次世代訪問看護師紹介vol.80|村上さん

ビジケア広報・町田
「次世代訪問看護師」は、訪問看護の現場で実際に働いている人たちの働き方や想いを紹介するコーナーです。

今回は、看護小規模多機能型居宅介護(通称:かんたき)で訪問看護+施設業務の兼任で働く村上さんをご紹介します!

 

お名前

村上さん
村上です。

よろしくお願いします!

 

働いている地域はどちらですか?

村上さん
東京都世田谷区です。

 

働いている職場(事業所)を教えてください

村上さん
ナースケア・リビング世田谷中町で働いています。

通称「かんたき」といわれる看護小規模多機能型施設で働いていて、その中で施設内での看護業務と、訪問看護を兼任しています。

 

現在の仕事以前の職歴や経歴を教えてください

村上さん
急性期病棟で3年勤務後、別の訪問看護事業所で1年、往診同行で約半年、デイサービスで半年働いていました。

 

現職(訪問看護師)歴は?

村上さん
約2年になります。

 

訪問看護に興味を持ったきっかけは?

村上さん
学生の頃からコミュニケーションへの興味や関心が深く、臨床や病態における健康の定義よりも、より総合的な健康の概念・・・「エンパワーメント」や「ウェルネス」といった考え方に関心が強くなっていきました

 

町田
臨床は病気の治療の場なので、対象者(患者さん)を「病気がない状態としての健康(Health)」にしていくためのアプローチがより必要という印象ですよね。

それに対してウェルネス(Wellness)は「身体的・精神的・社会的な側面を含んだ総合的な健康状態」「より良く生きようとする生活態度」などと表され、生き方を含めて“健康的”に生きるための概念という印象です。

どちらも大切な考え方ですが、村上さんは後者の健康の考え方により関心が強くなっていったんですね。

 

村上さん
そうですね。とはいえ最初は臨床に行くものだと思っていたので、まずは急性期の病院へ就職しましたが・・・想像以上の忙しさに驚いてしまい、また自分が描いていた働き方との違いを感じました。

そこで別な働き方を探していく中で、訪問看護に興味を持ちました。

 

訪問看護を始める前に感じていた、訪問看護のイメージは?

村上さん
自分の祖母の家にも訪問看護師の方が来ていたので「おじいちゃん、おばあちゃんの家に来てくれる看護師さん」といったイメージがありました。

 

実際に始めてみて変わった・感じる訪問看護の世界

村上さん
病棟で働いていた時には知らなかったこと、分からなかったことばかりでした!

在宅では利用者さんの生活が中心にあり、訪問・在宅の看護師や支援者はあくまでその利用者さんの生活のほんの一部なんだと知りました。

その中で、利用者さんやご家族の方が安心して生活を送るために様々な人たち・・・ケアマネジャー、介護士、医師、薬剤師、リハビリ職、福祉用具の方、そのほかにもたくさんの人たちが関わっていて、その人たちと共に共同していくことが大切だと感じました。

 

町田
在宅では利用者さんの想いや生活に沿って、多職種で連携しながら包括的に支えていきますよね。

村上さんが先ほど話していたウェルネスな生活、そしてそれに対するエンパワーメント的な支援に近い部分があるように感じます。

 

訪問看護でやりがいや喜びを感じること・嬉しかったエピソードはありますか?

村上さん
私は現職の「かんたき」で、施設内での看護業務と訪問看護を兼任しています。

私の経験不足もあったと思いますが・・・前職で別の訪問看護事業所で働いていたときには、利用者さんやご家族、訪問介護の方、訪問薬局の方、往診医との連携が難しいと感じました。

また、利用者さんの全体像の解像度が低くなってしまい、一人で訪問業務を行うことが当時の私には合っていなかったなと思います。

 

町田
当時の村上さんが様々なことに悩み、葛藤を抱えていたことがうかがえます・・・。

その後の経験や現職で変化はありましたか?

 

村上さん
現職についてからも最初は悩んでいました。当初は施設内だけで利用者さんと関わっていたんですが、施設の中だけの関わりだとご自宅での過ごし方が見えづらく、ご家族と時間を取ってお話しをすることも難しいなと感じました。

それが訪問看護としてもご自宅に訪問するようになってから、ご本人のご自宅での過ごし方や、ご家族のお気持ちなども直接聴くことができるようになりました!そこから、より利用者さんとご家族に寄り添ったケアやサービスを、一緒に働く介護スタッフやケアマネジャー・利用者さんの主治医に、情報を共有して共に考えることができるようになりました。

特に現職のかんたきでは介護士さんの関わりやケアが素晴らしく、一緒によりよいケアを考えていけることが嬉しいです。今は“多くの人と関わりながら利用者さんの生活を支えている”という実感を感じながら働くことができています。

 

町田
よりよい関わり方やケアをしたいという気持ちがあるからこそ悩まれてきたんですよね・・・。

けれどその悩んできた経験や、かんたきでの多角的な関わりを経て、村上さんが今充実して働いていることが伝わってきます。

 

働く中で、大変だった・苦労した場面やエピソードを教えてください

村上さん
訪問看護・在宅で働き始めた当初は、病棟と在宅での判断基準のギャップが大きく感じて、関わり方が難しかったです。

どうしても医療的な考えに偏り過ぎて、利用者さんやご家族の生活を置き去りにしてしまった・・・なんて経験もあります。

今でも「薬なんて飲みたくない」「リハビリなんてしたくない」「入院なんてしたくない」「(誤嚥のリスクが高すぎて病院では絶食であろう方の)水を飲みたい、豆腐が食べたい」など、様々な利用者さんの要望に日々悩みながら対話しています。

 

町田
本人の意思が大事と分かっていても、医療上の視点やリスクが見えるからこそ悩みますよね・・・。

 

これから先、どんな訪問看護師になっていきたいですか?

村上さん
看護師という職種にこだわらず、目の前の人にとって自分は何を提供できるか、どこまでよりよい「生活」や「健康」を追求していけるかを考えていきたいです。

「健康」という言葉は、中国の易経(※儒教の経典)の中で「健体康心」が語源だと言われています。「身体だけでなく、心もやすらかな状態が健康なのであれば、看護だけでそれが果たすことができるのだろうか?」と考えました。

もちろん私の専門性は「看護」であることが基盤にあり、看護師だからできること、判断できることを行うことを基本にすることが大事だと思っています。そのうえで一人の人として、目の前の人と「生活」や「健康」を共に考えていくことを大切にしたいし、利用者さんの生活を支える人たちのことも理解して一緒に働くことができる人になりたいです。

そして良い支援者として、まずは自分自身が豊かな生活を送れるように・・・よく食べて、よく眠って、よく話して、よく笑って、よく泣いて、よく怒って、日々楽しく生きていたいと思います。

 

町田
「生活」と「健康」について深く考えてきたからこそ支援者として広く深い視点が育まれ、村上さん自身の考え方や生き方も磨かれてより豊かになっているのではないか・・・そんなふうに感じました。

村上さん、ありがとうございました!

 

ナースケア・リビング世田谷中町 リンク紹介

・ナースケア・リビング世田谷中町:HP

 

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町田
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ABOUT US
町田 舞広報
ビジケア広報・ウェブ担当。 看護師/フリーランス。看護メディア(マイナビ看護師、ナース専科、月刊ナーシング等)で執筆・編集経験多数。在宅医療研究会レポート担当。システムエンジニアだった経験を活かしウェブ・SNS・ITの力でヒト・モノ・コトの橋渡しを軸に活動。ITとリアルの融合で人がつながり支え合う地域包括社会を目指す。訪問看護師・ウェブライター・看護師オンラインサロン運営・看護師のメンタル・キャリアカウンセリングなど、複業を並行しながら働くパラレルキャリア。