施設内訪問看護での看取り、介護士との連携とは。

悩む看護師

施設内の訪問看護での看取りはどんな流れになるのかなかな。

介護スタッフとの連携はどんな流れにする必要があるのかな?

訪問看護の看護師さんで、このような疑問を抱いている方もいるのではないでしょうか。

施設内訪問看護(施設内訪看)における終末期ケアは、看護師一人では成し遂げられません。

特に、24時間入居者のそばにいる「施設の介護スタッフ」との連携は、ケアの質を左右する最重要ピースです。

看護師は、専門的な知見を「介護の言葉」に翻訳し、チーム全体を一艘の船のように操縦する役割を担います。

施設内の訪問看護ステーションのスタッフとして、腎不全の利用者さんの末期看取り時に、看護が中心となって多職種連携を実践した、模範的な事例をまとめました。

ぜひ参考にしてみてください!

 

【事例】腎不全末期・A氏(80代)の施設内看取り

A氏は透析を希望せず、施設での平穏な最期を選択されました。

腎不全末期は、全身の浮腫(むくみ)、尿毒症による不穏(そわそわする)、肺水腫による呼吸苦など、介護スタッフが「見ていて辛い」と感じる症状が出やすいのが特徴です。

 

1. 専門職間の「攻め」の連携

まず、看護師がハブとなり、各専門職と「迷わない体制」を構築します。

医師との連携(迅速な決断)

尿量減少に伴う呼吸苦を予測し、「喘鳴が出たらこの薬」「不穏にはこの座薬」「呼吸状態の悪化がどのようになったら在宅酸素を依頼する」と、症状別の具体的指示を事前に取り付けます。

 

薬剤師との連携(苦痛の遮断)

嚥下能力が落ちるタイミングを見計らい、薬局と相談して「内服」から「貼り薬(パッチ)」や「持続皮下注」へ切り替え等、痛みや苦しみを放置しない体制を整えます。

 

ケアマネとの連携(環境の最適化)

「最期はベッドサイドで家族と過ごしたい」という希望を叶えるため、居室のレイアウト変更や、ターミナルケア加算の手続きを迅速に進めます。

 

2. 介護スタッフとの「守り」の連携:24時間を支える信頼関係

看護師が居室にいない時間、入居者を支えるのは介護スタッフです。

「不安」を取り除き、「観察眼」を活かすことが、ケアの質を劇的に高めます。

① 「異変」を「予測」に変える共有

介護スタッフにとって、呼吸の変化やチアノーゼは恐怖です。

看護師は事前にこう伝えます。

「これからおしっこが減り、呼吸が少し荒くなるかもしれません。それは体が旅立ちの準備をしている自然な証拠です。苦しそうな表情をしたら、すぐに看護師を呼んでください。」

このように、「何が起こるか」と「バックアップ体制」を明示することで、介護スタッフは安心してケアに専念できます。

 

② 身体介助を「緩和ケア」へ昇華させる

腎不全特有のパンパンに張った浮腫は、少しの摩擦で傷つきます。

看護師から介護職へ: 「着替えの時は肌をこすらず、服を浮かすようにしましょう」「この位置にクッションを入れると、心臓への負担が減り、Aさんが楽になります」と具体的にレクチャーします。

介護職から看護師へ: 「さっき少し痰が絡む音がしました」「おむつ交換の時、顔をしかめられました」といった微細な変化の報告を看護師が全力で受け止めることで、早期の苦痛緩和が可能になります。

 

3. 家族への「チーム」としての対応

家族にとって、看護師は「医療のプロ」ですが、介護スタッフは「日常を支えてくれるパートナー」です。

グリーフケアの開始

看護師が医学的な予後(あとどのくらいか)を伝え、介護スタッフが「今日もAさん、娘さんの話をしたら微笑まれましたよ」といった生活の断片を伝えます。

 

最期の瞬間

息を引き取った際、看護師によるエンゼルケアだけでなく、長く関わった介護スタッフにも「お体を一緒に拭きますか?」と声をかけます。

チーム全員で見送る姿勢が、家族に「ここで最期を迎えて良かった」という深い納得感を与えます

 

 

4. 施設内での看取り期、看護師から介護士への教育とは

施設内での看取り教育において、看護師から介護士へ伝えるべきことは「医学的根拠に基づいた安心感」の提供です。

1. 動画研修(知識の土台作り)

死戦期の身体変化(下顎呼吸、チアノーゼ、死前喘鳴など)を、実際の音や映像を含む動画で視覚的に学びます。

言葉だけでは伝わりにくい「看取りのサイン」を事前に疑似体験することで、夜勤帯の独り立ち時などの恐怖心を軽減し、「異常事態ではなく自然なプロセス」であることを理解できます。

 

2. 日頃のレクチャー(実践知の共有)

日常のケア場面で、具体的な「観察の視点」を伝えます。

• 触れるケア: 浮腫への愛護的なタッチや、保清時の苦痛サインの読み取り方。

• もしもの時の設定: 「もし呼吸が止まったら、まずは詰所に連絡し、次に管理者を呼んで」といった具体的な事業所内でのフローの周知と徹底。

• 声かけの意義: 聴覚は最後まで残ることを伝え、ケア中の積極的な声かけを促します。

 

3. デブリーフィング(心のケア)

看取り後には必ず振り返り(デス・カンファレンス)を行い、「あの時、あのケアをしてくれて助かった」と介護士の貢献を承認します。

これにより、介護士は「死」をマイナスイメージや恐怖を持ち続けることではなく、多職種で成し遂げた「尊厳ある支援」として捉えられるようになります。

 

施設内での看取りの成功は、看護師がハブとなり、医療・介護の境界を越えた「情報の共有」と「役割の連動」を実現することにあります。

看護師が医学的予測に基づいた緩和ケアの指針「もしも」を明示し、24時間寄り添う介護スタッフの不安を解消することで、チーム一丸となった「苦痛のない生活」が守られます。

この多職種連携こそが、入居者と家族に、施設という生活の場での「最良の最期」を約束する鍵となり得ます。

 

先輩訪問看護師

介護士さんと一緒に、ご家族様が『ここで最期を迎えられて良かった』と思えるような、温かいチームの一員でありたいですね!」

 

 

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