【おすすめ】呼吸療法認定士が訪問看護で活かせる場面6選!

「呼吸療法認定士」とは、「特定非営利活動法人日本胸部外科学会」「一般社団法人日本呼吸器学会」「公益社団法人日本麻酔科学会」の3学会合同認定資格です。

病院で勤務している看護師、リハビリスタッフが取得して活躍している印象ですが、訪問看護の場面でも大いに活かすことができる資格です。

今回は、訪問看護において実際に呼吸療法認定士として役立ったことをご紹介します。

 

 

呼吸療法認定士が訪問看護で活かせることとは?

呼吸療法認定士は、言葉通り呼吸器疾患の利用者さんのADLや生活の質を高めることを目標としています。特に訪問看護では医療・生活の両視点で継続的に関わっています。

主には、以下の疾患の利用者さんのケアを行っています。

・慢性閉塞性肺疾患(COPD)

・肺結核後遺症

・間質性肺炎

・肺がんなど慢性呼吸不全を生じるCOPD以外の呼吸器疾患

・脳血管疾患や神経難病で呼吸機能の低下がある方

 

疾患だけでなく、生活状況や利用者さんの性格など様々です。

また、これは呼吸器疾患の利用者さんだけでなく全般的に言えることですが、一方的な「療養指導」では、徒労に終わってしまうだけでなく、利用者さんとの信頼関係も築けません。

個別的で生活の中で活かしやすい、利用者さんが受け入れやすい指導を行う必要があります。

それらを理解した上で、興味のある看護師さんはぜひ参考にしてください

 

 

在宅呼吸器・在宅酸素管理

言わずもがな、在宅呼吸器や在宅酸素療法を受けている利用者さんの管理を行います。

機器が設定通り稼働しているかを毎回確認します。

また、呼吸状態や日常生活動作を見て、医師に報告して設定を変更することがあります。

その際に、資格があることで速やかに対応してくれたことがありました。

利用者さんにとっては、機器は命綱ではありますが苦手意識を感じていることが多いです。有資格者が対応することで、安心感を抱いてくださいます。

 

 

呼吸リハビリテーション

呼吸器疾患のある利用者さんは、呼吸筋群を通常よりも過度に動かしているため、筋疲労が大きいです。

拘束性疾患、進行した閉塞性疾患では胸郭の動きが悪くなってしまっており、さらに呼吸筋群を動かさなければなりません。

そのような悪循環からさらなる呼吸機能の低下を引き起こしてしまいます。

呼吸リハビリテーションは、呼吸機能の回復や維持を図り、利用者さんの生活の質を高める一助としてとても大切です。

この場面で私が大切にしていることは、リラクセーションのように利用者さんのお身体に触れ、今の状態をアセスメントして利用者さんに伝えることです。

自分の身体のことを利用者さん自身が知らないとリハビリは進みません。

呼吸療法認定士だからこそ、特化した知識と熟練の技を提供できます。

また、タッチングの心理的効果や安心感から、訪問看護を楽しみにしてくれる利用者さんが多いです。

 

 

動作指導

呼吸器疾患のある利用者さんは、動作一つ一つがとても負担です。

筋力を過度に使うこと、疲れやすいこと、呼吸苦が伴うこと、など様々な理由があります。

中には動作への恐怖感で、ずっとじっとして過ごしている利用者さんもおられます。

それではますます動けなくなり、負のスパイラルに陥って廃用症候群になってしまいます。

・動作と合わせた呼吸指導

・休憩場所を作る

・一つの動作が簡潔に終えられるような導線の工夫

などが、必要です。

また、福祉用具の活用も必要です。

ケアマネージャーさんに提案する上でも、呼吸療法認定士の視点での助言は重宝します。

 

 

精神的ケア

呼吸苦は意欲低下を引き起こします。

うつ、ひきこもり状態になられる利用者さんも少なくありません。

内服薬の服用や吸入薬を指示通り行うことも、煩わしさやなげやりな気持ちになって出来ない利用者さんもおられます。

その気持ちに寄り添いながら、「どうすれば出来るようになるか」を話し合っていくことが大切です。

解決策がすぐに見いだせなくても、共に考えて悩んでくれる訪問看護師がそばにいることで、利用者さんは安心できます。

そのようなサポートが、利用者さん自身の強みを引き出すことにも繋がります。

 

 

入浴支援

呼吸器疾患の利用者さんは感染症予防のため清潔保持が大切ですが、入浴への身体的・精神的負担は大きいです。

呼吸のため、上半身の筋肉をフル活用している状態です。

洗身洗髪では前かがみの体制で胸郭を圧迫するだけでなく、特に上肢を使うため、さらに負担が大きくなります。

また、お湯につかることで胸郭が水圧で圧迫される、蒸気で呼吸苦が出現する、など、身体的に負担になる要素が入浴には詰まっています。

機器を利用している利用者さんは、ルートなどの煩わしさもあります。

上記から、精神的にも入浴への苦手意識が生まれます。

・洗身洗髪は介助を主とする

・浴槽のお湯はみぞおちの高さまでにする

・無理に湯に浸からず、シャワー浴と足浴で対応する

・浴室内は換気する

・要所に椅子を置いて休息をこまめに出来るように環境を整える

などの工夫をしています。

 

 

栄養指導

呼吸器疾患がある利用者さんは、栄養状態が良くない利用者さんが多いです。

すぐに満腹になってしまう、お腹が張る、倦怠感で食事時間を長く持てない、食べやすいもの中心になり栄養バランスが偏る、など様々な要因があります。

呼吸器疾患の利用者さんは呼吸筋をより動かさないといけないので、1.5倍のカロリーが必要だと言われています。

さらに、炭水化物は消化の際に二酸化炭素が多く輩出されるため、タンパク質や脂質の割合を増やした食事が推奨されています。

しかし、在宅での食生活は長年の蓄積の結果であり、なかなか変えられないものです。

せめて分食にする、栄養補助食品を活用するなどを勧めています。

また、ちょっとした工夫でカロリーアップを図れます。

トーストにジャムだけでなくバターを塗る、野菜の煮浸しにスリゴマを足す、などは、比較的受け入れてくださいます。

排便コントロールもとても大切です。

 

 

まとめ

ここまでお付き合い頂き、ありがとうございました。

いかがでしたでしょうか?

呼吸療法認定士として、訪問看護で活かせられたことをお伝えしてきました。

訪問看護は医療・生活両方からアセスメントし、広い範囲で利用者さんの療養生活を支えています。

高齢化により、在宅療養される利用者さんは益々増加するでしょうし、より高度な医療知識を持ったスタッフが必要となっていますが、訪問看護で呼吸器疾患に特化したケアができる看護師はまだまだ少なく、課題となっています。

興味のある方は、ぜひ一緒に始めてみませんか?

 

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