訪問看護では、ケアマネジャー、医師、ヘルパー、他の訪問看護ステーションや看護師、デイサービスやショートステイのスタッフ、病院の医療相談員など、外部事業者との電話のやり取りが盛んに行われます。
始めて訪問看護で働いた看護師さんにとっては、不安や緊張から電話対応に憶病になってしまうことがあると思います。
そんな電話対応について、すぐに実践できるポイントを紹介します!
このポイントを押さえて電話対応すると、外部事業者の方へ好印象を与えることができると思います!
目次
訪問看護における電話対応のポイント
電話対応では、以下の4つのポイントがあります。
- 始めと終わりの定型句
- 声
- 目的の明確化
- 印象を悪くしてしまう電話対応
それぞれについて、詳しく紹介していきます。
電話対応のポイント①
ポイントの1つ目は、「始まりと終わりの定型句」になります。
定型句は以下の3つになります。
上記の定型句は、電話を受けた時の第一声で使います。
仕事以外で電話に出た時には「もしもし」と使うことが多いと思いますが、仕事では「はい。」と言っておくことが無難です。
また、電話の性質上、通話開始時の音声が聞きにくくなってしまうため、毎回の第一声で「はい。」と言っておくことで、ステーション名や看護師の名前を相手に聞いてもらいやすくなります。
上記の定型句は、電話をかけた時の第一声で使います。
仕事以外で電話をかけた時には「もしもし」と使うことが多いと思いますが、仕事では「いつもお世話になっています。〇〇訪問看護ステーションの看護師△△です。」と言っておくことが無難です。
また、相手が「お世話になっています。〇〇介護支援事業所の△△です。」のように、所属と名前を言った後に相槌としても使います。
電話対応における”お世話”とは、”良い関係を取り持ってもらう”や”希望に寄り添ってもらう”という意味になります。
この意味を理解すると、自然と感謝の気持ちを込めて使うことができると思います。
上記の定型句は、話したい担当者を呼び出してもらう時に使います。
病院の医師の場合は忙しく診察していることもあり、なかなか電話を取り次いでもらえないことが多いです。
直接電話で話したい要件がある時には、上記の定型句に「今〇〇分お時間いただいてもよろしいでしょうか?」もしくは、「急ぎで確認したいことがあります」のような言葉を付け加えると、取り次いでもらいやすくなります。
上記の定型句は、電話を切る前に使います。
電話を切る前、つまり、電話の終わりは非常に重要です。
時間がなさそうにせかせかとした声で電話を切ったり、疲れているようにだらだらとした声で電話を切ってしまうと、相手への印象が悪くなってしまう可能性が高いです。
人間には、”終末残存効果”というものがあり、最後に見たり聞いたりしたものに強い印象を持ち、記憶に残りやすい傾向があります。
電話の終わりが全体の印象になってしまう可能性もあるため、「お電話、ありがとうございました。失礼します。」を言う時には、特に感情を込めることをおススメします!
電話対応のポイント②
ポイントの2つ目は、「声」になります。
電話で話す時の声は、相手が1度で聞き取れることが大事になるため、以下の4つがポイントになります。
- ややゆっくり
- はっきり
- やや大きく
- やや高く
緊張や不安から声が小さく、こもってしまうと、相手にストレスを感じさせてしまうだけでなく、頼りない印象を与える可能性があります。
また、電話で話した時の声は、電話の性質上、やや低めに伝わってしまうため、配慮しておきましょう!
電話対応のポイント③
ポイントの3つ目は、「目的の明確化」になります。
電話対応の際には、報連相のいずれかの目的があります。
- 報告・・・看護師が観察、評価、考察した状態や進捗を伝えること。
- 連絡・・・簡単な情報を知らせることであり、看護師の憶測や意見は含めない。
- 相談・・・提案をしたり、助言をもらうこと。
在宅生活を支えているケアマネージャーや訪問看護、ヘルパーなどの仕事をしている方々は、事務所にいる時間が少なく、外で働いていることが多いため、なかなか担当者に繋がらないことがあります。
また、電話を受けた時もかけた時も、担当者に直接話さなくても良いことが多いと思います。
そのため、電話を受けて担当者が不在であった場合は目的を確実に聴取し、電話をかけた時に担当者が不在であった場合は目的を確実に伝えてしまいましょう。
電話を受けた時とかけた時の具体的な対応について以下に紹介します。
電話を受けた時には、自分への用件であればそのまま対応し、担当看護師が不在だった場合には、「〇〇さんの入浴の件で相談がある。」、「〇〇さんの体調の件で報告がある」などの電話の目的を確実に聴取し、その後に伝言を受けるか、折り返し希望かについて尋ねましょう。
また、電話の対応中には「いつ」「誰から」「誰宛に」「電話の目的」「報連相の詳細情報」「その後の対応」についてメモを取りながら話を聞きましょう。
このメモは、相手の話が終わった後に簡単にまとめて確認をすることで、目的のズレを予防できたり、好印象を与えることに繋がります。
電話をかけた時には、自分への用件であればそのまま対応し、担当者が不在だった場合には「〇〇さんの入浴の件で相談がある。」、「〇〇さんの体調の件で報告がある」などの電話の目的を始めに伝えます。
その後、伝言、もしくは電話の折り返しの依頼をします。
電話の折り返しを依頼する時には、自分自身が電話に出られる時間帯や担当者が事務所にいる時間帯の確認を行いましょう。
電話対応のポイント④
ポイントの4つ目は、「印象を悪くしてしまう電話対応」になります。
「印象を悪くしてしまう電話対応」は4つあり、その理由と正しい対応について紹介していきます。
敬語とは、相手への尊敬を示すための言葉遣いになるため、電話対応において間違った敬語を使うことはマナー違反、つまり、電話相手の印象を悪くする可能性があります。
そこで、訪問看護における電話対応で使用頻度が多い敬語の間違いと正しい敬語の例を以下に紹介します。
「お世話様です」は間違い、正しくは「お世話になっています。」
「〇〇さんは、おられますか?」は間違い、正しくは「〇〇さん、いらっしゃいますか?」
「お名前、頂けますか?」は間違い、正しくは「お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」
「〇〇さんでございますか?」は間違い、正しくは「〇〇さんでいらっしゃいますか?」
「〇〇は本日お休みをいただいています。」は間違い、「〇〇は本日休みを取っています。」
「了解しました。」は間違い、正しくは「承知しました。」
場つなぎ言葉とは、「えーと」や「あのー」のように沈黙を埋めるために使う言葉になります。
つい、クセで言ってしまう方もいるかもしれませんが、仕事での電話対応では意図的に言わないことをおススメします。
電話では、声だけでのコミュニケーションとなり、相手は聞くことに集中しています。
そのため、この場つなぎ言葉を使ってしまうと間延びした話し方になってしまい、頼りない印象を与えてしまいます。
それだけでなく、話を聞く集中力を奪ったり、耳障りに感じさせてしまう可能性があります。
電話の最中の沈黙は、問題になりません。
言葉に詰まった時には無理に場つなぎ言葉を使うのではなく、少し沈黙を置いてから話すことが良いと思います。
分からない事の場合は素直に「分からない」と言い、その後の行動について伝えることで印象が良くなります。
ケアマネジャーや他の訪問看護ステーションの看護師などの外部事業者は、事務所の外で働いていることが多いために電話が繋がらず、留守番電話になることがあります。
この時、留守番電話に伝言を残さないと、着信履歴を見た外部事業者は相手が誰なのか、電話の目的が何なのかの情報がないため、不安を感じさせてしまうかもしれません。
留守番電話になった場合には、所属と名前、簡潔にした電話の目的を必ず残しましょう!
電話を切る時の受話器を置く音は、気を配って行わなければ「ガチャッ」という大きめの音が電話相手に伝わってしまいます。
この音は相手を不快にさせてしまうので、電話を切る時には相手が切ってから受話器を置くか、もしくは、そっと受話器を置くようにしましょう!
まとめ
訪問看護では、外部事業者との電話のやり取りが盛んに行われる一方で、ケアマネージャーや訪問看護師のように外で仕事している時間が多い方とは、なかなか直接話ができない現実があります。
そのため、電話を受ける時もかける時も、お互いが効率的に仕事が進むように配慮した電話対応が大事になります。
- 始めと終わりの定型句
- 声
- 目的の明確化
- 印象を悪くしてしまう電話対応
始めて訪問看護で働いた看護師さんにとっては、不安や緊張から電話対応に憶病になってしまうことがあると思いますが、今回、紹介したポイントを念頭に入れて、積極的に電話対応を行ってほしいと思います。
訪問看護では、今回紹介した電話対応以外でも、実際の看護業務と様々な事務作業があるため、不安を感じたり、緊張してしまうことがあると思います。
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