訪問看護ステーションを開設したものの、「なかなか利用者の依頼が来ない」「営業しているのに反応がない」と悩む方は少なくありません。
特に開設から数ヶ月は、実績や信頼がない状態であるため、思うように利用者が増えないのは当然のことです。
しかし、戦略的に営業や関係構築を行えば、確実に依頼は増やしていけます。
この記事では、訪問看護の依頼が来ない主な原因と、すぐに取り組める改善方法について解説します。
開設したばかりの方や、利用者数の伸び悩みに直面している方は、ぜひ参考にしてください。
目次
訪問看護の依頼が来ない主な理由とは?
訪問看護の依頼が来ない背景には、いくつかの要因が複雑に絡み合っています。
まずはその根本原因を知ることが改善の第一歩です。
医療機関やケアマネとの関係性が築けていない
訪問看護は、利用者本人から直接依頼が来ることは稀で、医師の指示書とケアマネジャーからの紹介によって成り立ちます。
そのため、**医療機関や居宅介護支援事業所との連携が不十分だと、依頼がほとんど来ない状況に陥ります。
**新規開設のステーションでは、まずは地域のケアマネや医師に自分たちの存在を知ってもらうところから始めなければなりません。
地域のニーズに合っていない
たとえば、**小児対応を謳っていても、その地域に小児訪問看護のニーズが少なければ依頼は増えません。
**逆に、末期がんや精神疾患の対応が可能な訪問看護ステーションは、ニーズが高い地域では重宝されます。
地域の人口構成や高齢者率、在宅医療の普及状況などを調査せずに始めると、思うようにマッチせず依頼が集まらない原因になります。
訪問エリアや対応時間に制限が多すぎる
「ステーションから半径3km以内のみ」「土日は完全休み」「緊急対応不可」など、対応エリアや時間に制限があると、ケアマネに紹介しづらいステーションという印象を持たれがちです。
特に都市部では訪問看護の競合も多いため、柔軟に対応できる体制がある方が依頼につながりやすくなります。
ホームページやSNSの活用が不十分
最近では、ケアマネや利用者家族もインターネットで情報を検索してステーションを選ぶ傾向が強まっています。
にもかかわらず、「ホームページがない」「サービス内容がわかりにくい」「更新されていない」などの状態では、選ばれる機会を逃してしまいます。
ホームページで対応可能な疾患や営業時間、スタッフ構成などをわかりやすく発信しているステーションほど、信頼を得やすくなります。
訪問看護の依頼を増やす改善方法を解説します
上記のような原因を踏まえたうえで、実際に依頼を増やすための具体的な方法を紹介します。
ケアマネ事業所への訪問営業を強化する
最も基本的で効果的なのが、地域の居宅介護支援事業所への地道な営業活動です。
単にパンフレットを配るだけでなく、以下のような視点でアプローチしましょう。
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実際に対応した事例を簡潔に紹介
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得意な疾患や対応可能なケースを伝える
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緊急対応の可否、看取り対応の有無などの体制を明確に
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スタッフのプロフィールや訪問体制を紹介
ケアマネ側は、紹介先の訪問看護が「どんな患者に強いのか」「連携しやすいのか」を重視しています。
最初は数件でも丁寧な対応を重ねていけば、口コミや紹介で広がっていきます。
在宅医との連携体制を構築する
訪問看護には医師の「訪問看護指示書」が必要です。
そのため、在宅医療に積極的なクリニックや訪問診療医との信頼関係の構築が重要です。
以下のような取り組みが有効です。
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症例報告を定期的に共有する
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医師が必要とする情報をタイムリーに提供する
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医療処置の実施状況や経過を報告書で丁寧に伝える
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指示変更があった際には即時対応する体制を整える
医師にとって「安心して任せられる訪問看護」は貴重です。
一度信頼関係ができると、継続的に患者を紹介してもらえることも少なくありません。
地域包括支援センターや行政との連携を強める
要支援者や独居高齢者への支援は、地域包括支援センターを通じて紹介されることが多いです。
**包括支援センターへの情報提供や事例共有も、地域における信頼構築につながります。
**また、地域ケア会議などの行政の会合に積極的に参加することで、存在を知ってもらう機会を増やすことができます。
自社メディアやSNSを活用して発信する
今や中小規模の医療・介護事業所でも、WebサイトやSNSを通じた情報発信が依頼数に影響を与える時代です。
以下のような取り組みを行いましょう。
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ホームページにスタッフ紹介、対応可能疾患、営業エリア、サービス内容を詳しく掲載
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スタッフブログやnote、Instagramなどで、訪問の様子や看護の魅力を発信
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ケアマネ向けにPDFパンフレットをダウンロードできる仕組みを作る
検索エンジンで見つけられる存在になることは、ケアマネ・医師・家族すべてにとっての安心感につながります。
依頼が来た時の対応も重要
依頼がやっと来たのに、対応に時間がかかってしまったり、準備不足で信頼を失ってしまうケースもあります。
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初回の対応スピード(問い合わせから24時間以内の対応が望ましい)
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書類の正確性、説明の丁寧さ
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利用者や家族への共感的なコミュニケーション
これらの点も含めて、「また頼みたい」と思われるステーションづくりが、継続的な依頼につながっていきます。
まとめ
訪問看護の依頼が来ないと感じたときは、まず「地域との接点」「対応の柔軟性」「発信力」に課題がないかを見直すことが重要です。
ケアマネや在宅医との信頼関係が構築できていない状態では、どれだけ良いサービスを持っていても依頼にはつながりません。
一方で、地道な営業や情報発信を続け、地域に必要とされる存在になれば、自然と依頼は増えていきます。
焦らず戦略的に取り組むことで、安定した依頼獲得が実現できるでしょう。



















