴などの看護技術
  • 必要な情報収集と訪問看護計画書の作成
  • マニュアルを理解し、行動するなど

 

ヒューマンスキルとは

ヒューマンスキルとは、上司や先輩、同僚や医師、他職種の人など、周囲の人たちと良好な関係を築きながら仕事を進める能力のことです。

 

訪問看護業務のヒューマンスキルの例
  • 職場の同僚や利用者さん、家族さんにきちんと挨拶ができる
  • 利用者さんと信頼関係を築く
  • 人の意見を聞き、自分の意見も言える
  • 素直に質問ができるなど

 

訪問看護の仕事は、利用者さんや家族さんだけではなく、ケアマネジャーや主治医などと連携を必要とする場面が多いので、このヒューマンスキルが高い人は、スムーズに仕事を進めることができると思います。

 

コンセプチュアルスキルとは

コンセプチュアルスキルとは、物事の本質を見極める力です。

 

コンセプチュアルスキル的思考

私の担当している利用者さんは、浸出液の多い踵部の褥瘡処置に、指示された軟膏とガーゼを使用していました。
浸出液が多いためシーツの汚染や創部の浸軟状態に悩んでいましたが、ガーゼの代用に母乳パットを利用しました。

本来母乳パットは、母乳により下着の汚染を予防するためのものですが、以下のように共通点を見つけ出しました。

  • 母乳を吸収するということは褥瘡の浸出液を吸収できるのではないか
  • 母乳パットの大きさが踵の部分と一致するのではないか
  • ご家族がドラックストアで購入しやすいのではないか

このように、違うことに見えるものに共通点を見つけ出し、ケアに活かしました。

 

コンセプチュアルスキルを身につけると、現在起こっていることの本質を見抜き、冷静に最適な判断をすることができるようになります。

他にも以下のような訪問看護におけるコンセプチュアルスキルの例があります。

 

  • 利用者さんとの何気ない会話から重要な情報を見つける
  • 教えられた内容に疑問をもつ
  • ミスをした原因がわかる など

 

Aさんに教えられた通りにしたらBさんに注意されたとしても、業務をする上で本当にすべきことは何かという問いを立て思考することによって、自分にとって必要な情報や行動がわかるようになります。

結果、不安は解消できるでしょう。

 

訪問看護師がコンセプチュアルスキルを身につける最大のメリット

 

与えられた業務を問題なく行う力(テクニカルスキル)、周囲の人と良好な関係を築く力(ヒューマンスキル)、訪問看護はこれで充分ではないかと思われます。

しかし、訪問看護の現場は一人で訪問し判断することが多くあります。

「正解がない」「正解があっても誰も教えてくれない」は、日常的に起こります。

困難な状況に置かれたときに、問題を解決するために必ず必要になる能力こそがコンセプチュアルスキルです。

しかしコンセプチュアルスキルは、テクニカルスキルやヒューマンスキルと違って、そう簡単に鍛えたり伸ばしたりできません。

目の前の出来事に疑問を持ち、そこからの教訓やノウハウを得るということを意識してみてください。

本格的に学びたいと思われた方はコンセプチュアルスキル研修や書籍で深めてみてください。

 

 

 

まとめ

 

人によって教え方がちがうという悩みの解決策にはコンセプチュアルスキルで対処します。

 

  1. 仕事をする上で必要な3つの能力を理解する
  2. 目の前の出来事に「なぜ?」「どういうことだろうか」という問を立てる
  3. 違うことに見える出来事に「共通点」を見つける
  4. そこからの教訓やノウハウを意識してみる
  5. 起こっていることの本質を見抜き、冷静に最適な判断を考える
  6. コンセプチュアルスキルを身につければ、困難な状況に置かれたときにこそ、その問題を解決することができる

 

訪問看護をおこなう中で、誰もが不安や疑問に思ったりすることを解決できるような記事の作成を心がけています。

この記事がみなさんの日々の業務に役立ってもらえると幸いです。

 

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