令和8年度の地域別最低賃金が、10月1日から都道府県ごとに順次発効しています。厚生労働省の一覧によると全国加重平均は1,177円で、前年度から56円(5.0%)の引上げです。厚生労働省老健局は10月2日付の事務連絡で、介護関係団体に改定額と賃上げ支援施策の周知を依頼しました。
発効日は都道府県によって10月1日から12月2日まで分かれています。訪問看護ステーションでも、事務職員やパートタイムの職員などの時給が改定額を下回っていないか、所在地の発効日に合わせて確認が必要です。
- 令和8年度の地域別最低賃金の改定額と、都道府県別の発効日
- 厚生労働省老健局の事務連絡(令和8年10月2日付)の内容
- 月給制・時給制それぞれで最低賃金を満たしているかの確かめ方
- 業務改善助成金など、賃上げに使える国の支援策と注意点
目次
何が決まったのか(ニュースの概要)
厚生労働省老健局(高齢者支援課・認知症施策・地域介護推進課・老人保健課)は、令和8年10月2日付で事務連絡「令和8年度最低賃金額の改定及び各種賃上げ支援施策に関する周知・広報の実施等について(協力依頼)」を関係団体に出しました。全国訪問看護事業協会も10月6日にこの事務連絡を会員向けに掲載しています。
事務連絡では、令和8年度の地域別最低賃金が10月1日から順次発効すること、改定額の履行確保と賃上げにつながる助成金・補助金などの活用促進に向けて周知・広報に協力してほしいことが示されています。最低賃金に関する問合せは、最寄りの都道府県労働局または労働基準監督署が窓口です。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 発出元 | 厚生労働省老健局 高齢者支援課・認知症施策・地域介護推進課・老人保健課 |
| 日付・宛先 | 令和8年10月2日付事務連絡/関係団体あて |
| 主な内容 | 地域別最低賃金の改定額と、各種賃上げ支援施策の周知・広報への協力依頼 |
| 全国加重平均 | 1,177円(改定前1,121円、56円・5.0%の引上げ)※厚生労働省「令和8年度地域別最低賃金全国一覧」より |
| 発効日 | 令和8年10月1日から12月2日まで、都道府県ごとに異なる |

看護職員は最低賃金を大きく上回っていることが多いですが、事務職員や短時間のパート職員は要注意です。今年は全国で50円を超える引上げなので、昨年ぎりぎりだった時給は下回る可能性があります。
内容の詳細
都道府県別の改定額と発効日
事務連絡に添付された一覧の数値です(単位:円)。発効日より前は改定前の額、発効日以降は改定後の額が適用されます。
| 都道府県 | 改定額 | 改定前 | 引上げ額 | 発効日 |
|---|---|---|---|---|
| 北海道 | 1,131 | 1,075 | 56 | 令和8年10月1日 |
| 青森 | 1,090 | 1,029 | 61 | 令和8年10月29日 |
| 岩手 | 1,090 | 1,031 | 59 | 令和8年12月1日 |
| 宮城 | 1,098 | 1,038 | 60 | 令和8年10月1日 |
| 秋田 | 1,090 | 1,031 | 59 | 令和8年10月14日 |
| 山形 | 1,092 | 1,032 | 60 | 令和8年10月30日 |
| 福島 | 1,094 | 1,033 | 61 | 令和8年10月16日 |
| 茨城 | 1,136 | 1,074 | 62 | 令和8年10月18日 |
| 栃木 | 1,125 | 1,068 | 57 | 令和8年10月1日 |
| 群馬 | 1,120 | 1,063 | 57 | 令和8年10月3日 |
| 埼玉 | 1,196 | 1,141 | 55 | 令和8年10月1日 |
| 千葉 | 1,195 | 1,140 | 55 | 令和8年10月1日 |
| 東京 | 1,280 | 1,226 | 54 | 令和8年10月1日 |
| 神奈川 | 1,279 | 1,225 | 54 | 令和8年10月1日 |
| 新潟 | 1,108 | 1,050 | 58 | 令和8年10月1日 |
| 富山 | 1,119 | 1,062 | 57 | 令和8年10月1日 |
| 石川 | 1,113 | 1,054 | 59 | 令和8年10月3日 |
| 福井 | 1,112 | 1,053 | 59 | 令和8年10月4日 |
| 山梨 | 1,113 | 1,052 | 61 | 令和8年11月1日 |
| 長野 | 1,117 | 1,061 | 56 | 令和8年10月2日 |
| 岐阜 | 1,121 | 1,065 | 56 | 令和8年10月1日 |
| 静岡 | 1,154 | 1,097 | 57 | 令和8年10月15日 |
| 愛知 | 1,195 | 1,140 | 55 | 令和8年10月1日 |
| 三重 | 1,143 | 1,087 | 56 | 令和8年10月1日 |
| 滋賀 | 1,136 | 1,080 | 56 | 令和8年10月3日 |
| 京都 | 1,180 | 1,122 | 58 | 令和8年11月16日 |
| 大阪 | 1,231 | 1,177 | 54 | 令和8年10月1日 |
| 兵庫 | 1,172 | 1,116 | 56 | 令和8年10月1日 |
| 奈良 | 1,107 | 1,051 | 56 | 令和8年10月4日 |
| 和歌山 | 1,101 | 1,045 | 56 | 令和8年10月3日 |
| 鳥取 | 1,090 | 1,030 | 60 | 令和8年10月3日 |
| 島根 | 1,092 | 1,033 | 59 | 令和8年10月10日 |
| 岡山 | 1,104 | 1,047 | 57 | 令和8年10月2日 |
| 広島 | 1,141 | 1,085 | 56 | 令和8年10月11日 |
| 山口 | 1,101 | 1,043 | 58 | 令和8年10月8日 |
| 徳島 | 1,103 | 1,046 | 57 | 令和8年11月1日 |
| 香川 | 1,092 | 1,036 | 56 | 令和8年10月1日 |
| 愛媛 | 1,093 | 1,033 | 60 | 令和8年11月1日 |
| 高知 | 1,086 | 1,023 | 63 | 令和8年10月29日 |
| 福岡 | 1,114 | 1,057 | 57 | 令和8年10月4日 |
| 佐賀 | 1,095 | 1,030 | 65 | 令和8年11月15日 |
| 長崎 | 1,087 | 1,031 | 56 | 令和8年11月2日 |
| 熊本 | 1,092 | 1,034 | 58 | 令和8年12月1日 |
| 大分 | 1,096 | 1,035 | 61 | 令和8年11月1日 |
| 宮崎 | 1,085 | 1,023 | 62 | 令和8年10月24日 |
| 鹿児島 | 1,090 | 1,026 | 64 | 令和8年10月25日 |
| 沖縄 | 1,086 | 1,023 | 63 | 令和8年12月2日 |
全国加重平均は1,177円(改定前1,121円、引上げ額56円・引上げ率5.0%)です。最も高いのは東京都の1,280円、最も低いのは宮崎県の1,085円です。
最低賃金を満たしているかの確かめ方
厚生労働省の解説ページでは、月給制の場合は「月給÷1箇月平均所定労働時間≧最低賃金額(時間額)」で比べるとしています。時給制なら時給をそのまま比べます。
比べる対象の賃金からは、通勤手当、時間外手当(残業手当)、深夜割増賃金、精皆勤手当、家族手当などが除かれます。月給の総額では上回っていても、手当を除いた基本給部分で計算すると下回る、というケースがあるため注意が必要です。

月給制の事務職員は「月給が低くないから大丈夫」と思いがちです。手当を除いた金額を所定労働時間で割ると、思ったより時給換算が低いことがあります。
訪問看護ステーションへの影響
最低賃金は、最低賃金法にもとづきパート・アルバイトを含むすべての労働者に適用されます。処遇改善加算やベースアップ評価料による賃金改善とは別に、毎年の改定ごとに確認が必要な法的なルールです。
- 事務職員・受付スタッフ:時給制・月給制とも、改定額との比較が必要です
- 短時間勤務のパート職員:看護職以外の補助的な業務を担う職員は、時給が地域の最低賃金に近いことがあります
- 試用期間中の職員:試用期間を理由に時給を下げている場合は、改定額を下回っていないか確認しましょう
- 複数の都道府県に事業所がある法人:適用されるのは事業所所在地の最低賃金です。発効日も県ごとに違うため、拠点ごとに確認が必要です
- 人件費の見通し:最低賃金に近い職員の時給を上げると、その上の職員との差を保つための見直しが必要になることもあります
上の表は事務連絡の添付一覧の数値です。給与計算に反映する際は、事業所所在地の都道府県労働局が公表している最新の改定額と発効日をあわせて確認してください。
今からやるべき実務対応
- 所在地の改定額と発効日を確認する上の表で、事業所がある都道府県の改定額と発効日を確認します。複数拠点がある場合は拠点ごとに確認します。
- 全職員の時給換算額を一覧にする月給制の職員は、除外される手当を引いた金額を1か月平均所定労働時間で割って時給換算します。
- 下回る職員の賃金を発効日までに改定する改定額を下回る職員がいれば、発効日以降の賃金から改定後の額以上になるよう、賃金規程や雇用契約を見直します。
- 使える支援策を確認する事務連絡では、業務改善助成金、キャリアアップ助成金、人材確保等支援助成金、働き方改革推進支援助成金、賃上げ促進税制などが紹介されています。要件と申請期限を確認しましょう。
業務改善助成金の申請期限に注意
事業場内で最も低い時給を一定額以上引き上げ、生産性向上につながる設備投資等を行った中小企業・小規模事業者に費用の一部を助成する制度です。厚生労働省によると、令和8年度の申請期間は令和8年9月1日から、事業場がある都道府県の地域別最低賃金の発効日の前日、または11月30日のいずれか早い日までです。
10月1日発効の都道府県では、9月30日で申請期間が終わっています。発効日が遅い県(例:岩手県・熊本県は12月1日発効)では、11月30日まで申請できます。また、賃金の引上げや設備投資は交付決定後に実施するものが対象になるため、すでに実施済みの引上げは対象外です。
令和8年度の最低賃金はいつから適用されますか?
都道府県ごとに異なります。令和8年10月1日から順次発効しており、最も遅い沖縄県は12月2日です。事業所所在地の発効日以降の賃金から、改定後の額が適用されます。
月給制の職員も最低賃金の確認が必要ですか?
必要です。月給を1か月平均所定労働時間で割って時給に換算し、最低賃金額と比べます。通勤手当や時間外手当、精皆勤手当、家族手当などは比べる対象の賃金から除かれます。
業務改善助成金はまだ申請できますか?
事業所所在地によります。令和8年度の申請期間は、9月1日から地域別最低賃金の発効日の前日または11月30日のいずれか早い日までです。10月1日発効の都道府県ではすでに締め切られていますが、発効日が12月の県などでは11月30日まで申請できます。
まとめ|所在地の発効日に合わせて全職員の時給を確認
令和8年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,177円となり、10月1日から都道府県ごとに順次発効しています。厚生労働省老健局は介護関係団体に、改定額と賃上げ支援施策の周知を依頼しました。
- 令和8年度の地域別最低賃金は全国加重平均1,177円(56円・5.0%の引上げ)
- 発効日は都道府県ごとに異なり、10月1日から12月2日まで
- 月給制の職員も、除外される手当を引いて時給換算し、改定額と比べる必要がある
- 事務職員・パート職員・試用期間中の職員は特に確認が必要
- 業務改善助成金の申請期限は「発効日の前日」または「11月30日」の早い方
給与計算の担当者と一緒に、発効日前に全職員の時給換算額を一覧で確認しておくと安心です。























