訪問看護 経営者・管理者同士を結ぶコミュニティ「ツナビジ」イベントレポート /第16回ビジケアカンファレンス「賃上げをどう”経営と現場”につなぐか」(2026.4.21)

第16回ビジケアカンファレンス 賃上げをどう”経営と現場”につなぐか
〜 訪問看護における賃上げ・給与設計の本音を語る座談会 〜
📅 2026年4月21日(火)20:00〜
💻 Zoomオンライン開催
👥 参加者14名
第16回ビジケアカンファレンス テーマ:賃上げをどう経営と現場につなぐか
看護師 上妻 看護師 上妻
第16回のビジケアカンファレンスには、14名の皆さまにご参加いただきました。
令和8年診療報酬改定を背景に、訪問看護事業所では「賃上げ・処遇改善」が大きな経営課題になっています。今回は「賃上げをどう”経営と現場”につなぐか」をテーマに、単なる給与アップの議論にとどまらず、「収益をどう生み、どこまで還元できるのか」という経営の本質に踏み込んだ対話の場をつくりました。
第16回ビジケアカンファレンス Zoom開催の様子
📸 第16回ビジケアカンファレンス — 参加者の皆さんと
💰 給与設計における現場のリアルな悩み
💬 参加者から挙がった給与設計の課題

今回特に印象的だったのは、給与設計にまつわる現場のリアルな悩みの多さでした。リハビリ職と看護師の給与バランス、市場相場との乖離、そして採用への影響など、組織運営に直結するテーマが次々と共有されました。

  • リハビリ職と看護師で給与水準が違いすぎて、不公平感が出てしまっている
  • 求人票の給与を上げないと応募が来ない。でも既存スタッフとの兼ね合いが難しい
  • 市場相場と現状の乖離が大きく、どこを基準に設定すればいいかわからない
  • 給与を上げたいが、その分の売上確保が追いつかず悩んでいる
給与は「公平に払いたい」という想いがあるからこそ、どう設計するかが難しい。正解がないからこそ、みんなで考えたいテーマです。
参加者 参加者
うちのステーションも職種間の給与差で現場がギクシャクしてました。透明性を高めるために給与表を作ったんですが、それだけではまだ不満が残っていて……。今日の話を聞いて、「設計の見直し」だけでなく「伝え方」も大事なんだと気づきました。
📋 昇給の基準:「経験・資格」から「役割・責任」へ
🔑 昇給評価の視点

経験年数や資格だけを昇給の基準にすることへの疑問も多く出ました。同じ年数働いていても、業務への関わり方や責任の取り方は人それぞれ。「役割」と「責任」をどう評価するかが重要な論点となりました。

  • 経験年数・資格だけでなく、担っている「役割」で給与を決める
  • 管理業務・教育・リーダーシップを給与に反映する仕組みをつくる
  • 評価基準を明文化し、スタッフ全員に共有する
  • 定期的な面談で「今の役割と給与の関係」を丁寧に説明する
参加者 参加者
「年数が同じなのに給与が違う」と言われたとき、ちゃんと説明できる根拠がなくて困った経験があります。役割ベースの評価基準を作っておくと、そういうときに納得感のある説明ができますよね。
📊 スタッフのマネーリテラシー:賃上げの意図は正しく届いているか
💡 給与明細・社会保険料の理解格差

賃上げしても、スタッフが給与明細を正しく読めていない場合、その意図が伝わらないという問題が議論されました。社会保険料の仕組みや手取りと額面の違いを理解していないと、「上げてもらったのに手取りが変わらない」という誤解が生じることもあります。

  • 「昇給した」と言っても、社会保険料が増えて手取りがほとんど変わらなかったと言われた
  • 給与明細の見方を説明したことがなかった。基本的なことから伝える必要があると感じた
  • 「年収」という視点で説明することで、スタッフの理解が深まった

賃上げの効果を正しく伝えるために、日頃から「お金の構造」をスタッフと共有しておくことが大切。給与明細の勉強会を開催したり、年収ベースでの給与比較表を見せたりすることで、スタッフの納得感は大きく変わります。

参加者 参加者
うちは採用面接のときに「年収ベース」で説明するようにしてから、入職後のミスマッチがかなり減りました。手取りだけ見て「思ってたより少ない」となるのを防げるし、そのまま既存スタッフへの説明にも使えています。
🗣 非常勤職員・インセンティブ・情報開示の考え方
📌 現場から出た具体的な課題

非常勤職員への処遇改善加算の分配や、インセンティブ設計、年間を通じた給与配分の工夫など、現場に即した多彩な課題が挙がりました。また「どこまで情報を開示するか」という点も、納得感を生む上で欠かせないテーマとして議論されました。

  • 非常勤スタッフへの処遇改善加算の分配をどうするか、判断基準が難しい
  • インセンティブをつけると頑張るスタッフとそうでないスタッフの差が広がる懸念がある
  • 年度末に賞与として還元するより、毎月少しずつ反映するほうが実感しやすいという声があった
  • 経営数字をどこまでスタッフに見せるか——見せすぎると不安を与えるし、隠しすぎると信頼を失う
情報開示の「適切なライン」は事業所によって異なる。重要なのは「何を、どんな意図で、どのように伝えるか」という姿勢です。
参加者 参加者
自分はあえて月次の売上や稼働率をスタッフ全員に共有しています。最初は不安がる人もいましたが、「自分たちの動きが経営に直結している」という実感を持ってもらえてから、雰囲気が変わりました。オープンにするリスクより、隠すリスクのほうが大きかった。
今回の気づき:賃上げは「信頼と意図」の組織課題

今回の対話を通して明らかになったのは、賃上げは単なる金額の問題ではないということ。「意図をどう伝え、信頼をどう築くか」という組織課題そのものです。そして、納得感を高めるためには、制度や説明だけでなく、日頃からスタッフ一人ひとりに感謝を伝え続けることが土台になるという意見も共有されました。

看護師 上妻 看護師 上妻
「正解のないテーマだからこそ、本音で語り合える場の価値がある」——今回の参加者の方がおっしゃっていた言葉が印象的でした。給与や賃上げは、数字の問題である以上に、スタッフとの関係性・信頼の問題です。ビジケアカンファレンスは、こうした「正解のない問い」に向き合う仲間と出会える場所であり続けたいと思っています。ご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!

📢 次回開催のお知らせ
第17回ビジケアカンファレンス
「マネーリテラシー——どこまで透明化するか?」
📅 2026年5月19日(火)20:00〜
第17回ビジケアカンファレンス テーマ:マネーリテラシーどこまで透明化するか

第17回ビジケアカンファレンスは、「マネーリテラシーとお金の透明性」をテーマに開催します。訪問看護の現場では、売上・利益の開示範囲、インセンティブ設計、営業活動の価値化など、”お金に関する本音の意思決定”が日々求められています。

今回の論点:

  • マネーリテラシーはどこまで共有すべきか
  • 営業インセンティブは必要か、それとも仕組み化か
  • 「1件の契約」の本当の価値とは
  • 見えにくい管理コストの考え方

お金の話は、最も重要でありながら、最も話しにくいテーマです。だからこそ「ここでしか話せないリアル」を共有する場として、第17回も実践につながる対話の時間をつくります。ぜひご参加ください!

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